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あべさく正義♡
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トーナメント第一試合が無事終了し、第二試合の日までは約1ヶ月と数週間。
その間他の生徒は普段と変わらない学校生活を送る。そんな中、悩める生徒が1名。
それはハッフルパフ寮の談話室に居た。
🩷「康二〜?冴えない顔してどしたの?」
ソファの隅でクッションを抱きしめうずくまる向井。何やらモヤモヤとした表情だった。
🧡「さっくん……俺、どうしたらええか分からへんくて」
🩷「それって、めめの事?」
🧡「…そう」
この間、目黒とホグズミード村に行った時のことだ。帰り道に手を繋がれたあの日のこと。
──────────
🧡『めめ、なんか……最近どしたん?妙に距離が近いというか…かっこいいセリフ言うたり』
🧡『女の子相手にやるならまだしも俺やで?……男でも勘違いしてまいそうになるやん…笑』
🖤『なんだ。ちゃんと伝わってんじゃん』
──────────
🧡「何なん…!?めめは…お、俺の事好きなん…?その、…恋愛的な意味で」
🩷「まぁ…誰がどう見てもだよね」
🧡「そうなん!?」
🩷「むしろ気づいてなかったのがすごいくらいだわ笑」
🧡「周りの子らもさ、なんか噂しとるっぽいんよ。俺らが付き合っとるって」
🩷「なんか最近毎日聞くよ?学年違ってても聞くもん」
🧡「………」
向井は意外にも困るような顔をしていた。
面白がっていた佐久間も異変を感じ向井の隣に座る。
🩷「…大丈夫?」
🧡「めめの事は大好きなんよ。人として、ホンマに尊敬もしとる。一緒におって楽しいし」
🩷「うん」
🧡「でも恋愛ってなると話は別やんか」
🧡「めめは純血家系の目黒家の産まれやん。エリート様なんやで?方や俺はマグルの凡人」
🧡「そら友達とかは関係ないって思うけど…恋愛ってなったら、その…結婚とか…」
🩷「あー…純血の家系は厳しいらしいね」
─────純血の魔法使い
目黒のような純血の魔法使いのみの家系は魔法界の30%以下と少なくなってきている。
少しでも純血の人間を増やそうと純血家系同士で結婚するのが一般的。
半純血やマグル生まれの人間と結婚するということは純血の血を残す気がないとされ、勘当される者も珍しくない。
🧡「俺も調べてん。めめが結婚すべきなんは、好きになるべきなんは純血のお嬢さんなんよ。それが1番平和やん」
🩷「じゃあさ、蓮の気持ちはどうなるの?誰と結婚するとか、誰を好きになるとか、それは蓮本人が決めることじゃん」
🧡「めめ本人は分かってへん、自分がどんだけ凄い家系の生まれなんか。俺の事を好きになったらアカンことも分かってへん」
🩷「そんなさ…蓮はそんなのわかった上だと思うよ?アイツは康二の為なら家柄をも捨てる覚悟だと思う。じゃないとここまでしないでしょ」
🧡「恋は盲目っていうやん…」
🩷「じゃあさ、康二はどうしたいわけ?」
🧡「…俺?」
🩷「周りの目とか、血筋とか。そんなの全部取っ払ってさ。康二自身はどうしたいの」
🧡「…それもよく分からんくて…。ただ、これ以上踏み込んだら『友達』には戻れんくなるってことは分かる。それが…怖いんよ…」
向井は項垂れ顔をクッションに埋める。
佐久間は何も言えなくなった。いや、むしろ今の向井に第三者から何を言っても恐らく響かない。
🧡「…俺、しばらくめめと距離置いてみる」
それが今の向井に出せる最大の答えだった。
次の日から向井は目黒から露骨に距離を取るようになった。
大広間で目黒が近づいてくる前に席を立ち、廊下で姿を見かければ違うルートへ曲がって逃げる。一緒の授業の時は1番前の席に座り目黒が隣に来るのを避けた。
怖くて目も合わせられなかった。
しばらくすると段々周りがまた噂を立てる。
『喧嘩でもしたのか』
『もともと付き合っていたのが破局しただけかも』
『無理して仲のいいふりをしていたのか』
『目黒くんを狙うなら今だ』
言われたい放題。そうなると日本人が黙っていない。
🤍「康二くん…めめとなんかあった?」
💜「めめが談話室で屍になってんだわ」
❤️「めめになんか言いたいことあるなら俺から言おうか?」
💙「何も知らねぇ奴が憶測だけで言いたい放題するのは普通に腹立つ」
すれ違う度に声をかけてもらった。
そんな日々が続いた1週間経った頃。
🩷「めめには何も言ってないの?」
🧡「色々考えとったらなんか、顔が見れんくて…話さなとは思ってんけど…」
🩷「そっかぁ…」
🧡「あ、俺借りとる本返さなアカンのや。図書室いってくるわ 」
🩷「はぁ〜い」
🩷(…そろそろめめが痺れ切らしそうってのは言えないよなぁ…)
借りた本を返しに図書室へ入る向井。今思えば目黒と出会った最初のきっかけも図書室だった。
🧡(…めめ怒っとるかな)
グイッ
その時、向井は誰かに思い切り腕を引かれた。
🧡「おわっ!?」
体制を崩したかと思えば壁に背中を押し付けられる。両腕を壁につかれ、完全に退路を断たれる。
🧡「…め、めめ…」
目の前には見た事のないほど冷たい眼をした目黒が立っていた。
🖤「なんで避けるの」
刺さるような一言だった。
🧡「あ、いや…避けてるんじゃなくて…その、最近課題が忙しくて… 」
🖤「嘘だ」
誤魔化そうにも無駄だった。言葉に詰まると目黒は向井の顔を覗き込みさらに問う。
🖤「…俺の事、嫌いになった?」
嫌いになれたら。
嫌いになれたらこんなに悩まくて済むのに。
胸が張り裂けそうな思いしなくて済むのに。
🧡「そんなわけ…ないやんか…っ」
🖤「じゃあなんで俺の事見ないの」
向井がそれ以上答えないでいると目黒はゆっくりと顔を近づけてきた。
吐息がかかる距離。
あと数センチで唇が重なる。
🖤「…康二」
「友達」じゃなくなる。
答えの出てないまま一線を超えるのが怖い。
向井は強く目を瞑り、掠れた声で呟いた。
🧡「や、…辞めてや…。戻れんくなる…!」
向井の目の端から一滴の涙が滴った。
その涙を見た瞬間目黒は動きをピタリと止めた。
強引に奪うことすらできたが、それ以上は動けなかった。
目黒の手から力が抜け体も離れていく。
🖤「……ごめん」
謝る声はあまりにも切なそうで、悲しそうで。
目黒の去る足音が聞こえ、遠のいていく。
図書室には向井のすすり泣く声だけが響いていた。
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