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#異世界転移
花月夜れん
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彼は親からも友達からも愛というものを受けてこなかった。
愛されたことはない。
群がってくる虫に嫌気が差すように、群がってくる女に嫌気が差していた。
だから、恋をするなんて思っていなかった。
思っていなかった、だけ。
「いってらっしゃいませ、優様。」
皇凪財閥の玄関に声が響いた。
呼び掛けられた本人の、皇凪優は答えもしない。
そんな横暴で自分勝手な優は、女性にとってもモテる。
交際を頼む人も、キスをねだる人も、彼にとっては害虫でしかない。
そんなツンツンしたところも女性人気を呼んでいるらしい。
彼が唯一気を許している執事、月守の運転で学校まで行く。
退屈な顔も月守には馴れたものだった。
彼の通う星栄学園は、ものすごく優秀な生徒か、お金持ちの生徒しか通うことができない。
どこかの社長の息子や、医者の娘がいるのは当たり前。
人気なブランドのバッグや、有名な腕時計なんかには驚きはしない。
だから、お金持ちという理由以外、つまり、頭が良いからという理由で入った生徒は肩身の狭い思いをしている。
優が入学して一ヶ月たった、五月。
この時期になると、なぜか転校生が増える。
退学した人の代わりの人たち、逆に少し遅れての入学になった人たちなど理由は様々である。
ちなみに退学に追いやっているのは、紛れもない優である。
頭も顔も良く、家は有名財閥、ケンカも強い、逆らえるわけがない。
先生さえも。
そのせいで、度々人が回るのだ。
「今日は転校生が来てくれています。」
先生は馴れきったように言う。
生徒も特別驚きはしなかった。
「三人、入ってきて。」
女子、女子、男子。
生徒は男子に心の中で手を合わせた。
男子は優のいじめの標的にされやすいからだ。
まだわからないことばかり。
それなのに、優に失礼なことをしたら、意味もわからず地獄を見るは目になる。
一人目の女子が黒板に名前を書く。
さらさらの茶髪はポニーテールにされている。目が琥珀色で顔立ちも綺麗な可愛い女の子。
愛乃恵利。
「入江高校から来ました。あいのえりです。よろしくお願いします。」
そう言って深くお辞儀をする。
真面目タイプ。
頭の良さで来たやつだ。
優には気を付けろとみんなで暗示を送る。
二人目の女子が黒板に名前を書く。
紺色の髪の毛と白い目を持っている。とても美しく、ミステリアスな雰囲気の女の子。
姫歌憂。
「ひめかうれいです。よろしくお願いします。」
それだけ言うとぴょこんと頭を下げた。
金持ちそうな雰囲気は感じられない。
美人で許されるほど優は甘くないぞ。
クラスメイトは頑張れとエールを送る。
三人目の男子が黒板に名前を書く。
珍しい白髪で毛先をはねさせたチャラい髪型。ピアスも開いていてただ者ではない感じがする。
新妻亞音。
「にいづまあおでーす。よろしく。」
ニヒルな笑みを浮かべて言う。
多分金で来たやつだ。
こいつやばいんじゃね。
全員が思った通り、優の顔は強張っていた。
「はい、みんな仲良くするように。」
先生は気だるげに言うと、そそくさと教室を出ていった。
優はドアを閉め、転校生三人を床に座らせた。
また始まってしまう!
クラスメイトの考えはそれだけだった。
「おい、お前ら、何でここに来た?」
相変わらず圧がやばいです、クラスメイトの表情は強張るばかり。
恵利は、
「、、勉強、をするためです。あの、教師陣が優秀とのことだったので、、、。」
自信なさげに呟く。
それもそのはず、優に見下ろされているのだ。
威圧感もそうなのだが、顔面力がえぐい。
恵利はたちまち赤面して固まってしまった。
「ふうん、、、つまんないやつ。」
クラスメイトは胸を撫で下ろす。
つまんなくても地獄を見ることにはならないはず。
亞音は、
「俺は、特に理由ない。強いていうなら、優に会うためかな。」
教室中がどよめく。
「優さんと知り合い?」「幼なじみかな。」「どんな関係なんだろ。」
「相変わらず、うざいやつだな。」
優は睨み付けながら、苛立ったように言う。
「そんなこと言わないでよ、ひどいなぁ。」
そう言っておどけるように笑った。
すると、急に意地の悪い笑みを浮かべて、
「あのこと、忘れてないよね?」
と言った。
優は無視をした。
みんなは憂を見る。
憂は答えなかった。
ただ笑っているだけ。
「お前、ふざけてんのか?」
キレそう!やばい!
クラスメイトはハラハラしている。
「ふざけていません。本当に理由がないだけです。」
優は、他に責める理由も見つからず、クラスメイトたちをおいて教室を出ていった。
「ふー、、、怖かったぁ。」
みんなが口々に言う。
恵利は震え、憂いはものともせず、亞音は笑顔だった。
クラスメイトたちはエールを送ることしかできなかった。
この世界には、普通ではない子が存在する。
それは生まれたときから決まっているもので、変えることはできない。
彼らは能力を持っていて、約500万人に一人と云われている。
心を読んだり、動きを止めたり、少し浮くものもいる。
しかし、彼らはそのことを良く思っていない。
なぜなら、その能力を恐れた人々が、監禁したり、研究したり、殺したりするからだ。
そんな不思議な能力を持った彼らはこう呼ばれる。
呪いの子、と。
コメント
1件
めっちゃキタコレ…!!!😭💕 愛を知らないツンデレ財閥×転校生たちの空気感、もう一瞬で引き込まれたよ〜!特に白髪ピアスの亞音くんが優に「あのこと忘れてないよね?」ってニヤつくシーン、絶対なんかあるじゃん!?!?!? んで最後の“呪いの子”の設定で世界観ぶわって広がって、続きが気になって仕方ないんだけど!?😳✨ キャラの個性もビジュアルもめちゃくちゃ立ってて、1話で一気に沼に落とされた感じ…。次話絶対読みます🔥📖