コメント
4件
「逢えない時間が愛育てるのさ目を閉じれば君が居る」ってあの唄の歌詞そのまま岳大さんと優羽ちゃんに🎁
2カップル誕生か〜っ⁉️゚+。:.゚(*゚▽゚*)゚.:。+゚ ワクワク度更にアップ⤴️⤴️⤴️
お兄さんの新たな進展よね頑張ってください🙌
それから一週間後、この日は岳大と井上がカタログ撮影の為に山荘に来る事になっていた。
優羽は午後三時、宿泊客のチェックインの対応に追われていた。
今の時期この辺りは紅葉シーズンのピークを迎えるので、宿を訪れる客足は絶えず部屋は常に満室の状態が続いていた。
チェックインの対応が落ち着いた頃、駐車場に見覚えのある車が入って来た。岳大の車だ。
優羽の心臓が高鳴る。
車のエンジンが止まると、中から岳大と井上が降りて来た。
久しぶりに岳大に会った優羽の声は、心なしか上ずっていた。
「いらっしゃいませ。長旅お疲れ様です」
優羽が声をかけると井上が笑顔で言った。
「優羽さんの備品の段ボール箱、忘れずに持ってきましたからね!」
「いやー、来る途中紅葉が素晴らしかったですよー」
岳大はとびきりの笑顔で言った。
その笑顔を見た優羽は胸の奥がキュンと疼く。
岳大の方も久しぶりに優羽の姿を見て胸がいっぱいだった。
優羽が長野に帰ってから、岳大はいつも優羽の事を思っていた。
東京で一緒に過ごした時間が、さらに優羽への思いを募らせている。
久しぶりに会った優羽は、東京で会った時よりもどこか弱々しく儚げで守ってあげたいような雰囲気に満ちている。
そんな優羽の事を岳大は今すぐにでも抱き締めたいような衝動にかられていた。
しかしなんとかその気持ちを理性で押しとどめると、いつものような紳士的な態度に徹する。
そこへ山岸夫妻が近づいて来て言った。
「いらっしゃい! いやー岳大君もとうとう実業家だねー。君のブランドは大人気らしいじゃないか。先日もテレビで有名人が話していたとか……」
「あれはラッキーでした。俳優の大和翔真の影響力は凄いですよ」
すると今度は紗子が興奮して言った。
「実店舗がオープンしたら大和翔真が来るんじゃないの?」
「いやー是非来て欲しいですね」
岳大は嬉しそうに笑った。
岳大達が立ち話をしている間に井上がチェックインを済ませた。そして車の荷物を部屋へ運び始める。
フロントに戻った優羽は、外で話している岳大の事が気になりチラチラと盗み見る。どういうわけか視線が岳大に行ってしまう。そんな自分に優羽は戸惑っていた。
あの日新宿駅で自分の気持ちに気付いて以来、岳大に会うのは今日が初めてだ。
なぜか岳大の顔を見るとドキドキしてしまう。
優羽が悶々としながら事務作業をしていると、舞子が近づいて来て言った。
「優羽ちゃんと佐伯さん、とってもいい感じ!」
突然舞子がそんな事を言ったので優羽はびっくりする。
「えっ? そんな事ないです」
優羽の返事に舞子はフフッと笑いながら言った。
「私ね、昔からそういう勘だけは鋭いのよ。だからわかっちゃうの」
優羽は耳まで赤くなりながら慌てて言う。
「違うの。これはそういうんじゃなくてなんていうのかな? 尊敬みたいな? きっとそんな感じなの」
すると舞子は茶目っ気のある表情でこう言った。
「実は最近私もね、ちょっと気になる人が出来たの。だから私達って今同じ心境かもしれないわ」
舞子の言葉に優羽はかなり驚いている様子だった。
「舞子さんも? ええっ!? 舞子さんの気になる人って?」
「優羽ちゃんのお兄さんよ!」
舞子の告白に更に優羽が驚く。
「えっ本当に? うわーっ…兄に舞子さんは勿体ないわー…」
優羽の言葉を聞き舞子がクスクスと笑う。
それから真面目な顔をして言った。
「裕樹さんはすごく優しい人だと思うわ。妹思いで流星君の事も心から可愛がっていて…それにお母様の事も! そんな家族思いのところがとても素敵だなって思ったの」
舞子はとても穏やかな微笑みを浮かべた。まさに恋する女性の微笑みだ。
自分の兄の事をそんな風に思っていてくれた舞子に対し、優羽は感動のようなものを覚える。
そして舞子に言った。
「舞子さんありがとう。私、舞子さんがお姉さんになってくれたら凄く嬉しい! だから絶対に二人をくっつけなくちゃ!」
「ありがとう」
そこで二人は見つめ合うと声を出して笑った。
そして腕を組んで歩きながら食堂の手伝いへ向かった。