TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

夏休みは、恋の予感

一覧ページ

「夏休みは、恋の予感」のメインビジュアル

夏休みは、恋の予感

10 - 第10話「また来年の夏に」

♥

3

2025年08月15日

シェアするシェアする
報告する

新学期の前日、駅前はいつもより人が多かった。夏休みの終わりを惜しむように、制服姿の友達同士や買い物帰りの家族が行き交っている。


私は改札の前で立ち止まり、翔太を探した。

ほどなくして、彼が自転車を押しながらやってくる。

「お待たせ」

「ううん、私も今来たとこ」


二人でベンチに腰を下ろすと、夕暮れの空が淡いオレンジ色に染まっていく。

街のざわめきと電車の到着音が混ざる中、しばらく無言で空を眺めた。


「なんか、夏ってあっという間だな」

「そうだね。でも……今年はすごく長く感じた」

「いい意味で?」

「もちろん」


翔太が少し笑って、ポケットから何かを取り出した。

それは、あの日祭りで買った金魚の根付けだった。

「ちゃんと持ってるよ」

「……私も」

私はカバンのファスナーを開け、白い金魚の根付けを見せた。


「じゃあさ、また来年もおそろい増やそう」

「うん、いいね」


電車がホームに入ってきて、風がふっと吹き抜ける。

その風に髪が揺れて、頬に触れる。

私はその感触と、この瞬間の空の色を、ずっと忘れたくないと思った。


「また来年の夏も、一緒に」

「……うん、約束」


発車ベルが鳴る。

立ち上がった翔太が、改札をくぐる前にもう一度だけ振り返った。

私も手を振る。


その笑顔を目に焼き付けながら、私は静かに心の中で繰り返した。

——また、来年の夏に。


この作品はいかがでしたか?

3

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚