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第1話 チョップのイチョウとドラギの出会い
崖の途中で
足音が止まった
岩に指を掛けたまま
チョップは息を整える
厚い肩
張り付くような筋肉
古い傷が腕に走っている
道具は少ない
だが
どれも長く使われている
上から
布が擦れる音がした
軽い動きで
イチョウが降りてくる
細い体
無駄のない動線
色味を抑えた布が風に揺れる
目がよく動く
周囲を常に見ている
視線が合う
同じ場所を見ていると
すぐに分かる
二人の先に
新しく生まれたオアシスがある
まだ安定していない地面
水が浅く巡り
森が途中で止まっている
奥の岩陰で
小さな影が動いた
短い翼
未発達の体
静かな呼吸
ドラギは
二人を見ている
言葉はない
ただ
行動だけを記憶している
チョップは
岩を蹴らない
イチョウは
根を避けて足を置く
空気が揺れる
許可は
まだ出ていない
