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校外学習二日目の自由散策。班ごとに行動するはずが、隼人がふらっと「こっち近道じゃね?」と角を曲がった瞬間からすべてが始まった。
「隼人? え、いない!」
大地が振り向いた時には、すでに人混みの中に姿はなく。
隼人はと言えば、
「うーん、この道さっきも見た気がするな……まあいいや」
と鼻歌まじりに歩きながら、観光地の路地をジグザグ。
地図アプリも「電波弱いです」と冷たく告げる。
気付けば同じ土産屋を三周していた。
班の残りメンバーはパニック。
柊は冷静に腕を組み、
「あいつ……方角の概念ないのか?」
萌絵は目を輝かせ、
「これは! 隼人救出ミッション! 大地くん、恋人役ムーブでお願いします!」
涼はスマホを構えつつ、
「実況タイトルは『迷子王子を探せ』だな。視聴率高そう」
大地は両手をわたわた振り、
「いや、そんな配信しないから! てか笑ってないで探す!」
1時間後、
「大地〜〜〜!」
商店街の向こうから手を振る隼人を発見。
「おっせーな! 俺ずっとここにいたのに!」
「ここ三回目だよ!? 同じ店の人が心配してたよ!?」
「え、そう? なんか楽しかったし」
柊がため息をつき、
「もう次からはリード付けるか」
萌絵と涼はハイタッチ。
「迷子王子、最高のネタだったな」
大地は肩を落としながらも、
(……まあ、無事でよかったけど)
と心の中でだけ安堵したのだった。