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11話 ふっくら、転職を考える
午後
ふっくらは丸い体を地面にしずめ
短い脚をちょこんと前に出して座っていた
腹がふよんと上下し
見た目だけは“やる気ゼロの仕事人”だった
ふっくら
「……転職しようかな……」
後ろで琶が影を落とす
大きな体
長い首
重なった鱗
畳まれた翼がふっくらの頭を半分おおって
日陰を作っている
琶
「……何になりたい」
ふっくら
「えっとね……
もっとこう……楽な仕事!」
琶
「今が十分楽だろう」
ふっくら
「言わないで!?
自覚あるけど言わないで!!
読者の前で言わないで!!!」
ふっくらは決意したように立ち上がる
丸い体がぷるっと震える
「よし!まずは……
自分の得意なことを考えよう!」
琶
「得意……?」
ふっくら
「うん!
えーっと……寝ること……?
食べること……?
あと……ころがる……?」
琶
「……赤ん坊でもできる」
ふっくら
「やめて!!
読者笑ってるから!!
そんな核心つかないで!!!」
ふっくらは地面に座り直し
真面目な顔になる
「じゃあ……ちゃんとした職業……
なんかあるかなぁ……」
琶は顎に爪を添えて答える
「……荷運びだな」
ふっくら
「丸いから!?
丸くて転がりやすいから!?!?」
琶
「効率がいい」
ふっくら
「効率で判断しないで!!
わたしの尊厳が丸い!!」
ふっくらは別の案を出す
「じゃあ……癒やし系どう?
ほら……見た目かわいいし……
癒やすだけならできるし……」
琶
「おまえの顔は癒やすが
行動は癒やさない」
ふっくら
「ぐさぁ!!!」
(丸い体がぺたんとつぶれた)
琶はふっくらの反応を楽しんでいるようで
読者のほうを一瞬見る
「……読者、どう思う?」
ふっくら
「読者に丸投げすなぁぁぁ!!!」
ふっくらは最終的に
深いため息をついた
「……転職、むりだ……
無理だった……」
琶
「最初からわかっていた」
ふっくら
「なんで!?
なんで知ってたの!?
予知!?!?
わたしそんなに働く気なさそう!?!」
琶
「……気づけ。
自覚しろ」
ふっくら
「読者の前で言わないで!!
もうやめて!!!」
ふっくらは最後に
ころんと横になり
「わたし……今の仕事が……いちばん……
何もしなくてよかった……」
と、結論を出した
琶はふっくらの頭を軽くつつき
静かに言う
「転職完了だ」
ふっくら
「してないよ!!
何もしてないよ!!」
ゆるい姿勢のまま
一日が終わっていった