「これは没収じゃ」
いつの間にか後ろに立っていたおじいさんが、手に持っていたタオルを掲げた。倒れるときに奪われたらしい。
「返して!」
慌てて立ち上がろうとするけど、足が震えてうまく立てない。
「ははは、嫌なこった!」
おじいさんはそういうと、老人とは思えない速さで商店街の方に消えていった。
「ちょっと、待ってよぉ!」
わたしは慌てて追いかけようとしたけど、大勢の人に阻まれてしまった。
「邪魔しないでぇ!!」
必死になって叫ぶけれど、全然聞いてくれない。それどころか、周りにいる人たちがどんどん増えてきて、わたしはますますパニックになってしまった。
「どいてください!お願いだからぁ!」
涙目になりながら叫んでも、誰もどいてくれない。そのうちわたしは大勢に囲まれてしまい、身動きが取れなくなってしまった。
「いやあああ!見ちゃダメェ!見ないでぇ!」
わたしは必死に手で胸を隠した。でもそんなことをしても、かえって逆効果だった。周りにいる人たちは、「いい体してるな」とか「かわいいね」なんて言いながら、わたしの体をジロジロと見ていた。中には、「触らせてよ」と言って手を伸ばそうとする人もいる。
「ひっ……」
恐怖のあまり言葉も出なかった。手は次々に伸びてきて、私は周りの人に担ぎあげられてしまった。しかも、両手、両足をつかまれて身動きが出来ない。さろだけじゃない。みんなは私の両足を開かせて、わたしの大事なところをみんなにみせつけるようにした。
「やめて……お願い……。もう許して……」
泣きそうな声で言ったけど、もちろん誰もやめてくれなかった。
「じゃあいくぞー」
そう言うと、たくさんの人が一斉に私を持ち上げた。そしてそのかっこうのまま、商店街の方に走っていく。
「イヤアァ!!降ろしてぇ!!!」
恥ずかしさと恐怖が入り交じり、頭がおかしくなりそうだ。でも、いくら叫んだり暴れたりしたところで無駄だった。そのままの状態で、商店街の中を走り続ける。買物中の大勢の人たちがそんなわたしを見てクスクス笑いながら、指差して何か言っている。
「見てみて、あれ」
「まあ、あんな格好で……。かわいそうねぇ……」
「若いっていいわねえ」
「写真撮ろうかな」
「何やってんだお前は!」
「すいませえん、通してくださーい」
「この変態女、気をつけなさい!」
「キャハハッ!」
「こっち向いて―!」
「誰か写メとれ!」
「うひょおおお」
「かわいいなあ」
「最高だぜ!」
「もっと走れー」
「頑張れー」
「俺の股間も応援してくれー」
「いやああああ!!!」
「みなさん、この子は病院へ連れていきますから、心配しないでください」
わたしを担いでいる男の人はそう言うと、さらにスピードを上げた。
「イヤーッ!誰か助けてぇ!」
わたしは悲鳴を上げ続けたけど、当然、誰一人として助けてくれる人はいなかった。わたしは、町の人たちに見守られながら、裸で走るという恥辱を味わい続けた……と、そのとき、私を担いでいる男の人の一人が、
「おいおい、見てみろよ、この女、こんな状況で濡れているぜ」
「ほんとだ、感じちゃんてんの?淫乱だなあ」
と言い出した。私は「嘘っ!?」と否定したかったけれど、確かに下半身の辺りに違和感があった。
「お前、見られて感じるタイプなのか?」
「ち、違います……」
「じゃあなんでこんなにしてんだよ」
「そ、それは……」
わたしは恥ずかしくて何も言えなかった。すると、別の男が、
「なんだよ、じゃあもっと気持ち良くしてやるよ」
というと、私の股間に手をのばし、ソコを触ってきた!
「あっ」(続く)
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