「データが消えてるって、どういうことですか?」
データが消えていると宝条さんに言われたのに、私は素っ頓狂な質問をしてしまう。
「明日のためのデータが存在していないということだ」
宝条さんは静かに教えてくれるのだが、それは怒りの矛先が見つからずに内に秘めていることを告げていた。
「で、でも、停電で消えたとしても会社のサーバーは対策できているはずでは」
「それがないと言っている。何度も言わせるな」
「ごめんなさい……」
もうそろそろ会社を出る支度をしなければ、終電が過ぎてしまう時間。
家に帰れない程度であれば問題ない。
でも、宝条さんがプレゼンをするまで12時間を切ってしまっている。
「くそっ!!」
今度は拳を作ってデスクを思い切り叩く。
その音は鈍く、私の胸にまで痛みがやってくるのだった。
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