テラーノベル
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レイナードが困惑する中、当然ロシェルも半パニック状態だった。部屋で休もうとしていたのに、魔法陣が突如現れて吸い込まれたのだから無理も無い。
「なんで……ロシェルがここに?」
夜着とはいえ薄着姿のロシェルに馬乗りされたまま、急に一転したこの状況が理解出来ず、レイナードが震える声で訊いた。
「えっと……あの……え、あっ」
夜着がはだけているレイナードの逞しい上半身に視線を奪われ、ロシェルがどもる。
浴場で水着姿になった彼の姿を見た事はあったが、“ベッドに居る”というだけで全然違って見えてしまう。
白い敷布に横たわり、寝やすい様にと落とした薄明かりの中にいるレイナードの、鎖のような契約印と戦火の傷が刻まれた肌はとても妖艶で、彼女の心臓が速さを増す。そのせいで『このままシドの裸を見ていたら心臓が爆発して死んでしまいそうだ!』と、ロシェルは思った。
「……そこから、降りてもらえないか?ロシェル」
上手く説明の出来ないでいる主人に向かい、レイナードが出来るだけ落ち着いて声を掛ける。だが内心では、『このままそんな場所にいられてはかなりマズイ』と相当焦っていた。
「あ、そうよね。御免なさ——い⁈」
レイナードに言われ、彼から降りようとしたロシェルだったのだが、グンッと何かに引っ張られた。彼から降りるどころか体を倒し、ピッタリと肌を重ねてしまう。
「「へ⁈」」
間の抜けた声が二人から同時にあがった。
相変わらず体が動かず、ベッドに縫い付けられたままになっているレイナードの割れた腹筋に、ロシェルの柔らかな胸が体重と共に押し当てられ形を変える。彼女の小さな両手はレイナードの見事な胸筋を優しく包み、熱い吐息が胸先をかすった。
何が起きたのかもわからず、どちらも動けない。
少しでも動けばまた何か起きるのでは?と思うとロシェルは動く事を躊躇し、レイナードはそれ以前の問題だった。
ジトッと二人の全身から汗が滲み出す。過去最高の密着度のせいで息が上がり、レイナードの雄がピクッと反応してしまった。先程の体勢のままだったら確実にロシェルの秘部を刺激していただけに、この瞬間だけは覆いかぶさってきてくれている事に感謝した。
「えっと……一つ訊いても?」
先に口を開いたのはロシェルだった。
今すぐにでもこの場から全速力で逃げ出したい、でなければ不敬罪で処罰される!と焦りに焦っているレイナードは、音もなく頷く。
「普段のシドは、こんな……格好で、眠っている、の?」
夜着の前面をはだけさせた状態をロシェルは不思議に思った。テントで共に寝ていた時は鎖帷子を決して脱がなかったレイナードが、この様な軽装で休もうとしていた事に違和感を抱いている。
「それは、サキュロス様が——」
名前だけを聞き、ロシェルがレイナードの言葉を遮って「サキュロス様に襲われたの⁈」と叫んだ。眉間に皺を寄せていて明らかに不愉快そうだ。
「……信じられない、私より先に?……わたし、よりも……」
ロシェルの小さな小さな呟きは、レイナードには聞こえなかった。
口元をへの字に曲げ、意を決したような瞳のロシェルがそっと指を動かしてみた。先程と違い、何かの力に引っ張られる感じも無く自由に動く。だが脚を動かし、レイナードの上から降りようとした行動は直ぐに体が硬直して阻まれる。この確認行為のおかげで彼女は、何かしらの影響により行動に制限がかかっている事に気が付いた。
レイナードの胸に手を置いたまま、ロシェルが上半身をそっと起こす。どこまで可能なのか、手探り状態のまま手を大きく動かそうとしたが、途中で動かせなくなった。どうやら、レイナードから離れる事に繋がる行動は出来ない様だ。
「ロシェル、頼むからそれ以上起きあがらないでくれないか?」
先程の様に、腰に馬乗りになられると非常にマズイ状況下にあるレイナードが懇願した。額から冷や汗が流れ、表情が渋くなる。
サキュロスが腰近くに座っても平気どころか気色悪いとさえ感じたというのに、ロシェルに同じ様に座られるだけで体が勝手に反応してしまい、レイナードは過去最高に動揺している。初めて戦場に出た時でさえ緊張すらしなかったというのに、今はもう体どころか頭の中も動かず、打開策が何も浮かばない。呼吸が勝手に乱れ、可笑しな表情をしてロシェルに変質者みたいだと思われないようにするだけで精一杯だった。
「……離れないで、欲しいのですか?」
半端に半身を起こしたままになっていたロシェルが、顔を真っ赤にさせながら訊いた。『何かちょっと微妙に意味が違う』とは思いつつも、跨る姿勢に戻られるよりはマシだと判断したレイナードは、勢い任せに「そうだ!」と言ってしまった。
彼の言葉に従い、ぽすんっと体を倒し、再びレイナードの硬い胸板にロシェルが顔を寄せる。嬉しくて嬉しくて、ロシェルはレイナードの胸に頬ずりをした。彼女の長い黒髪がそれにより揺れて、レイナードの肌をくすぐる。こそばゆいとも、気持ち良いとも感じられる微妙な感触で、レイナードの体が震えた。
「……シド」
レイナードの反応に、ロシェルの体にゾクっとした快楽が走った。
(この人は、何て可愛らしいんだろう)
もっと見てみたい。サキュロス様なら良くて、私がしてはいけない理由は無いはずだ。——そんな考えが頭を占有し、ロシェルは目前にあるモノを喉を鳴らしながらジッと見詰めた。
そっと体を動かして顔を寄せる。ドキドキと胸をときめかせながら、ロシェルはレイナードの左胸の尖りをカプッと口に含んだ。
「ぅあ!」
初めての感覚に驚き、レイナードが大声をあげる。快楽というより、正直くすぐったい!
そんな彼の様子を見る余裕の無いロシェルが、必死にレイナードの胸の尖りを子犬の様に舐め、吸い付き、軽く噛む。愛らしい小さな舌先を懸命に動かして丁寧に愛撫され、段々と淫楽的な気持ちになり、レイナードが腰をよじった。下っ腹の奥が重く、体が疼く。
「ロ、ロシェル……何でこんなこ、と……んっ!」
顔を少し持ち上げてレイナードがロシェルの姿を目視する。赤い舌先が自らの胸を必死に舐める姿をまともに見てしまい、彼の頭がクラッと揺れた。
「だって、サキュロス様にはさせたのでしょう?」
胸から口を離し、拗ねた顔でロシェルが呟いた。そんな彼女の表情にレイナードは心を鷲掴みにされてしまい、ロシェルを抱きしめてしまいたい衝動に駆られた。
動かぬとわかっていながらも衝動には勝てず、腕に力を入れる。すると、動けないでいたはずの腕は不思議と難無く動いてしまい、次の瞬間には思いっ切り彼女を抱き締めていた。
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