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「なん……で……?」


彼は仕事で忙しいから、彼女と会わなかったと思っていた。


けれど、豪が奈美の知らない女の人と、会っている現実を突きつけられる。


一瞬、目の前が真っ暗になった気がしたが、信号が青に変わり、人の波が動き始めた。


奈美は、動揺を隠しながら前を見据え、横断歩道を渡り始めた。




豪と彼女らしき人も、こちらに向かってくる。


彼に気付かない振りをして、大股で歩いていくと、二人とすれ違った瞬間、豪がこちらを振り返ったように見えた。


不意に襲い掛かる、時間が切り取られたような感覚。


豪と女の人以外の視界に入るもの全てが、止まっているように見えた。


鮮やかに彩られた世界が、急速に無彩色の世界へと変化していく。


そのまま横断歩道を渡り切ったところで、彼女は振り返った。


二人はまだ渡り切ってないのか、信号が点滅し始めた所で小走りに渡っている。


(こんな場面に遭遇したし、彼の隣に私がいる意味は……もう…………ない……)


奈美は、スマホを取り出してメッセージアプリを開き、豪のIDを表示させてDMを送った。



『今まで色々とありがとうございました。さようなら』



信号が赤に変わり、彼は、自分のスマホが受信した事に気付いたのか、慌てて引っ張り出している。


メッセージを確認しているようで、急にこちらを振り返り、奈美を凝視している。


横にいる女性は、豪の手元と彼の表情を交互に見やった後、彼の視線を追い掛けようとしている所が、遠くに見えた。


(彼女らしき人が気付く前に、ここから立ち去らなきゃ…………)


奈美は、目的のカフェへ向かうために、前を向いて歩き続けた。




二人が視界から消えた途端、瞼がジワジワと熱くなり、気付くと涙が溢れていた。


ショックな事が大き過ぎると、人は妙に冷静になるっていうけど、自分はどうなんだろう? 泣くって事は、中途半端に大きいって事なのか。


(エロ系SNSでの出会いなんて……所詮は、ただ、それだけの関係だったって事なんだよね……)


無理やり思い込んで納得させながら、奈美は、その場に立ち尽くしていた。

ただ、それだけの関係……

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