🔪無音の劇場に響いた“音”
劇場内。
死んだように静まり返る空間で、
ヴィスは一人、舞台中央に立っていた。
いつも通りの燕尾服。
背筋を真っ直ぐに伸ばし、
漆黒のマスクの下から、吐息すら漏れない。
その“完全なる静寂”に――
ポタリ、と水音が落ちた。
瞬間、彼の身体が震える。
「……今、音がした。」
舞台上の天井から、雨漏りのような水滴が一滴、床に落ちた。
ヴィスの顔に張りついていた無表情が、
ゆっくりと、“怒り”に変わる。
🔪スケアリーの実況「ひとつぶの音、静寂殺しのタレ」
「うぎゃはははははああああ!!!!!」
スケアリーが音もなく客席の上を滑って現れ、
笑いながら“スープ皿”を天井から差し出す!
「ダメだって!!それはダメだって!!!
**“完全無音のフルコース”に、ひとつぶのドレッシングとかやっちゃダメだって!!!」
「でも出ちゃった!!!
音が!!ひとつだけ!!!!!」
「これ、“調律された死の音楽”に対する背徳のピンポイント!!
**まるで“無音の料理にひとしずくの激辛ソース”!!!!」
🔪ヴィスの錯乱
ヴィスは刃物を構え、劇場を見上げる。
「静寂の完成は、まだ先だ。
まだ“誰かの音”が残っている。」
彼は音源を追って、客席のひとりひとりの“耳”を切除し始める。
喉を潰され、声を出せない観客たち。
だが、微かな吐息、かすかな衣擦れ――
そのどれもがヴィスには“騒音”だった。
「お前の耳が、音を作る。」
🔪ユリウスの登場
ユリウスが舞台の脇から現れる。
黒のコート、灰色のフードを被り、
目だけがヴィスを見据える。
「ヴィス――
“音”は消せても、“気配”は消せないんだ。」
「お前が“完璧な静寂”を望む限り、
人間そのものが“素材としてノイズ”になる。」
🔪スケアリーの食レポ「静寂崩壊ブイヤベース」
「ふふふふふふふッッ!!!!」
スケアリーがステージ袖で、鍋をかき混ぜながら頭を抱える!
「煮えてる!!!!音のないブイヤベースが!!!!」
「“音がないスープ”を煮込んでたのに、
**誰かがひとつだけ“塩を落とした”瞬間、鍋が爆発したみたいな味!!!!」
「ぐっちゃぐちゃッ!!!!でもうまいッッッ!!!
破綻した静寂って、なんでこんなにスパイス効いてんのぉぉおおお!!!」
🔪ラスト:沈黙への執着
ヴィスは最後の観客の前に立つ。
その観客は、既に息も絶え絶えで、
目だけで“音の無い世界の苦しさ”を訴えていた。
だがヴィスは微笑む。
「静寂は、全てを美しくする。
音は――罪だ。」
刃が振り下ろされる直前、
ユリウスの声が、劇場に響いた。
「お前は……
“世界の音”じゃなくて、自分の心の声”を消してるだけだ。」
次回 → 第三十九話「無音の料理、最後の響き
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