テラーノベル
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[3918年6月9日0時31分/3号]
ファーストに呼び出され、とあるシュミュレーション室に来た。ここでは、実験体のシミュレーションをして有能かを判断する胸糞悪い場所。
だから嫌いだ。そこに呼び出されるってことは、要らない廃棄品を潰せってお達しだろう。僕たちをなんだと思ってるんだ。
なんて思いながらシュミュレーション室に入るとファーストと少女がいた。その少女は、僕を見るなり笑顔になった。
それは、ヴェルタでの作戦をする前日にあった、明咲という少女だった。母さんと雰囲気の似たような顔だった。大体察しは付いていた。
だが、ファーストは僕の手に剣ではなく、小さなナイフを持たせた。そうすふと、部屋を出ていった。外から鍵をかけられた。僕ですら、任務を終えないとここから、でられない。そう物語っていた。
お兄ちゃんがナイフを持っている。なんだか苦しそうな顔をしている。どうしたんだろう。落ち込んでるなら私がよしよししてあげないとだね!!
だから、私は3号お兄ちゃんに近づいた。けれど、なんだかようすがおかしい。私がちかづくとまるで化け物でも見るようなめだった。
なにかおかしいって思って私は、じぶんの手を見た。そしたら、てがどろどろに溶けていたの。そういえば、さいきんつらくなると身体がとけたり形が変わったりするの。
「3号お兄ちゃん、私…、どうなっちゃうの?」
「…大丈夫。大丈夫だから…すぐ、楽になるから…。」
楽?お兄ちゃんは、おいしゃさんなの?!すごいなぁー。おいしゃさんっておじちゃんしかなれないと思ってたから、びっくりしちゃう!!
それに、白い服の人たちは、私がつらくなって形が変わると、汚いものを見る目で私に悪口をいうの。
でも、お兄ちゃんは私に悪口を言わないの。すごくうれしいよ!私の形をみとめてくれるの、きもちわるいっていわれないのって…こんなに…うれしいんだ…。
「私…、大人になったらお嫁さんになるの!!おむこさんは、お父さんなんだ〜!!」
「……そっか。」
「あんしんして!!お兄ちゃんみたいな人も私きらいじゃないから!!」
お兄ちゃんは、ちょっとたよりないけど、私が守ってあげれるから、おむこさんでもいいかもしれないわ!えへへ、むすこ!とかでもいいかも〜。
『君はね、君のお兄ちゃんに殺されるんだよ?』
頭に、あの怖い人のことばがひびいたの。怖い。ころすってのは、さしたり、なぐったりするんでしょう…?しんだら…お嫁さんになれ…ない…。
でも、私はそれを受け止められなかったの。わすれたくて、わらっていた。だって、死にたくないの。お兄ちゃんには、さっきから私をみて悲しそう。
「3号お兄ちゃん…、大丈夫…?」
「僕は君の、お兄ちゃんなんかじゃ…ないよ…。」
「うそ!!!だって!!お兄ちゃんわたしのおかあさんにすっごくそっくりだもん!!!めいさわかってるもん!!!」
「違う!!!僕は…、君と違う…。いらない子なんだ…。出来損ないだ…!!!」
いらない…子…?できそこない…?何を言ってるのかわからないよ。いらない子なんているわけないよ。だって、こんなにもいい子なのに。
きっとおかあさんに怒られてすねてるんだわ。そんなことないってひていしてあげないと!!
「そんなことないよ!私はお兄ちゃんうれしい!!お兄ちゃんいてくれるのしあわせ!!!」
「…だから違───」
「ちがわないっ!!」
けれど、お兄ちゃんはひていする。なんでよ…、私のお兄ちゃんがそんなに…、嫌なの…?どうしよう。かなしくてなみだがでてきた…。
お兄ちゃんはまた、顔を怖くした。ずっと苦しそうで、見ていられないくらい。なんで…、そんな顔してるの。お兄ちゃん…、お願いだから泣かないで。
うなりながら、お兄ちゃんは私にぴかぴかしたモノを向けてきた。それは、おかあさんをさしたあの怖いものと同じだった。
「い”やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!やめて!!」
少女の声から音割れするほどの高い悲鳴が出た。3号が向けたナイフ、それは、少女のトラウマを蘇らせるに十分匹敵するほどのものだった。
なんでどうして?!お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなのにどうひてそんなものを向けるの?!あれ…、なんで私の体またドロドロに…。
声もなんだかよくわからない。声が、私の声がきもちわるいの!!!体がいたい。ドロドロしてるよ…。助けて助けて助けてっ!!!しんで!!!
私は私の形でいられないの?!私のままでいられないの?!なんで…、いま私は……お兄ちゃんにこんなにもしんでほしいって…、おもったの…?
3号はドロドロに溶けるからだを前にして、ただ立ち尽くすことしか出来なかった。これ以上、どうすればいいのかわからない。
ついに、殺すことすらもう、できないと思いナイフを落とした。でも、少女の体の暴走は止まらなかった。3号の足を掴み縋り付いてくる。
なんでなんでなんでなんで?!なんでお兄ちゃんは私をそんな目で見るの?私は私はわたしはわたしはわたしは…!!!
3号は恐怖のあまり地面に尻もちをついた。だが、少女の体は溶け続けていた。だが、顔の形や指の形が変わる一方で、人としての形を全て変わるまでには至らなかった。
「やめ…、やめて…、僕は……、君のお兄ちゃんにやれないよ…。君のお父さんの子じゃ…、ない…。」
「ちがわないもんっ…!!お兄ちゃんはお母さんの子だから私のお兄ちゃんだもん…!!助けてよ…!!私を…、ころさないでよっ!!」
死にたくないよ!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない…!!!わたしは…!!およめさんになるって、すてきなおよめさんになっておかあさんになるってやくそくしたの!!
「約束…まもらせてよっ!!人として生きさせてよっ!!私を…、バケモノみたいにあつかわないでよ…っ!!お父さんとお母さん返して!!」
「僕は…ちが…だって…そんなの……。」
「しにたくないっ!!いたいのもういやだ…。めいさは…、…めいさはお嫁さんになって…ふつうに…生きるの……。めいさは…たくさんの子と…もっと…話したいよ…。まだ…やりたいこといっぱいあるの!!」
少女は何度も3号の胸をポンポンと叩く。ドロドロの体では攻撃なんてものも、物を持つこともままならない。3号の体の上に乗り、何度も泣きながら叩いた。その少女を押したりなんて出来なかった。
感情の制御すらできない少女をこんな小さな武器で殺せというのか。ファーストはまた、そうやって苦衷に3号を追いやっていた。
「僕じゃなく…君だけだったら…どれだけ母さんは…幸せだったんだろう…。僕なんて…いらなかったのに…。」
お兄ちゃんがそういったときムカついてほっぺをなぐった。お兄ちゃんもないていたのに、わたしはお兄ちゃんをおいつめていた。
「じぶんがいらないとかいわないでよ!!わたしだけのお兄ちゃんでいてよ…!!!」
体を何度も叩かれている。もういっそ早く、殺してやった方が楽なのに、僕は動けずにいた。どうして僕は、こうも優柔不断で、何も出来ない…?
なんで、こんな一人の女の子で…、自分の肉親で…、血の繋がった妹のことすら殺そうとしている…。人間扱いして、殺してやらない。
落ちていたナイフを拾う。けど、どうやって…?どこを刺せば楽に殺せる…?僕は…、今まで…何をして殺していたんだ…?
けど、ナイフじゃないと思った。もっと、楽な殺し方があった。この子は、多分兵器じゃない。心臓を破壊しないと死ぬ、なんてことだったら、こんなに小さなナイフを支給しないはずだ。
「殺さない…よ…。その代わり、この薬、たくさん飲んで。そうしたら、…ドロドロしたのも治るよ。」
「ほんと?…お兄ちゃん…、私ふつうに生きれる?」
「……うん。」
でっちあげ。だけど、泣き止んでもらうには、簡単に殺すにはこの方法しか無かった。薬を一気に沢山飲ませて、そのまま安らかに死んでもらう。
劇薬でもなんでもないただの睡眠薬。けれど、それが一番楽な殺し方だから、致死量の睡眠薬を飲ませた。少しずつうとうとし始める明咲は、僕に笑いかけた。
「…ねぇ、私…、今度お父さんの出張終わったら…、家族で遊園地…いくの…。めいさ…行けるかな…。」
「…うん、…行けるよ。」
少女は、少しずつ目をつぶる。母さんに似た顔、けれど、認めたくなんかない。その苦しそうな顔を見ても僕は、笑いかけることすら出来なかった。安心させることなんてひとつも出来なかった。
「眠くて…しんどいよ…。」
「…そっか…。」
「……お兄ちゃん、…おきたら…一緒に…遊んでね…。」
「…わかったよ…。」
そういうと、少女は…、明咲は安心したように眠った。一番楽な死に方。ただ、二度と起きない眠りについただけ。泣く必要なんてない。
だって、血が繋がってるだけのただの他人だ。知らないやつ、なのになんで…、涙が出るのだろう。なんて、わかりきってる。
この子とは、もう赤の他人だった。それでいい…。ごめん…僕は…、君のお兄ちゃんじゃない。
目が覚めたら、遊園地にいたの!!そしたらね!おかあさんとおとうさん!それからめいさ、お兄ちゃんがいた。
みんなはなかよく笑っていたよ!遊えん地で、ジェット・コースター?のって、かんらんしゃのって、きしゃぽっぽーのったの!!
みんなえがおで、すごくいつものせいかつで。あんなに苦しそうだったお兄ちゃんもすごく笑っていたの。よかった。みんなしあわせで。
お母さんはね、すごくやさしいの!お父さんも、やさしくてあかるくて元気!!でもね、めいさはお兄ちゃんのことまだ知らないよ。
お兄ちゃん自分のこと話したがらないからね!しかたない!ここはわたしがお姉ちゃんみたいな大きな心でお兄ちゃんをささえるのです!!
わかってるよ。お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんじゃないっていってるけど、つながりは、うそじゃ消えないんだよ。
お兄ちゃんは、お母さんににてすっごくがまん強い!!お兄ちゃんは、お母さんにすっごくにてるよ。私はわかってるんだよ。
はんぶんくらい、かんなんだけどね!でも、お父さんとはめっぽーにてない!きっとお母さんとおじいちゃんににたのね!
おじいちゃんがどんな人なのかはよく分からないけどね!でも、お兄ちゃんともあそびたいよ。お兄ちゃんは、私とのかかわりをもちたくなかったよね。
けど、お母さんとお父さんがなんやかんやしてくれてかぞくになったんだよ!!えへへ、うれしいな♪
私はお兄ちゃんとお父さんとお母さんの所に走った。
「次なんの乗り物乗る〜?!」
「そうね〜!あれとかどうかしら?」
「お!いいな〜!!」
お兄ちゃんは笑いながら私と手をつないだ。
[log-003 Sweet dreams.]
少女は平和を望んでいた。
少女は、純粋な優しさがあった。
それ故に、搾取された。
最後まで少女が甘い夢から冷めないことを願います。
『然るならば、少女が甘い幻夢から醒めぬことを願う。』
comi
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ばたっちゅ
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NGS_ヘビーなしっぽ
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コメント
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うわっ…この回、重すぎてしんどいけど、めっちゃ良かった…。 3号、自分を“いらない子”って言い切っちゃうところがもうグサグサ来たよ。明咲の方は最後までお兄ちゃんって慕って、遊園地の夢を見てるのが切なすぎる。♡♡♡しかない現実と、無邪気な妹の対比が心に刺さるわ。 「おきたら一緒に遊んでね」がもう…ずるいよ、これ。 天脳音月さんの描く“人間の業”みたいなテーマ、毎回やられるわ。次回も楽しみにしてる🔥