手錠を付けられ俺とアンナ先輩は船長の居る甲板まで連れてこられた。
「来たねお姉ちゃん♪」
「わっ」
ジュンパクが俺を見るなり抱きついて胸に顔を埋めてスリスリしてくる……本当に見た目は幼女なのになぁ。
「はぁはぁ……最高」
……男の胸ですまん。
「えーっと、ジュンパクさん、だっけ?僕達を呼んだのはいったい……」
「んー?ミーがちょっとお姉ちゃんとスキンシップ取りたかっただけ〜って言うのは冗談で、ミー達の戦いを見せてあげようとね?」
「戦い?」
「うん、今少し追い払ってるだけで……ほらきた、見て」
ジュンパクは船の横を指差しそこにいたのは船の半分くらいある巨大な赤いイカ。
「でかっ!」
「すごいでしょ、【オクトクラーケン】って言うんだけどあんなに大きいのは久しぶりに見たかな?なんか知らないけどこの船を攻撃してきてるんだよね」
それってタコなの?イカなの?
「そ、それで何で僕たちが……」
「ちょ〜っとミーの馬鹿な部下にお痛をしたみたいだから、力の差を解らせてあげようと思ってね」
そう言ってアンナ先輩をチラリと見る。
「見てたのね、いやらしい」
「別にババァは見てないよ?ミーが見てたのはお姉ちゃん♪」
「……チッ」
アンナさんはものすごく苛立ちながら舌打ちした。
「それで、あの魔皮紙は何かな?コイツを呼ぶ為?」
魔皮紙の事もあの時会話にあったはず。
それを知らないって事は映像だけ見てて会話は聞こえてないってことかな?
「!……そうよ……バレてしまったらしょうがないわね……これが私達の最終切り札……“モンスターを引き寄せる魔皮紙”よ!」
そこにアンナ先輩も気付いたのか悔しがる演技をして嘘をついた。
「ふーん」
__ビシッと乾いた音がする。
「!?」
ジュンパクがアンナさんをビンタしたのだ!
「余計なこと、してくれたね、あれにミーの船員が何人か食べられた、このツケはテメーの身体で払ってもらうからなババァ」
先程の少女みたいな気の抜けた雰囲気とはガラリと変わり殺気を放ちながらアンナ先輩にジュンパクは話すが負けず劣らず尻込みせずの先輩。
「上等よ、私のテクニックで全員骨抜きにしてあげるわ変態ども」
すごいなこの人、俺なんて俺に言われてるわけじゃ無いのにちょっと涙目になっちゃったよ。
「減らず口が……フンッ」
ジュンパクはまさに海賊のキャプテンらしい帽子を被り__
「ヤローども、今夜は裸の女に酌してもらいながらあいつを喰らうぞ!」
「「「「おおおおおおおおおおお!!」」」」
「帆をはれ!海賊旗をあげろ!相手はモンスターだがミー達の存在を解らせてやれ!第一魔法陣の準備!【ヴォルケーノ】にてめーらありったけの魔力を注ぎ込め!それで焼ききれなかった時のために【サンダークラッシュ】魔法陣にも魔力をだしておけ!てめーらが海に逃げてもいいが一緒に焼き焦げないようにな!ハッハッハッハ!」
ジュンパクの指示と共にそれぞれ船員が動きだす。
「お姉ちゃん、じゃあ行ってくるね?」
「え!?あ、はい!」
ジャラリと例の鎖鎌をどこからともなく出してジュンパクは飛んで船を降りた!
え!?泳いで戦うの!?
と思ったが、なんとジュンパクは海の上に立っていた。
あれも魔法!?
「なるほどね……」
「アンナ先輩、何かわかるんですか?」
「多分だけど【ヴォルケーノ】や【サンダークラッシュ】は上級大型魔法、発生や魔力溜めに時間がかかるんじゃないかしら?だからあのジュンパクとかいうガキは1人で時間を稼ぐつもりね、よっぽど自信があることね」
あんな自分の何倍もあるイカと戦うの!?この世界の人たちまじおかしいよ!?
「まぁいいわ、私達はそれを見せられて脱走なんて無駄って事をわからせたいのよ、たぶん私が魔皮紙で何かをしたのは分かってたからこのオクトクラーケンは私が呼んだことになってるのね」
「アンナ先輩……その」
ジュンパクはアンナ先輩を使って部下達にエッチなことするつもりマンマンなんだけど……大丈夫なのかな……
「さっきの話?別にいいわよ?奴隷になった時点で女は捨ててるし何をされようが構わないわ」
本当にこの人何者なの、奴隷ガチ勢ってこういう事を言うのかな?頭が下がります!
そして、ジュンパクVSオクトクラーケンが幕を開けた。
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