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「…………俺と瑠衣は…………パンダか?」
侑の眉間がグッと深くなり、ギロリと美花を見やった後に、フッと表情を緩める。
「え? 可愛いと思う! 侑さんの冷酷無情で怖い顔つきが、あだ名で緩和されるし!」
「…………瑠衣、黙れ」
「や〜だよっ」
侑の一喝に、妻の瑠衣が右目の下を引き下げながら、ベッと舌を出す。
響野夫妻の会話を耳にしながら、おにーさんは思う事があるのか、感慨深げな面差しを向けていた。
「それにしても、今の二人を見てたら、瑠衣さん、すっかり元気になったようだな」
「お陰様で、元気ですよ。まだ楽器を吹く体力はないので、もう少ししたら、響野先生のレッスンを再開しようと思ってます」
「怜から聞いたが、一時は危篤状態だったんだろ?」
「ああ。だが、朝岡が何としてでも瑠衣を救うために、手を尽くしてくれた。術後一年間は、月に一度、外来で経過観察だけどな」
三人の会話を聞きながら、美花は、にわかに表情を曇らせる。
(危篤状態……? 術後……? 経過観察……? え……?)
彼女は、華奢な体型の瑠衣を見つめながら、ぼんやりと考える。
(…………瑠衣さんは、何か……大きな病気に…………罹(かか)ったのかな……)
今さっき知り合ったばかりの瑠衣に聞くのも、美花の中で憚られ、三人の様子を黙って見守る事しかできない。
そんな美花の様子に気付いたのか、瑠衣に眼差しを送られた。
「…………私、七月に、子宮頸がんになってしまって。それも、他の組織まで広がっていた浸潤性のがんで……子宮を摘出したんです」
「…………え?」
瑠衣の淡々とした言葉に、美花は瞠目しつつ息を呑む。
薄茶の瞳を丸くさせている彼女に、瑠衣が申し訳なさそうな表情を覗かせた。
「ごめんなさいね。いきなりこんな話を、初対面の人が聞いたらビックリしますよね? 美花さん、気さくな雰囲気があるから、つい……」
「いっ……いえ……」
複雑な面持ちのまま、美花は瑠衣の穏やかな眼差しを見つめる事しかできなかった。
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