三人は校門前に集合していた。朝から気温が高く、夏の日差しがじりじりと照りつけている。
「これ、マジでやるんだね…補習合宿。」
いさなはため息混じりにぼやき、持ってきた大きなリュックを肩に背負い直す。
萌香もその横で苦笑い。
「しかも泊まり込みなんて。先生、どんだけ本気なの…」
そこに、みりんが手を振りながらやってきた。いつも通り明るい表情だ。
「いやいや、逆に考えようよ!これ、合宿って言っても一緒に過ごせるんだし、ちょっとした旅行みたいなもんじゃん!」
「楽観的すぎるよ、みりん…」
いさなが苦笑するが、みりんの言葉に少しだけ気が楽になる。
学校の教室が宿泊所兼勉強部屋となり、全員分の布団が体育館に敷かれているというシンプルな合宿スタイルだ。到着すると、先生がニヤニヤしながら迎えてくれた。
「やぁ、ようこそ!青春を補習に捧げる合宿へ!」
「捧げたくないですけど…」
いさなが即座に突っ込むが、先生は全く意に介さない。
「さてさて、君たちのために特別なスケジュールを用意したよ。朝6時起床でランニング、その後3時間勉強。昼食の後は個別指導、夕方はさらに勉強。夜はテスト対策講座だ。」
「鬼か!」
萌香が叫ぶ。
みりんは手を挙げて軽く抗議する。
「ちょっと先生、息抜きの時間がないじゃん!私たち壊れちゃうよ!」
しかし先生は笑顔のままだ。
「壊れたら直せばいいさ!そのために私はいるんだから。」
「その発言が一番壊れてますよ!」
いさなが再び突っ込むと、教室内が笑いに包まれた。
夜、ようやく勉強時間が終わり、三人は布団に寝転がる。
「地獄のスケジュールだったけど、なんだかんだで乗り切ったね。」
萌香が天井を見上げてつぶやく。
「みりんが教えてくれたところ、今日全部出てきたしね。感謝!」
いさながみりんの方に顔を向ける。
みりんは得意げに笑う。
「まぁ、私にかかればこんなもんさ。でも、まだ初日だよ。明日はもっと厳しいかも…?」
「それ、全然励ましになってないから!」
いさなが枕を投げつけると、三人は笑いながら布団の上で暴れ出した。
その夜、先生は体育館の隅で夜食のカップラーメンをすすりながら、三人の笑い声を聞いていた。
「まぁ、なんだかんだで頑張ってるじゃないか。」
先生の顔には、どこか嬉しそうな笑みが浮かんでいた。
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