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「きゃっ!」
ロシェルは抱き締められた事に驚き、声をあげたが、逃げたりなどはしなかった。
「——すまない!俺は何て事を⁈」
衝動を満たせたからか、レイナードは直ぐ我に返った。
慌ててロシェルの肩を掴み、引き離そうとする。だが、先程までは動いていたのに、体がまた硬直してしまい引き離せない。どうやらロシェルから離れる行為に繋がる事は出来ないみたいだと、やっとレイナードも気が付いた。
「謝らないで、シド。それよりも貴方は、どこまでサキュロス様に許してしまったの?」
そう言ったロシェルの顔色は暗く、怒りを孕んでいる。占有してしまいたい存在に手出しされた事が気に入らないみたいだ。
小さな手でそっとレイナードの体の輪郭を撫でる。耳に触れ、首、鎖骨、肩のラインへと撫でられてしまい、レイナードが口を引き結んだ。このままでは、あられもなく嬌声をあげてしまいそうだったからだ。
ロシェルの肩に触れてはいるのに彼女の行為を止められない。力が出ず、そっと添えているだけだ。 声だけは必死に耐えたが、ロシェルの勘違いは心外で、すぐにでも弁明したい。なのに体の上を這う指先に翻弄されて言葉が出てこなかった。
「どこまで彼に触れさせたの?女の体なら誰でもいいの?」
躾のなっていない畜生に対する発言だと感じ、流石にレイナードが声を荒げた。
「ボタンを全て外されただけで、それ以上は何もされていない!」
「……本当に?」
ピタッと手を止め、ロシェルがレイナードの体の上を這い、顔に近づく。疑い深い瞳に間近でジッと見詰められ、彼の呼吸が一瞬止まった。
また衝動的に動きそうになった体を、無理矢理意思の力で止める。もし既ででどうにか止める事が出来ていなかったら、勢い任せにロシェルの口に齧り付きかねない状態だった。
「イ、イレイラ様の魔法が守ってくれて……青い魔法陣が奴を消してくれたから、大丈夫だ」
(そうだ、あの魔法のおかげで……おかげ、で……いや、待て。 俺はあの時、何を願った⁈)
フッと記憶が蘇り、レイナードは焦った。
『どうせこんな事をされるなら絶対にロシェルにされたい』と考えてはいなかったか?
今のこの状況を作り出しているのが自分の願望のせいだと思い至り、レイナードは「ロシェル、この状況はかなりマズイ‼︎」と困惑顔で訴えた。
「ロシェル、今の君は、サキュロスがしようとしていた事しかトレース出来ないんじゃないか?」
「……確かに、シドから離れようとしたら体が固まって動かなくなるわ」
「やっぱり!」
(どこまでサキュロスがしようとしていたのかわからないが、もしかしたら、奴がしたかった事を全てこなさないと、この魔法は解除出来ないんじゃないだろうか)
その考えに辿り着き、レイナードは申し訳なさで頭が一杯になった。こんな卑猥な状況に主人を巻き込んでしまった事に対して後悔の念しかない。
状況説明をするべきか、せざるべきか。
言えば絶対にロシェルの気質的に、不快だろうが『使い魔の為だ』と言って行為を続行するだろう。だが言わないなら言わないで、このまま動けず、解除魔法の使える誰かが来るまでずっとくっついた状態になってしまうかもしれない。
どちらも選べないレイナードが押し黙っていると、ロシェルが心臓をドキドキさせながらそっと彼の肌を撫でだした。
「悔しいわ、それでも悔しい……この肌を、私以外が触れようとした事自体が許せないの」
レイナードの首元に顔を近づけ、ロシェルが彼の首に噛み付いた。
「くっ」
短い声をあげてレイナードが顔をしかめる。ゆっくり離れた首元にはくっきりと噛み跡が残り、少しだけ血が流れ出ていた。筋肉質ではあっても肌は柔らかく、ロシェルですらも傷跡を作れてしまう。痛そうな噛み跡に少しだけやり過ぎたかもと思った彼女だったが、満足感の方を強く感じてしまい、口元を綻ばせた。
「一体、何をして……」
困惑はしたが、不快ではない。そんなレイナードの問い掛けにロシェルは答える事なく、自らつけた噛み跡をペロッと舐める。
肌を撫でながら舐められ、ロシェルの肩を掴むレイナードの手に軽く力が入った。でも魔法の影響で彼女を引き剥がせない為、「貴女がこんな事をする必要は無い!」と言う事しか出来なかった。
「……レイナード、お願いだからジッとしていて。多分この魔法は『サキュロス様がしたかった事』を私がやらないと解けないわ」
碌な説明もしていないのに、今の状況をロシェルも気が付いていた事にレイナードが驚いた。
「大丈夫よ、怖がらないで。私も……経験が無いので下手だけど、その……が、頑張るから」
「駄目だ、駄目だ……嫁入り前の女性に、こんな——」
自分の欲望に巻き込みたくない。護らなければならぬ主人を自らが汚そうとしている状況が受け入れられず、レイナードは顔をしかめた。そんな彼の表情にロシェルが一瞬切なそうに顔を歪めたが、「なら、私が貴方に嫁げば何の問題もないわね」と言い、彼の唇に自らの唇を重ねた。
「んんっ」
頬を両手で包まれ、レイナードは顔を反らせない。ただ重ねられただけの唇だったが、それはとても柔らかく、甘さがあり、彼の理性を粉々に砕くには充分な代物だった。
唇を舌で舐められ、軽く噛む。「ロシェ——」と名前を呼ぶ為に開けた口の隙間にロシェルは舌を忍ばせ、彼が発するはずだった言葉を飲み込ませた。
「んぁ……っ」
熱い吐息が互いからこぼれ、『魔法を解く為だ』だとか、主従関係がどうこうなどと全く考えられなくなっていく。
押し返したくて掴んでいたはずのロシェルの肩をレイナードは自ら引き寄せ、離すまいと背中へ手を回してしまった。ロシェルの細い肩が強い抱擁により少し軋んだが、絡まる舌が与えてくれる快楽には勝てず、瞳がトロンと蕩けている。抱き締められる痛みすら不思議と気持ちがいい。
「シド……」
愛しい気持ちが心から溢れ出て、ロシェルがレイナードの名前を呟いた。普段の彼ならこのタイミングで我に返りそうなものだが、初めての口付けの心地よさのせいでそれどころではなかった。
重なる唇の端からは飲み込み損ねた唾液が溢れ落ち、ソレが肌を滑り落ちる。
「んくっ」
口付けるたびに鳴る卑猥な水音が耳にまで届き、二人は体を震わせた。
全身に走る快楽のせいでレイナードの陰部が更に硬くなり、夜着の中でヒクヒクと動き、先走りが溢れ出て下着を少し濡らす。そして、より深い快楽を求め、レイナードの腰が少し揺れてしまった。
それに気が付いたロシェルが彼から唇をそっと離し、興奮に打ち震えた。こういった行為の経験は無いロシェルだが、知識だけはしっかりある。結婚済みの知人達が赤裸々に、夫との行為を『今後の参考に』と善意で教えてくれる事があるからだ。
堅物で、必ず一歩引いてしまうレイナードが興奮してくれている事が嬉しくて堪らない。もっとしてあげたい、私ももっと——と貪欲になり、ロシェルは彼の肌に跡が残る程強いキスを何度もしながらドンドン下へと下がっていった。だが、興奮し過ぎて頭が働かなくなっているレイナードは全く抵抗せず、荒い息遣いで、されるがままだ。
「んあっ!」と、たまにバリントンボイスのまま嬌声をあげては、恥ずかしさを誤魔化すように口元を手で塞ぐ。素人の拙い愛撫でも、懸命に、丹念に全身を吸ったり舐られたりされてしまっては、痴態にふける自分に理性を取り戻させる事は不可能だった。
ロシェルが益々下にずり下がっていくせいで、レイナードの怒張する陰部に彼女の体が当たる位置まで来られてしまった。普段なら絶対に引き剥がそうと必死になる所だが、今の彼は、これ幸いとばかりに彼女の体へ陰部を擦りつけた。
大きくて硬い存在が当たり、ロシェルの表情が一瞬だけ強張った。見た事はないが、ソレが何かなど初心な彼女でも流石にわかる。
(コレを自分に?……んーいくら何でも、無理じゃないかしら)
ロシェルは脚に感じる感触で少しだけ冷静に考えてしまった。
おずおずとレイナードの手がロシェルのお尻に伸びてきて、遠慮がちに双方の膨らみを掴む。自分がするのは平気でも、彼に触れられる事を想定していなかったロシェルが今更焦る。
「シ、シド⁈」
恥ずかしさに頰を染めて彼の顔を見上げる。興奮で我を失い、享楽に染まるレイナードの瞳と目が合ったロシェルは、あっさりと恍惚な気持ちに引き戻された。