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あなたに処女を捧げた私を、もう一度カノジョにしてください。

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あなたに処女を捧げた私を、もう一度カノジョにしてください。

1 - あなたに処女を捧げた私を、もう一度カノジョにしてください。 第1話

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2024年03月21日

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 高校入学前の春休み――
大好きな彼女の市花と初体験した。
 五年間片想いしていた相手が俺のベッドにいるなんて夢みたいだ。
 細いのに柔らかい身体を抱き締めてウトウトしていると、名前を呼ばれた。
「律」
「何?」
「私、市花じゃないの」
「変な冗談、言うなよ」
「私が市花に見える?」
 彼女は俺の腕の中からのそのそ這い出て壁に寄り掛かり、アヒル座りをした。
 丈の短いパーカーワンピースを着ているから、太ももの隙間からランジェリーが見えている。
「どこからどう見ても市花だろ」
「律って市花のこと本当は何も知らないのね」
「なあ、どうしたんだよ?」
 金色に染めた長い髪に、並行二重の大きな目を彩るつけまつげばっちりのギャルメイク。小さくてスッと通った鼻筋で、肌はきめ細やかな色白。
 中学で一番目立っていた完璧な美少女。こんなの、市花の他にいるわけがない。
「私の正体、教えてあげる」
 彼女はヘッドマッサージをするかのように、左右から指を自分の髪の間に差し込んでゆっくり動かした。
すると頭皮がぐにゃぐにゃになり、金髪の束がするする滑り落ちて彼女の膝の上に乗った。
 ウィッグだ。
金髪から視線を上げて確認すると、彼女は肩までの長さの黒髪美少女に変身していた。
「イメチェンしたのか……?」
「ふふっ」
「実はずっとウィッグだったとか?」
「あはは!」
「市花?」
「違うって言っているじゃない」
 彼女は立ち上がってベッドから降りると、床に落ちていたハンドバッグを拾った。
「私は緋咲。市花の双子の妹なの。小さい頃から別々に暮らしているから知らなくて当然よ」
「は……?」
「ふふっ。律ってばマヌケ! 大好きな女の子に捧げたかった大切な童貞を、別人で捨てちゃったわね!」
「それ以上冗談を続けると、怒るぞ」
「この期に及んでまだ冗談だと思っているの? やっぱりマヌケね」
 彼女はハンドバッグの中から取り出した保険証を俺に向けた。名前は『海瀬緋咲』となっている。
「市花に聞いてみる? でもそんなことしたら私とセックスしたってバレちゃうわよ」
感情は困惑だったのに、冷静になるにつれて激しい不快感に変化した。
「何のために、こんなことしたんだよ!?」
「あなたのことが好きだから」
 俺は昂る感情に任せて叫んだ。
「二度と顔見せんな!」
「あら、私たち別れるの?」
「当たり前だろ!」
 俺は下着姿のままで彼女を玄関まで追い立てて、勢いよくドアを閉めた。
 こうして俺は初恋の相手になりすましていた相手と破局するという、永遠に心の傷になりそうな経験の後に入学式を迎え――

「海瀬緋咲……」

 二度と会いたくない相手の名前が、廊下に貼られている一年B組の生徒一覧にあると知った。

◆◆◆

 入学式——
 黒髪をワックスで整えて、毛先を遊ばせた。
 今日から高校生だし、白いシャツをズボンにぴっちり入れすぎないように少しだけ余裕を持たせた。
「よし……入るぞ」
一年B組のドアを開けると、奥の窓から満開の桜が見えた。
 続いて黒板を見ると、席と名前が記載されていた。出席番号順らしい。
「伊坂……伊坂っと……」
 俺の苗字は『伊坂』だから、出席番号は毎年前のほうだ。
 一年B組では一番目。だから席もドア側の最前列。一つ後ろの席には、伊坂の『い』の次である『う』とつく苗字の奴がくる。
 そう、案の定『海瀬緋咲』と書かれている。
 本人の姿は見当たらない。まだ登校していないのか。俺が安堵して席に着いた途端、前から声を掛けられた。
「おはよう、律」
「ふわっ!?」
「ふふっ。ゾンビを見たみたいな反応ね」
「海瀬緋咲……」
「あら、市花って呼び間違えないのね?」
 当たり前だ。
目の前の彼女は、俺に正体を明かしたときとは違う。言葉は悪いが、陰キャという表現がしっくりくる感じなのだ。
肩までの黒髪を無造作に下ろしただけ。長めに伸ばした前髪は丸眼鏡に掛かって顔に影を落とし、造形を判別しづらくしている。
 膝下の長さのスカートに、白い靴下。今時本当に地味な子でもここまで徹底するのは珍しいといえるレベルだ。
「その格好じゃ市花に似ても似つかないし、呼び間違えるわけがないだろ」
「学校では目立ちたくないからこういう格好なのよ。視力はよいからギャル姿のときに入れていたカラコンは度なしだし、これは伊達メガネ」
「何のために?」
「顔を隠すためよ」
「……だから、何のために?」
 俺は本当に意図がわからなくて、聞き返した。
「どうでもいい男にモテすぎるのもうざったいからかしら」
 緋咲はプイッとそっぽを向いて会話を切り上げると、席に着いた。
 過去があるし――俺もこいつとはできるだけ喋りたくないからありがたい。
手持ち無沙汰になった俺は、これから一年間過ごす教室を見渡した。
「さっき海瀬市花がいた」
『市花』という名前に反応してしまった。俺が五年間片想いしてきた相手。そして後ろの席の女がなりすましていた相手だ。
派手で可愛いらしい女子たちが『市花』の話題で盛り上がり、皆で一つのスマホを覗き込んでいる。
「誰?」
「これこれ、このSNSの子」
「うちの中学で一番可愛いって有名だったんだよ」
「へー。本当に可愛いじゃん。スタイルもいいし」
「このクラスじゃないよね?」
「C組みたいだよ」
 彼女たちは、このクラスの一軍女子で決定だろう。
 もうグループらしきものを結成しているなんて、リア充は仕事が速い。
彼女たちから目を逸らして俺が再び教室を見渡すと、スポーツ系男子、草食系男子、真面目系男子、文化部系男子、髪を染めている垢抜け系男子がいた。
この中の誰に話し掛ければいいだろうか。この選択が一年間を決める。
迷っていると、いつの間にか前に立っていたらしい誰かが話し掛けてきた。
「HRって何時からだっけ?」
驚いて顔を上げると、どことなく洋風な雰囲気で目鼻立ちが整っているイケメンがいた。
背が高く華やかで、モデルと名乗られても納得できる。
「おーい、聞こえてる?」
「え、えっと、九時」
 最初の発声がモゴモゴしてしまい、俺は恥ずかしくなった。
「思ったより早く着いたな。あ、僕は鈴方京次郎。君は?」
 茶髪の少年は、そう名乗った。
「伊坂律」
「律か。いい名前じゃん」
「京次郎は古風だな」
「よく言われる。親が時代劇好きで」
「どこの中学出身?」
「県外からきたんだ。だから知り合いはゼロ。これからよろしくね」
 京次郎——彼は多分一年B組どころか、この学年で一番の人気者になるかもしれない。
 それくらい華があって、男の俺でも目が離せなくなった。
 先々のために気に入られたい。どうすればいいだろう?
 俺は色々な手段を考えたが、どれも使う機会はなかった。
 だって、向こうから歩み寄ってきたから。

「ねえ皆、今週末に懇親会をしようよ」
教卓に両手を置いた京次郎がそう言ったのは、入学式後に教室に戻った直後。担任の先生がくるまで束の間の自由時間を過ごしている最中だった。
「律もくるよね?」
京次郎は、最初に俺の名前を呼んだ。
「ああ、うん。参加する」
 俺に続いて、目立つ奴らから順番に「参加」の意志を表明した。
 すっかり盛り上がった空気の中で京次郎がグループLIMEを作って皆を招待し、放課後を迎えたときには一人を除いて登録済みになっていた。

「えーっと、まだクラスLIMEに入ってないのが……海瀬さん!」
 京次郎が人懐っこい笑顔で声を掛けると、帰り支度をしていた緋咲が面倒くさそうに溜め息を吐いた。
「何?」
「クラスLIMEにまだ参加してないよね?」
「スマホ持ってないから」
 と、言ったところで緋咲の制服のポケットのあたりから『LIMEだよ!』という、台詞形式の着信音が響いた。
「……持ってるよね?」
「そうみたい」
 面倒くさそうに答える緋咲に、京次郎が戸惑っている。これまでの人生で、女子に塩対応された経験がないのだろう。
「懇親会の連絡もするし――って海瀬さん!?」
 緋咲はスクールバッグの持ち手を肩に掛けると、教室を出て行ってしまった。
「何で……?」
 京次郎だけではない。帰り支度をしながら何となく眺めていた俺も同じ気持ちだった。
俺が知っている緋咲は市花になりすましていたからか、愛嬌があって人懐っこい振る舞いをしていたのに。
今の態度は別人みたいだった。いや、別人だから当然か。

◆◆◆

 翌日の昼休み、弁当箱を開けようとしている緋咲に京次郎が声を掛けた。
「海瀬さん、あの、グループLIMEと懇親会の件なんだけど」
「鈴方君ってしつこいわね。そういうのは煩わし――」
 緋咲の京次郎への塩対応は、完遂する前に邪魔が入って止まった。
「海瀬さんってさ、海瀬市花さんの双子の妹って本当?」
 京次郎と緋咲の間に割り込んで尋ねたのは、サッカー部に入るとかいう陽キャの男子だった。
「そうだけど」
 緋咲が冷たく答えているのに、陽キャ男子はパーッと明るい表情になった。
「懇親会さ、双子のお姉さん呼んでよ!」
「違うクラスの市花を呼びたいなんて、意味わかんない」
「なあ、伊坂!」
 自席で傍観者をしていた俺は、突然陽キャ男子に名前を呼ばれて慌てた。
「な、何?」
「伊坂だってさ、海瀬市花さんを呼んで欲しいよな?」
「んー……まあ」
 無視したら立場を悪くしそうだから、俺は椅子を動かして後ろの席に身体を向けた。
「伊坂もこう言ってるし、お願い! 俺あの人と友達になりたい!」
「嫌よ。面倒くさい」
「海瀬さんが誘ったらきてくれるって! 双子なんだから」
「双子は仲良しって思っているわけ? あんたバカなんじゃ――」
「え、海瀬さんって、あの子の双子の妹なの!?」
 緋咲が陽キャ男子にキツイ一撃を喰らわせる前に横入りして止めたのは、一軍女子グループのリーダー格だった。
「うちらも友達になりたいから呼んでよ!」
「無理」
 緋咲は突き放すように言い放つと、弁当を持って教室から出て行ってしまった。
「うちがせっかくフレンドリーに話し掛けてやったのに、態度悪っ」
「海瀬さん機嫌悪かったのかなあ」
「機嫌っていうか、性格が悪いんじゃない」
 一軍女子グループのリーダー格は腕を組んで舌打ちし、陽キャ男子はフォローした。
 俺には緋咲の態度の理由はわからないが、何となく無視できなかった。
「お、俺ちょっとトイレ」
 教室を後にしたはいいが――
 緋咲の行き先なんて知らない。
 残された手段は一つ――LIMEで本人に聞く。
俺は緋咲のLIMEを多分クラスの人間で唯一知っている。
初体験した日にブロック済みだが、ブロックリストの中に残っているから解除すればメッセージは送れる。
『なあ、どこいる?』
 送信直後に既読がついて返信が届いた。
『屋上』
 俺は階段をひたすら上がり、ようやく屋上に繋がる階段が見えてきたところで、向かいの渡り廊下を駆け抜けてきた誰かにぶつかった。
衝撃で足がもつれ、柱に背中をぶつけた。
「いでぇ」
「ご、ごめん」
 後頭部を押さえながら顔を上げると、まさかの人物がいて動揺した。
 金色の真っすぐな長い髪に、つけまつげをつけたギャルメイク。細くて守ってあげたい感じで、おまけにいいニオイがする。
「い、市花!?」
 いつも太陽のような笑顔の市花の様子がおかしい。ハンカチを目頭に押し当てて俯いている。
「どうした?」
 俺が尋ねると、市花は顔を横に逸らした。
「俺とぶつかって痛かったから泣いてる?」
「違うの」
「そっか」
 これ以上何と言えばいいのか思いつかなくて、沈黙が流れた。
 立ち去らないってことは、俺に何かを言ってほしいのだろうか。
 市花は小学四年生のときに俺と同じクラスに転校してきたが、これまでほとんど喋ったことがないし、中学は三年間違うクラスだった。
接点が薄いのに、話を聞くよとか、悩みがあるのか? なんて尋ねるのは変ではないだろうか。
「焼きそばパンまだ残ってるかな?」
「お弁当忘れるなんて抜けてるんだから」
 誰かの話し声が聞こえたから目をやると、渡り廊下を女子二人が歩いてくる。
 市花は目立つし、泣いている姿を見られたら変な噂をされるかもしれない。
「人がくるけど、泣いてるとこ見られたくないか?」
 とんでもなく正直な聞き方をすると、市花が頷いた。
 歩いている女子二人と目が合ってしまい、俺は咄嗟に市花の手を掴んだ。
 彼女たちからは市花の後ろ姿しか見えないから、このまま背を向けて進めばいいが――マズい。奥は行き止まりだ。
 俺は横にあるドアの小窓に気付いた。
「ここ、空き教室みたいだけど入る? 嫌だ? 教室戻る?」
 情けない聞き方をすると、市花は小さく「入る」と答えた。
 俺たちは中に入って、窓の下で並んで体育座りをした。
市花はメイクが崩れないようにハンカチをちょんちょんと目頭と目尻付近に押し当ててから畳んだ。
 また沈黙だ。どうしよう。
今何を言うべきか必死で考えていると、市花が口火を切った。
「彼氏にフラれて落ち込んでいるの」
 彼氏――胸が痛んだが、平静を装った。
「市花……じゃない、海瀬さんは可愛いからもっといい出会いがあると思う」
「――いいよ」
「何?」
「市花って呼んでいいよ」
「お、おう」
 変な感じだ。ついこの間まで『市花』と呼び掛けていた相手は別人だった。
「ちょっと元気出た。伊坂君のおかげかな」
「俺も!」
「ん?」
「俺のことも下の名前で呼んでいいよ」
「ありがとう。でも――」
 馴れ馴れしかっただろうか。
「伊坂君の下の名前って何だっけ?」
「あ……」
ちょっとショックだが、知らないのも仕方ないか。
「律。伊坂律って言うんだ」
「律君って呼ぶね」
「おう」
「不思議だね。あたしたちってあんまり喋ったことがなかったのに、こんなところで二人きりで話しているなんて」
「まあ。でも社会科見学の日に少しだけ話しただろ? 覚えてる?」
「うん。中三の七月だったかな?」
「夏休み前だったよな」
「バスの場所わからなくて困って、律君に助けてもらったときが数年ぶりの会話だったかも」
「他の中学のバスに乗ろうとして止められたとかで、泣きそうになってたよな」
「泣きそうにはなってないもん!」
「ははっ」
 市花が頬を膨らませてすねたような顔をしたから、俺は自然に笑ってしまった。
「ねえねえ律君、オープンスクールでは見かけなかった気がするけど参加してた?」
「市花とは違う日程だったっぽい」
 だからまんまと、市花のフリをした緋咲に騙されてしまった。
 オープンスクールのとき、市花のフリをした緋咲から連絡先交換を持ち掛けられた。
 俺はこれを周囲に自慢したくて仕方なかったが、『中学では一言も口を利かないで他人のフリをして欲しい』と頼まれたから我慢した。
 今となっては嘘を貫くために秘密にさせたとわかる。
「この高校って髪染めるのもメイクも自由だし、制服も可愛いから憧れてたの。でもC組には同じ中学出身の人がほとんどいなくて、上手くやっていけるか不安」
「大丈夫だって。市花と仲良くなりたいと思っている奴、多いと思うぞ」
 俺だってそうだ。
ここが市花の第一志望だと噂で知ったから、受験して入学したくらいだ。
「ありがとう。律君と喋れて、元気になったよ」
「それならよかった」
「ねえ」
「ん?」
「律君みたいな優しい人を彼氏にすれば、あたしも幸せになれるのかな?」
「え……?」
 体育座りの膝に頬をつけてこちらを向いている市花にニコッと微笑まれ、直視できなかった。
「そ、そろそろ戻らないと」
「そうだね」
 俺は市花と並んで歩き、教室に戻った。
 これはチャンスだろうか。
 市花はフリーになったし、今の反応は俺に好意があるのだろう。
きっかけさえあれば、付き合えるかもしれない。
 期待に胸を膨らませている俺を地獄に突き落としたのは、あいつだった。

『私とセックスしたって、市花にバラされたくないならセフレになって』

 スマホにLIMEが届き、何気なく開いたらそんな衝撃的なことが綴られていた。
 俺は動揺してスマホを落とし、机に画面が激突してしまった。
 慌てて拾い上げて傷付いていないことを確認するとホッとしたが、同時に現実を思い出して憂鬱になった。
 どうしよう。この悪戯みたいなメッセージに何と返せばいい?
 まずは相手が何を考えているか探ってみよう。
 俺はブルブル震える指で返信した。
『意味わからない。説明してくれ』
 震えが止まらない指に対して、文章はいたって冷静で淡々として見えるのが皮肉だ。
 緋咲からはすぐに返信がきた。
『さっき見ちゃったんだけど、市花と仲良く話していたわね? いい雰囲気だったわよ。あの子と付き合えちゃうかも。私がバラして幻滅されなければね』
 動揺して振り返ると、緋咲は教室の後ろのロッカーに寄り掛かりながらこちらを見ている。
 口角が愉快そうに上がっていて、腹立たしい。
『どうする?』
『セフレって何? よくわからないし、意味わからないし、どういうことだよ?』
『私がセックスしたいときに、セックスするだけの関係になれってこと』
『そうしないと、市花に過去をバラすって?』
『その通り!』
 脅迫にしてはおかしいが、今の俺には一番効く交換条件だった。
『本当に、それだけでいいのか?』
『ええ。あなたが約束を守ってくれたら、市花には秘密にしてあげる』
 先程の市花の姿を思い出した。
 接点さえできれば、付き合える日がくるかもしれない。
 俺がずっと彼女にしたいと願ってきた相手は、市花なのだ。
 俺は緋咲への返信を打つために、スマホに触れた――

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