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砂浜に寝そべる人魚。ウェーブのかかった青い髪はとても綺麗で、細身の身体に魚の下半身。その人魚が目を覚ます。
「う〜ん。よく寝たぁ。えっここどこ?あんたたちは? なんでウチこんなとこにおるん? え? え?」
──うちの中年が拉致しました。
「お前は俺が釣り上げた魚に絡まって来たから仕方なくこうして保護したんだ」
ダリルにいちゃんは俺にアイアンクローしながら説明する。痛い。痛い痛いイタイイタイイタイイタイ……。
「ええっ? そうなん? いやーきっと寝ぼけてたんやわぁ、恥ずかしいわぁ」
ダリルにいちゃんの嘘をあっさりと信じた人魚は、なんかモジモジしながらダリルにいちゃんを見ている。
「そこでいい機会だから、お前のウロコを貰いたくてな」
これは──追い剥ぎ。
「ええっ? ウロコを? それは……その、ウチを貰ってくれる言うことなんかな?」
何でそうなるんだと再びのアイアンクローを受けながら思う。イタイイタイイタイイタイイタイイタイ……。
「いや、ウロコだけでいい。お前たちの風習も知ってはいるが、そこを曲げての交渉だ。お前を助けたお礼に支払うとでも思ってくれ」
「あー、そうなんやぁ。あんたウチの好みやから貰われても良かってんけど、せやなぁそういうことならウロコだけ、あげるわ」
人魚ねえちゃんはそういってウロコを一枚ダリルにいちゃんに手渡す。
「まだいるなら、ホンマにウチをもらってくれんと困るよ?」
そう言ってモジモジ見上げる。
「いや、それはまたそのうちにしておこう。それでだ、このウロコでこの坊やのツルハシにエンチャントをしてくれないか?」
「ふーん。なるほど、エンチャントしたはいいけど、魔獣の素材やからセーフティが欲しいってことね。ええよ、坊やそれかしてぇな」
ダリルにいちゃんに促されて俺はツルハシを人魚ねえちゃんに手渡す。
人魚はウロコを持って何やら唱えている。まるでそれは歌のように美しく、癒されるようだ。