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#異世界ファンタジー
一方、布団で横になっている金原の側には、圭助と八代が、居ずまいを正して座っていた。
「……では、そうゆうことで、かまいませんね?柳原さん?」
八代が確認すると、圭助は、深々と頭を下げる。
「いいですか?あなたには、しっかり働いてもらわなければ。店と屋敷は、金原商店が押さえます。しかし、それでは、利息が払えるわけがない。そうでしょ?」
「はい、十分承知しております。そして、金原さん、本当に、申し訳なかった。勝代があんなことをしでかしておきながら、利息の支払いだけの要求とは……こちらは、なんと感謝すれば……。勝代のことは、きちんと、お上へ届けでて、けじめは付けるつもりでおります」
ただ、ただ、頭を下げる圭助に、八代が、渋い顔をした。
「礼は、櫻子さんへ言うべきですよ。そして、勝代さんのことは、逃げてしまっては、どうにもならない。なにより、穏便に、という話が、崩れてしまう。いいですか!櫻子さんのご実家だからと、金原は、社長は、控えているんです!ですから、あなたは、柳原商店を更に大きくしてください。そして、こちらへ、利息として、払うものを払ってください」
どこか棘のある八代の言葉に、圭助は、黙りこんだ。
柳原の店と屋敷は、金原商店が押さえた。しかし、店は、これまで通り、柳原商店の名前で商う。すべて、借金の利息を支払うためと、八代は金原の言葉を代弁しているが、そこには、櫻子への想いがあった。櫻子の実家である、柳原家を存続させたいという金原の想いが……。
「ただ、柳原さん、あなたは、えたいの知れない男を店に招き入れ、挙げ句、あっさり、店の全てを持ち逃げされた。そんな具合で、果たして、金原商店へ利息が払えるのか、いや、まず、これからの商売をどうするか?そこで……」
八代は、一瞬黙り、金原を伺った。
その視線に答えるように、金原が続きを語り始める。
「……資本が無い今、柳原商店はどうにもならない。それでは、こちらも、利息の回収が滞る。そして、店を押さえている。柳原さん。うちが、資本提供しましょう。金原商店の傘下になって頂きます。そろそろ、半島、つまり、外地と取引を行おうかと考えています。……販路を広げたい。しかし、金原商店だけでは、無理がある……」
外地、販路を広げる、という金原の言葉に、圭助は頭をあげて、金原をじっと見た。思いもよらない、大きな話だったからだ。
「……失礼ですが、金原さん。半島へ、外地へ、金原商店の支店を出されるのですか?」
問われて、金原は、いや、と、否定しつつ、八代を見るが、八代も、どう答えればと、困った顔を向けてくる。
「……半島へ……支店か……」
ポツリと呟き、天井を見上げた金原の瞳は、瞬間、キラリと輝いた。
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