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#だてなべ
milk
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<0:52>
玄関の鍵を開け目黒が入ってくるを待つ向井。
ドアを開けてすぐこの姿を晒すのがまだ若干気が引けるのか、向井自身は真っ暗な寝室に戻りベッドの中に潜り込んでいた。
目黒はどんな顔をするのだろう。こんな姿の自分にどんな声をかけるんだろう。
驚くのは間違いない。
ここまで緊張するのはいつぶりだろう。
音のない部屋の中で向井の鼓動だけが聞こえる。
ガチャッ
玄関がゆっくり開く音が聞こえた。
🧡(めめきた……!)
声も出せずただその場でじっとしていた。
部屋は真っ暗の上物音1つしないから目黒も不思議に思ったのだろう。
🖤「康二……?」
名前を呼びながら静かに部屋の方に来る足音が聞こえた。
🖤「電気つけるよ?」
目黒がリビングの電気をつける音が聞こえた。
ただ自分は寝室にいる。
向井はベッドの中から弱々しく名前を呼んだ。
🧡「めめ……」
すると目黒はすかさず寝室のドアを開けた。
🖤「康二いる?」
🧡「……おるよ…」
🖤「電気つけていい?」
🧡「……ええよ」
パチッと寝室が一気に明るくなった。
目黒は掛け布団に包まりミノムシになっている向井を見つけそっと近づいてくる。
🖤「どしたの、出てきなよ」
🧡「ちょっと……心の準備が……」
顔も出さずモゾモゾする向井に対し急かすこともなく目黒はベッドに腰掛ける。
🖤「なに心の準備って笑 泣いてたんでしょ?」
🧡「……………………泣いてへん」
🖤「嘘すぎる笑」
🧡「泣いてへんよ!」
🖤「フフッじゃあ顔見せて。 泣いてないんでしょ?」
少し意地悪するような笑いでそういう目黒に向井は仕方なく布団から顔だけ出す。
🖤「やっぱり泣いてんじゃん目ぇ真っ赤だよ」
🧡「そんな赤い?」
🖤「うん。あんま言いたくないこと?」
🧡「言いたくないというか…見られるのが怖いというか…ほんまに引かへん?」
🖤「大丈夫、ビックリはするかもしんないけど」
🧡「……せやんなぁ…」
🖤「ちっさいときから近くに居てさ、今更嫌いになることなんてないよ」
🧡「誰にも言わんでな……?俺が今こんななっとるって内緒にしとってくれん?」
🖤「うん、わかった」
ここまで確認した向井は布団に包まったままゆっくり上体を起こした。
意を決した表情をして目黒の方を見る。
🧡「……いくで?」
🖤「……うん」
怯えた顔で、でも決意の見える向井の表情に目黒も思わず若干の緊張が走る。
向井は被っていた布団をゆっくり捲り、その姿を露わにした。
🖤「……………」
向井は目黒の顔を見るのも怖くて目を瞑っていたが、あまりにも目黒が何も言葉を発さないから気になって目を開ける。
そこには、ただマジマジと向井の鱗と尾鰭を眺める目黒がいた。
🧡「…………せめて……なんか言うてくれん?」
🖤「あ、ごめん。え、……本物?」
🧡「一応……」
🖤「……すげぇ…」
目黒は拒絶するどころか興味津々に向井の鱗を触りだす。本当に本物なのか気になるのだろう。
想像とはかけ離れたリアクションに向井は拍子抜けした。
🧡「気持ち悪ないん……?」
🖤「なんで?」
🧡「こんな……生々しいというか……可愛い女の子とかやったらまだしも……俺なんか30の男やで?ただのバケモンとちゃう……?」
🖤「可愛い子がどうとかは分かんないし、康二があんまよく思わないんだったらごめんなんだけど…
俺は綺麗だと思う」
🧡「……ヘァ!?」
🖤「なに今の声 笑」
意中の相手に唐突に「綺麗」と言われて上手くリアクションがとれなかった。
🖤「それに康二が康二である事に変わりないし」
心が溶けるような言葉だ。
嫌悪感と不安感がどんどん和らいでいく。
人の言葉というのは不思議な力を持っているものだ。
🧡「めめが言うんやったら…ええか 」
🖤「いいんだ笑 よかった。にしてもすごいね。ほんとに人魚だ」
相も変わらず鱗をツンツンしたり撫でてみたりする目黒を向井は自身の尾鰭で軽くペシッと叩く。
🧡「こしょばいねん! あとそれ人で言う生脚撫でてるようなもんやでぇ!」
🖤「あ、そっか。ごめんごめん笑」
🧡「もう……めめのえっち! いつの間にそんななってもうてん!」
🖤「いや上半身裸の人に言われたくない笑」
🧡「そ、それはさっきまで風呂におったからしょうがないやん!」
🖤「はいはい笑 でも生活ちょっと大変になるんじゃない?」
🧡「まぁ……それはそうやけど急なことすぎてまだ考えれてへんっていうか……」
🖤「そっか…………」
目黒は何か考えている仕草を見せた。
次に発した言葉は向井の想像を遥かに超えるものだった。
🖤「じゃあ…………俺ん家来る?」
🧡「…えぇ!!? めめん家!? え、一緒に住むって……こと……?」
🖤「うん。嫌?」
予想外の発言に思わず後ずさる。
好きな相手が一緒に住まないかと言っているのだ。夢なのか疑うほどだった。
🧡「嫌というか…めめに迷惑やんそんなん」
🖤「俺は別にいいけど、なんかあったら俺がなんとか出来るし」
🧡「え……まって…それは心の準備ってもんが……」
🖤「また心の準備いるの笑
もう決めたから。 心の前に荷物の準備しといて。俺1回車取ってくる」
🧡「えぇ!?ほんまに?ほんまに言うてるん?」
🖤「うん。30分で戻ってくるから」
そう言い残し目黒は向井の返事も待たずに部屋から出て行った。
急展開についていけない。
向井は思わず一人で呟いた。
🧡「…………同棲やん。付き合ってへんけど」