「よしよし」
「……」
あれからアオイが泣いている間、ずーーーーっと34番は抱きしめてアオイの頭を撫でていた。
「……も、もう大丈夫……だよ」
その効果もあってか徐々にアオイ自身の感情が戻ってきている。
「いいえ、まだです」
「うぐ……」
少なくとも今の状況に顔が赤くなるくらいまでは回復している。
「うにゃぅ……」
「可愛い良い!!妹ちゃんクンカクンカ」
思いっきり34番はアオイの頭を嗅ぐ。
「うぐ……」
当然、こうしてる間にも時間は進んでいる。
なので元々居るはずだった“主催者”がこの部屋に入ってくるのも不自然ではない。
「遅くなってすまない、ちょっとそこで__」
「__ずっと聞いてましたよね、ドアを少し開けて」
「敵わないな」
主催者の名前はリュウト、アオイと同じく【勇者】として召喚された人間だ。
「奴隷時代に私のトイレを覗く看守も居たんです、今さら人目なんて気にしません」
この少年が、降りてきた。
奈落の底に落ちたアオイの心を救いに……
「それで?いつまでそうしてるつもりだ?」
「あ、ごめんなさい」
そう言われた後、アオイは解放され、長い髪を無意識に髪をかきあげた。
「っ!」
「?」
リュウトはアオイの無意識の行動を見て見惚れるが……
「リュウトさん、許しませんよ?」
ネコミミ獣人は一言釘を刺す。
「え?あ!な、何を言ってるのやら!」
「ジーーーー」
「そ、それより、知ってると思うけど、改めて紹介するよ……その獣人は俺のパーティーメンバーの____」
「むぅ!」
あからさまに34番は顔を膨らまし不服そうな顔をリュウトに向ける。
「ごほん……家族の《アカネ》だ」
「よろしくお願いします♪アオイさん」
奴隷No.34番……アカネ。
アオイはその名前を心に刻み、覚え込ませる。
「よろしく……お願いします、アカネさん」
アカネの手を握り、優しい温もりを感じる。
「さて!と、じゃ、そろそろ戸の前で手を組んで待っている奴を連れてくるよ」
リュウトは話の区切りが付いたのを察して外に居る……
“もう1人の勇者”に声をかけた。
「もう入ってきていいよ」
「……帰ろうかと思った」
「まぁそう言うなってハッハッハ」
「!?」
入ってきた人物はアオイが絶対に忘れるはずのない存在。
「……久しぶり」
ヒロユキの姿だった。
「さぁ、全員揃ったし、【勇者会議】を始めようか。」
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