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<2:18>
向井はソファで寝ていた。
あのあと、目黒と顔を合わすにもぎこちなくなり目黒が風呂に入っているタイミングで就寝しようと毛布を被ったのだ。
しかし、眠りについて数時間で目が覚めた。
寝ぼけ眼で寝返りを打とうとすると身体に違和感を覚えた。
🧡(…あれ?)
部屋の電気をつけに行くのもめんどくさく、スマホのライトをつけた。
自分の脚に光を当てた。
🧡「え…!? …嘘や!な、治っとる…!? 」
そこにあったのは鱗ではなく、人間がもっている2本の脚だっ た。
手探りで自身の首と歯も触るが、あったはずの鰓も尖った歯もなかった。
🧡「治った…!治ったんや!」
向井は歓喜のあまり勢いよく飛び起き、目黒の部屋へ行こうとした。
だが立って歩こうとした瞬間、力なくその場にへたり込んでしまった。
🧡「なんや…?力が…入らへん…なんで?」
脚に全く力が入らない。
立つこともままならない。
結局前と同様脚を引きずるしかできないが、「早く目黒に知らせたい」。その思いで進む。
目黒の寝室のドアを開けズリズリとベッドへ近づく。
近くなるほど目黒の寝息が聞こえてくる。
🧡「めめっきいてや、俺治ってん!めめ見てや!」
話しかけたが目黒は起きる気配を見せない。
元々眠りが深い方だ、一度寝ると中々起きないだろう。
それは昔から変わらないから知っている。
早く教えたい気もあるが、目黒の穏やかな寝顔を見ると起こすのも申し訳ない気がして向井は大人しくなる。
🧡「起きたら…めめびっくりするかなぁ…またどっか遊び行きたいな…」
目黒の眠るベッドに頬杖ついて目黒の寝顔をじっと見つめる。
🧡「めめぇ…なんで俺にチューしたん…?」
🖤(スゥ…スゥ…)
🧡「やっぱ起きんでな…」
向井は目黒にそっと近づき
<チュッ>
目黒の頬に軽くキスを落とした。
🧡「仕返しや。これくらいは許されるやろっ!
…へへっ。好きやで…めめ」
向井はひとり満足気な顔をして目黒のベッドに突っ伏しそのまま眠りについた。
<6:24>
🧡「…うん?…あれ、そのまま寝てもうたんか…」
次に目を覚ました時も目黒の寝室だった。
🖤「あ、起きた?おはよ」
目黒は既に起床していてベッド上でスマホを見ていた。
🧡「あっめめ!!俺っ…!戻ってん!!」
思い出したように向井は「見て見て」と言わんばかりの歓喜の表情で目黒にそう言う。
🖤「戻った…?」
目黒はいまいちピンと来ていない反応だった。
🧡「やから脚やって!俺人間に………あれ?」
目黒に見せようと脚を動かしたが、そこにあったのは何一つ変わらない鱗と尾鰭だった。
鰓も歯も戻ってしまっている。
🧡「あれ?…俺、夜中に1回起きてそん時…
確かに見てん!!俺の脚戻っとってん!!ホンマに!!」
まさか、夢だった…?
🖤「康二落ち着いて」
🧡「信じてや!ホンマに…俺…っ、戻れたと…思ったんに…めめに教えよ思ってココ来て…」
天国から地獄に突き落とされたような落胆ぶりだ。
向井の目にうっすら涙が浮かび上がる。
🖤「康二、大丈夫落ち着いて」
🧡「うぇ…グスッ」
目黒が向井の涙を優しく拭う。
🖤「大丈夫信じるから、夢じゃなかったんだよね?」
🧡「うん…めめ今日仕事?」
🖤「今日と明日ラウールと一緒なんだよね」
🧡「えっええなぁ!ラウによろしく言うといて」
🖤「言っとく笑」
目黒は身支度を済ませ家を出ていった。
向井は見送ったあとしばらくボーッとしていた。
唇にはあの時目黒に内緒でキスした感覚がリアルに残っていた。
🧡「夢やなかった気がするんやけどな…」
13:02
現場が一緒だった目黒とラウールは仲良しなこともあり、昼休憩は揃って目黒の楽屋にいた。
なんでもない他愛ない話をしていた時、目黒のスマホに着信が入った。
🖤「ごめん出ていい?」
🤍「いいよ〜」
🖤「もしもし?お疲れ様です。はい…はい」
電話相手は別の現場に行っているマネージャーのようだった。ラウールは暇つぶしにスマホをスイスイ見ていると目黒が驚きの声をあげた。
🖤「えっ?…ほんとですか?」
その反応にラウールは少し話している内容が気になってしまった。
🖤「…えっと、すごい嬉しいんですが…ちょっと…考えてもいいですか? ちょっと都合が変わって…はい、すいません」
濁すような発言して電話を切る目黒にそれとなく聞いてみた。
🤍「俺が聞いてちゃいけないやつだったんじゃない?」
🖤「いやいいよ。ちょっと前に映画のオーディションうけててさ」
🤍「うん」
🖤「それが合格したらしくて」
🤍「すごいじゃん!おめでとう!」
🖤「ありがと笑 それをね、ちょっと断ろうかなって……」
🤍「えっ、なんで?」
🖤「撮影がさ、カナダなんだよね」
🤍「カナダ!? え、すごいのに!なんで?」
🖤「ちょっと事情がね、1回考えさせてもらおうかなって」
🤍「へぇぇ…まぁ海外ってなると長期になるもんね」
🖤「1年しないくらいかな…?」
🤍「あ〜…そうだよね。カナダってなるとすごいチャンスだと思うんだけどなぁ」
🖤「それは間違いないけどね」
ラウールはそれ以上は聞かなかった。
ただ不思議だった。
大チャンスを蹴ってまで大事な事情とはなんなのか…。
20:29
🖤「ただいまー」
🧡「めめおかえりぃ、ご飯できてるで」
目黒が帰宅した時、向井はリビングのソファに座っていた。
🖤「………」
🧡「ん?どないしたん?」
<ギュゥ…>
目黒は無言で近づきソファの後ろからゆっくり向井を抱きしめた。
🧡「うぉ!?めめホンマにどしたん!?」
🖤「なんでもないよ。」
🧡「ホンマに? 絶対なんかあったやろ」
🖤「…映画のオーディションの話、覚えてる?」
🧡「もちろんやん。え、まさか…」
🖤「………落ちちゃってさ」
🧡「せやったんか…審査員の人、見る目ないな」
🖤「今回は縁がなかったね」
🧡「もしかして、慰めて欲しいん?」
🖤「…そういうことにしといて」
🧡「しょうがないなぁ。めめおいで!」
目黒はソファに座ったあと、脚を開いた間に向井を座らせた。
背中で体温を感じながら目黒の頭を後ろ手に軽く撫でる。
🧡「めめはすごいんやからさ。また絶対チャンスあるて」
🖤「そうだね」
🧡「色んなオーディションもうけて偉いよなホンマ。俺が誇らしくなってまうわ」
🖤「うん笑 ありがと」
向井はそれ以上は何も言わず目黒に身を預けただ 大人しく座っていた。
#めめラウ
コメント
1件
透子さん、第11話読みました! 向井の脚が一度治ったのにまた鱗に戻っちゃうの、夢と現実の狭間みたいで切なかったです…。でも内緒でめめにチューしちゃうところ、可愛すぎて胸がきゅんとしました💕 あと目黒が映画のオーディション合格してたのに断ろうとしてるの、もしかして向井のことが気になってカナダ行けない…ってことですよね?最後にぎゅってして「慰めて欲しいん?」って言える2人の関係性が尊すぎます…! 次回も楽しみにしてますね🌷