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結晶の魔女と小さな男の子

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結晶の魔女と小さな男の子

2 - 第二章:見知らぬ村と、冷たい目

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2025年11月25日

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第二章:見知らぬ村と、冷たい目
 旅は、思っていたよりも過酷だった。森を抜け、山を越え、川を渡って……ふたりは、はじめて“外の世界”を知ることになった。


「ひ、人が……こんなにたくさん……」


 ヒイロが小さくつぶやいた声は、街の喧騒にすぐ飲まれていった。  はじめてたどり着いた人間の村。けれど、そこにはどこか張りつめた空気が漂っていた。


 ルナの姿が、村人の目に映った瞬間だった。


「……魔女、だ……!」


 誰かがそう言った。空気が、一気に冷たくなる。


 次の瞬間、まるで警報のように、あちこちから怒号が飛び交った。


「魔女が来たぞ!」 「追い出せ! この村から追い出せ!」 「また誰か呪われるぞ!」 「あいつのせいで、去年の干ばつが──!」


「ま、待ってよ……! ボクはなにも……!」


 ルナの声は震えていた。けれど誰も耳を貸さなかった。  そして次々と物を投げつける。村人が投げた石が、ルナにあたり血が滲む。


「ぐあっ…!?」


 そこにヒイロが盾になるように立ちはだかる。


「や、やめてっ……! ルナは、そんな……悪い魔女じゃない……っ!」


「黙れ! 魔女に味方するやつなんて信用できるか!」 「ガキのくせに魔女に取り込まれたんだ!」


 怒りと恐怖が入り混じった声が、ヒイロの心に突き刺さる。  手を引かれて引きずられそうになったヒイロの腕を、ルナが必死に掴んだ。


「もう、いいよヒイロ……行こう」


 結局、ふたりは村に泊まることもできず、日が暮れる前に村の外れへ追いやられた。


 夜の焚き火の前で、ルナは静かにうつむいていた。  着ていたローブは泥にまみれ、当たった石の傷が赤くにじんでいる。


「……ヒイロ、ボク……なにかしたのかな」


「え……?」


「ボクは……ただ話し掛けようとしただけで…なにもしてないのに…魔女だから?」


 ヒイロは言葉に詰まった。  言い返したかった。でも、あの村で見た光景が、否定を許さなかった。


「……でも、ルナは……やさしい魔女、だよ。僕は、知ってるから……」


 ヒイロの声は弱々しかった。  それでも、ルナはその言葉に、少しだけ目を細めた。


「……ありがと」


 火の粉が、夜の空へと舞っていく。  その先に待つ“塔”の存在が、ふたりの未来を変えていくことを、まだ誰も知らなかった。


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