⚠アメ日
⚠🇺🇸がヤンデレ
犯罪行為を助長する意図は御座いません。
アメ→→→→→←←日
道行く人の中に、お高そうなお菓子を彷彿とさせる紙袋を下げている人や、甘ったるい声で誰かと連絡を取っている人
すれ違う男女は、皆幸せそうに指を絡めて歩いている
私が仕事帰りに通る駅の辺りは、大体の時間帯、人で賑わっている
でも今日は少し特別な日なだけあって、より一層賑わいを見せている
そう、何と言っても今日は、愛しい人に愛を伝える日
バレンタインなのだから
それにしても目のやりどころに困る景色だ
目を逸らしても逸らしても、視界に映るのは一組のカップル
いつも仕事を押し付けてくる残業の原因(上司)が、今日はバレンタインだからと浮かれて、珍しく自分で仕事を片付け帰ったために定時で帰れはしたものの…
これか…
まぁどちらにせよ、男だらけの職場に通っている自分にとってはそんなもの無縁で、ただの出勤日なわけで
「…はぁ、」
自分にも素敵な人がいたらな、という虚しい願いに、溜息が出た
でも、行事の気分くらいは味わったって良いだろう
私は、駅構内に入っている少しお高いチョコレートショップへ向かった
そうそう、自分へのご褒美も兼ねて、たまには贅沢しとかないと
ショーケースにずらりと並ぶ、宝石のように艶やかなチョコレートをるんるんと眺めていると、携帯が通知音を鳴らした
悲しいことを承知で言うが、私にLIMEが来るなんて珍しい…
「あれ、アメリカさん…?」
通知一覧に見えたのは、友人のアメリカの名前だった
そういえば最近連絡を取れていなかったな…
何用かと思い開いてみれば、
「うーんと…俺の家来ないか…って?」
定時で帰ることができたとはいえ、もう薄暗い夜だ
今からお邪魔するのは親しい友人といえども気が引けたので、
「明日は休暇なので、明日にでもどうですか…と」
一応返信はOK、
…いや既読早っ?!
「今日に来て欲しい…?まあ、私の家からそこまでの距離は無いですし、行きますかね」
そして、アメリカさんのお家にお邪魔するので折角ならと、アメリカさんにあげる少しお高いチョコレートの会計を済ませ、私は駅のホームへと向かった
思わず悪役のようにほくそ笑んでしまった
こんな顔を見ても、日本は俺を受け入れてくれるだろうか
俺はこの日をずっと待ってた。
ハッピーバレンタイン、日本。
こんな素敵な日は、お前と会わずして何があるというのか
それに、この日の為に入念に準備しておいて良かった、と思える返信も返ってきた
まあ、日本が押しに弱いというのは昔からの周知の事実だから、断られてもねだり続ければいいとは思ってしまっていた
お前は知らないんだろうか、日本、お前の事はなんでも筒抜けだぞ?
実はこの前二人きりで遊んだとき、少しスマホに仕込み物をしておいたんだ
…世間一般に言うストーカーというものなのだろうか、俺は。
それでも、構わない
アイツは友人を拒絶する何て事はしない
…できないはずだ
俺は昔からの付き合いだから知ってる
最後まで仲間を信じようとする、どうにも困った性分のお人好しだ
「…お、今駅着いたのか」
日本からのLIMEの通知音が鳴る度に、ぼそりと呟く。
そうして俺は、スマホアプリの地図上を動く青い点を愛おしく眺めた
やっと人だらけだった駅を抜け出すことができた
ちょっとスーパーにも寄って、行く準備完了だ
バレンタインが終わりそうなために行われていたバレンタインセールで、売れ残っていたマロングラッセも手に入れた
アメリカさんの家に行かない予定だった今日の朝から、スーパーには寄ろうと考えていた
よく通うこのスーパーでは、行事当日の夜にセールをやっているからだ
悲しいが、行事だったとしても当然ながら会社は休みになんてならない
そのため、必然的に夜に帰ることになるのだ、
だからこそ、そのご褒美。
マロングラッセ…はじめて食べるし、アメリカさんにもお裾分けして一緒に食べようかな
…え?やけにウキウキしてるなって?
凄く楽しみなんですよ、アメリカさんと久々に会うの!
な、なんですか楽しみにして悪いですか!!
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!