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「そう受け取ってしまったのなら、言葉足らずでしたね。ごめんなさい……」
彼女が小さく首を垂れた。
「いや、怒ってるわけじゃないんだ。俺のイメージって、そんなだったのかと思ったんだ」
「私の知る豪さんは……甘くて優しくて、二人で会っている時も、私の意思を最優先にしてくれて。見た目だけでなく、性格もイケメンで紳士……」
「甘くて優しいと思うのは、奈美だからだ。それに、奈美だけが俺の事をそれだけ知っていれば充分だと思うけどな」
豪が微笑みながら奈美を見やると、やっと彼女がアーモンドアイの目尻を下げた笑顔を見せてくれた。
「初めて会った時、口淫する前、豪さんが私に『ああいうSNSで会ったからこそ、する前に質問させてもらう。本当にいいんだな?』って言ってくれたのが、紳士に感じた事、それから……」
彼女は遠くに視線をやり、懐かしむ表情を浮かばせた。
忘れてないし、忘れるはずなんてない。
奈美への確認は、豪の中のけじめ、みたいなものだった。
「ホテルから出た後に行った公園で、『俺は奈美の心の準備が整うまで待つ。俺が君を抱きたいと思うのは、奈美の事が好きだからだ。それだけは覚えていて欲しい』って言ってくれて。私の気持ちに寄り添ってくれたのも嬉しかった……」
豪の言った事を、心に留めておいてくれた奈美に、愛おしさが込み上げる。
(抱きたい。奈美の心の準備ができているのなら、今すぐにでも抱きたい……)
彼は敢えて声音を低くして、彼女に囁く。
「それで…………奈美は心の準備が……整ったのか?」
「……え?」
切なそうな表情を映し出している奈美に、豪は視線を向ける。
澄んだ瞳が揺れ、彼女は羞恥心が湧いてきたのか、耳まで紅に染めると、本当の意味で豪だけの女にしたい、という欲望が渦巻いていく。
「奈美」
俯いて紅潮させている顔を覗き込みながら、掬い上げるように唇を奪い、微かに開いた花弁の隙間に舌を滑り込ませる。
「んっ……ふぅっ……」
奈美の唇から、吐息が小さく零れ落ちた。
キスを交わしながら顔の角度を徐々に変え、主導権を豪が握るように、奈美の顎に手を添えて上を向かせ、唇を重ね続ける。
小さな舌を絡め取り、口腔内を存分に愛撫した後、彼は下唇をそっと食んだ。
静寂に包まれたリビングで、豪と奈美が眼差しを絡め合わせる。
「奈美」
両腕を彼女の腰に回し、彼は、華奢な身体を引き寄せた。
「セックス……しようか」
真剣な気持ちを込めると、奈美は無言のまま、豪の視線を受け止める。
「私……豪さんと…………結ばれたい」
ぎこちない様子で彼女は頷き、微かな声を零した。