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#ハッピーエンド
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冬の夜の森は、全てが闇に飲み込まれてしまったかのように静かだった。月が厚い雲に覆われている今は尚更に。
目を凝らせば、森の奥に6等星のようにぼやけた灯りが見える。
僅かに見えるそれは、人工的な温かみがある。
更に目を凝らせば、その灯りは民家より二回り大きくそして武骨な建物から漏れていることに気付く。
これはかつて夜襲に供えて建設された見張り台を兼ねた砦。今は軍事訓練の休憩所として、ごく稀に使用される場所でもある。
ここは、ベル達の本日の宿だ。
そこから冬眠中のクマが目覚めてしまう程の大声が響いた。
「なんでだよっ。何でベルちゃんがあんな大怪我を負わなきゃいけないんだ!!」
「落ち着け、ダミアン」
「できるかよっ。だいたい何でレンがいたのに、こんなことになるんだよっ」
「……だから、それは今、説明したはずだ」
「納得できるわけないじゃんっ」
「できるできないの問題じゃない──それと気持ちはわかるが声を荒げるな。ベルが起きる」
「……っ」
激昂していたダミアンは、レンブラントの最後の一言を耳に入れた途端、はっと我に返った。
すかさずレンブラントは言葉を重ねる。
「あと、その手を離せ」
「……うん」
淡々とした口調で命じられたダミアンは素直に従った。
ちなみにダミアンの両手は、レンブラントの胸倉をがっつりつかんでいた。
「お前が怒り狂うのはわかるし、その通りだ。俺は言い訳をするつもりはない。殴られてしかるべきことをした」
レンブラントは乱れた胸元を整えながら、淡々と告げた。
かつて執務室として使われていたここは、そこそこに広い。
けれども、流行遅れの壁紙に、煤まみれの暖炉。そして色褪せしたソファーセットに、ニスが取れかかった大きな机があるのみ。
片側の壁はかつて本棚として使用されていたと思われる作り付けの棚があるが、今はほとんどが空だ。
そんな廃墟臭が漂うここは、遮るものが少ないせいで声が良く響く。
「……どうしよう。ベルさん、起きちゃったかなぁ」
「かもな」
我に返ったダミアンがオロオロとそんなことを言えば、レンブラントは気の無い返事をしながら執務机に移動して書類を読み始める。
ダミアンをぞんざいに扱っているわけではない。ただ単に時間が惜しいのだ。
「ねぇ、レン」
「……なんだ。殴るのは構わないが、悪いがこれを読んでからにしてくれ」
「しないよぅ。そうじゃなくってさぁ」
「だから何だ?」
「さっきは、その……ごめんね」
「……ああ」
再びそっけない返事をするが、レンブラントは別段怒ってはいない。
ダミアンに罵倒されたことも、胸倉をつかまれたことも当然だと思っているし、逆の立場ならどんな事情であれ、2、3発はぶん殴る。
あの時──レンブラントはクルトがベルの背中を踏み潰している時に既に近くにいた。けれど、領印をベルが破壊したことを聞いてしまい、助けることができなかった。
レンブラントは軍人である。知ってしまえば、ベルを処罰しなければならない立場だ。
それに見過ごしたくても、あの時は揉み消したくても難しい状況だったからレンブラントは、間を置いて登場した。
結果的には、ベルが殴られ、蹴られているのを傍観したことになる。それをダミアンは激怒しているのだ。
レンブラントの手のひらには己が付けた傷がある。耐える為に強く手を握りしめたせいで、爪が食い込んでしまったのだ。
「報告書、助かった。これでベルのことは、大体理解することができた。……あと、領印の再造許可は下りたか?」
「うん!」
元気よく返事をしたダミアンに、レンブラントは「だから声量を落とせ」と唸りつつ、あまりに簡単に頷くダミアンに疑念を抱いてしまった。
コメント
1件
えっ第45話もう読んだよ!?!? ダミアンがレンに掴みかかるシーン、すっごい熱かった…「納得できるわけないじゃんっ」って叫ぶとこ、友達を想う気持ちが全開で泣ける😭💕 でもレンが「その手を離せ」って冷静なのも対照的でグッときたよね…! ベルちゃんの怪我、本当に心配だよ…次どうなるの!?早く続きが気になる〜!