「麻衣!」
「……涼?なんで……?」
肩で息をする涼は、ゆっくりと動き出す電車に合わせて足を速める。その間も、ずっと何かを訴えかけるように動く涼の声は私には届かない。だけど聞き 逃してはいけない気がして、必死に涼の口のカタチを読む。涼は、何を私に伝えたいの?
(か な ら ず い く か ら ま っ て て あ の ――)
「コインランドリーで」
涼をホームに残したまま景色は流れて、電車は速度を上げて走り出した。今度こそ、本当にさよならを告げられるかもしれない。涼に会えるのは次が最後になるかもしれない。
考えれば絶望的な未来しか残されていないのに、この時はただ涼が追いかけて来てくれたことが嬉しくて、その姿を何度も再生して脳裏に焼き付けた。
次の駅に着いて、乗客が入れ替わる瞬間、入ってきた風が冷たくて季節の変わり目を感じた。夏が終わる。
「************
*****************************
*********
*******************
********
*******************
************
*********
コメント
1件