目の前で、子供が走っている。
年は五歳くらいだろうか。
男の子だ。
拙いながらも、夢中になってボールを蹴っている。
楽しそうで何より。
その笑顔で、できればこの硬直した空気もぶち壊してはくれないだろうか、と、見ず知らずの少年に期待を乗せた。
無論、叶えられることはない。
「……こんなところに呼び出して、どういうつもりだ」
張り詰めた空気を断ち切るように、親父さんが言った。
「……どういう、つもりでしょう」
我ながら、困惑を極めた声だなと思いながら、開いた両手に顔を沈めていく。
訪れた暗闇の中で、数十分前の会話を回顧した。
「あの、」
俺が呼びかけた声に、親父さんだけでなく、おばさんと瑞希も振り返った。
それらの視線に追い立てられる中、俺は妙な冷静さを自身に感じながら言った。
「――あの、……少し、外に出ま****************************
******************
*************************
********
******
*********
********************
***************
コメント
1件