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人の愛とは一体何のためにあるのか。
諸君はこの疑問に深く考えたことはあるであろうか。
ある人は幸せになるためなどと言い。
またある人は子孫繁栄のために必要なことと言う。
これは後者の者の話である。
彼を一言で表すとするとそれは勉学少年という他なかった。
彼は幼き頃から英才教育を受けてきた。
父は政治家として財務大臣を務め、
母は財務省に勤めた。
そんな父母を見て育ち、勉学に励んだ。
毎日家庭教師にことを教わり、
東大に飽き足らず、今やオックスフォード大学を受けると意気込んでいた。
親や家庭教師はもうこの子の将来を確信したも同然という他ない。
そんな彼らの期待に応えようとした彼は毎日必死に生きている。
だが何か息抜きが必要と考え、1日数時間の休憩に必ず本を読んだ。
家にあるありとあらゆる本を読んだため、彼は一層物覚えが良かった。
もう彼と同じ頭は同世代にはいない。
彼はその生涯を勉学に捧げ、今の彼の頭は論理的、倫理的、哲学的な思想が多く目立った。
彼は全く感情を出さず、彼の言うことは正論が多かった。
テレビでもよく取り上げられ、将来の総理大臣候補などともてはやされた。
彼は国の将来の権化であった。
さて、
ここからは彼の恋愛についてだがここまで言った通り
彼の自由な時間など碌にないのだ。
つまり出会いなどあるわけない。
だが彼にも妻や子は将来必要となるため彼の親族は電光石火の如く彼の許嫁を探した。
するとちょうど良い人を見つけたのである。
ある日である。
彼に母は一度その許嫁に会いに行こうと言ってきたのである。
彼は勉強が忙しいので断ろうとしたが渋々連れ出された。
許嫁の家は豪邸だった。
父は外務大臣、
母はある保守政党の副総裁であった。
ところが彼女(これから許嫁のことを彼女と言う)はあまり勉学には興味がない様子で
彼と彼の母は拍子抜けであった。
彼はすぐさまこの許嫁を解消させようと思った。
だが今更そんなことはできぬ、一度二人きりで散歩でもどうだと母は言った。
予期せぬ事態に彼は少しの動揺を隠せんといたら彼女は言う。
「あなたはどうして勉強が好きですの?」
彼はすぐさま何故そんな当たり前なことを問うんだこの女と言うかのような表情で言った。
「そりゃあ勉学に励めば将来いい仕事に就け、金を稼ぎ、皆のためになる。」
彼女はやはりと言ったように、
「それはいいこと?」
と言った。
彼は悩んだ。
「いいことです。」
その言葉に確証はなかった。
彼はこんな女と将来を共にするのかと嘆きならも、
まあ結婚なんて子孫繁栄のためだしなと思うてあっさり受け入れた。