テラーノベル
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俺とロゼは二人して、ジャングルみたいな森林地帯を歩く。
「歩くのですらキツイ……」
「そんなハイヒールみたいなブーツ履いてるからだぞ。ってかトリスタンの騎士って、デザイン重視な装備してるよな」
「トリスタンは強く美しくあれですから。バケツみたいなヘルメットとかは採用してませんよ」
「すんごい格好してる女騎士多くない? 競泳水着って言っても伝わんないだろうけど、すごいカットのやつ」
「これですか?」
ロゼはぴらっとスカートをたくし上げると、カットの鋭いインナーが露出する。
「それそれ!」
「さっきも言いましたけど、これは戦闘用のインナーですから、水着みたいなものなんですよ」
「それは良い文化だ。リガルドでも水着と言い張って採用しよう」
手始めに、ウチの海賊騎士たちからだ。
ぐへへとエロ戦闘服を想像していると、何か良い香りが……。
「どうかしました?」
「何か甘い匂いがする」
「グレートムカムですか?」
「多分違うが、こっちだ」
俺はダダダと走って、匂いのする大木の根元へと到着。
そこにはバカでかいピーナッツみたいな蜂の巣が、枝の下に作られていた。
「ハチミツだ」
「クマ並の嗅覚してますね」
「大きい巣だ、さぞかし蜜まみれだろうな」
「いや、あんなの突っついたら蜂まみれになりますよ」
「いぶそう。お前火魔法使えるか?」
「簡単なのでしたら」
俺が木の枝を集めた後、ロゼが火をつける。立ち上る白煙を、大葉を使って扇ぎ、蜂の巣に煙が行くようにする。
数分後、蜂が嫌がって巣から出ていったのを見計らい、素早く木を登って蜂の巣を入手。ドロドロの黄金蜜が輝いている。まさしく自然の食べ物という感じだ。
「そ、それ食べれるんですか?」
「虫を食う原住民を見るような目をするな。トリスタンの人間もハチミツよく食ってるだろ」
「それはそうなんですが……」
「食ってみろ、飛ぶほど美味いぞ」
俺はスナックを食べるみたいに蜂の巣をパクつく。甘みが濃厚で実に美味。
先程のジャンプで失われたカロリーが戻って来る。
ロゼは、糸を引くハチミツと巣の隙間から見えている蜂の子に若干震えている。
「あ、あたし一応これでも王室育ちなので、こういった土のついたものは食べたことないっていうか、これって広義的に見ると拾い食いと同じであって」
「いいから早く食えよ」
「…………」
ロゼはもう、ええいままよと蜂の巣を口に含む。
「ん!? 甘い!」
「そりゃそうだろう」
「なんか……普通のハチミツより甘い気がします。香りもフルーティーというか」
「ムカムは果実が豊富だからな。良い蜜吸ってるんだ」
しかし、これだけ受けが良いなら養蜂農家を作っても良いかもしれない。
ロゼはちゅぱっと指についたハチミツまで舐め取る。
「……美味しかったです。……また食べたいです」
「また見つけたらとって行こう」
「他にも何か美味しいもの知ってるんですか?」
「そこに落ちてるだろ?」
「えっ?」
俺は自然と落ちているムカムフルーツを拾い上げると、ナイフでヘタをカットして硬い皮をむく。瑞々しい黄色い果実を切ってロゼに手渡す。
「美味しい、甘いパインみたい」
「グレートムカムはもっと凄いらしいからな、俺も食ってみたい」
「あの……ひょっとしてだけど、あたしの胃袋掴んでハーレムに入れようとしてます?」
「するかそんなこと。あっ、虹ぶどうがなってる」
「それ美味しいんですか?」
だいぶ島に順応してきたな。
ロゼとムカム島拾い食いツアーみたいになっていると、不意に木々の中から気配を感じる。
振り返ってみると、でかいリスの姿があった。体長は少し大きい犬くらいで、もふっとした毛並みをしているものの、眼光が鋭く前歯が長い為あまり可愛くはない。
「うぉ、殺し屋リスだ」
「なんですかそれ?」
「森の殺し屋って言われてるレアモンスター。クマでも噛みついて殺す危険なモンスターなんだが、あんまり人前には現れない」
「逃げます?」
「ただその肉は絶品と言われている」
「食べます?」
「多分人間相手だとすぐ逃げるぞ」
「一撃で仕留めます」
ロゼは何か呪文を唱えると、その手に銀色の弓を召喚する。
王女が使う特注武装なのか、弓の両端は緩やかに反り返り、翼を広げた鳥のようなシルエットを描いている。中央のグリップ部分には、白銀の一角獣の紋章が刻まれている。なぜか弦が張られていない、不思議な弓だ。
「絶対当ててくれ」
「あんまりプレッシャーかけないで下さい」
彼女が膝をついて弓を構えると、光る矢と弦が同時に生成される。
リスがこちらの殺気を察し、ピクッと動いた。
「逃げるぞ」
俺が警告を発するよりも早く、ロゼの指が弦を離した。
シュッ――!
風を切り裂く弓スキル、ストレートショット。
ゲームでは威力の高い技だが、命中率が低いイメージが有る。
狙いは完璧だった――が、殺し屋リスは一瞬の隙を突き、信じられないほど素早く地面から飛び跳ねる。
「曲がれ!」
彼女は相手の回避を読んでいたのか、指先を振る。
すると矢は本来ありえない軌道を描き、リスの動きを追うように空中で曲がった。
「なっ!?」
避けたはずの矢が、まるで意思を持ったかのように軌道修正し、その体を正確に貫いた。
リスは短く悲鳴を上げ、地面の上で力なく倒れる。
俺は驚愕し、ロゼの弓を見つめた。
「今のなんだ?」
普通のストレートショットなら、直線的な弾道を描くはずだ。だが、ロゼの矢は違った。まるで獲物を狩る獣のように、逃げるリスを追跡し命中させたのだ。
「ハンターアロー、ストレートショットの上位スキルで誘導が効く矢です」
「弓使えるんだな」
「一応騎士としての訓練も受けてますから」
余裕で当てたというよりは、矢が当たって安堵しているようにも見えた。
俺達は殺し屋リスの肉を手に入れる。グレートムカムフルーツは見つからなかったが、これも凄い食材である。
「よし、日も傾いてきたし屋敷に帰るか」
「はい」
◇
屋敷へと戻ると、他の皆も帰ってきていた。
俺はアフロヘアになったジャガーに声を掛ける。
「イメチェンか?」
「いや、帯電スーツが機能しなくてスパーククラゲの10万ボルトをまともにくらった」
「クラゲとれたのか?」
「クラゲは無理だったが、10万ボルトのおかげでその近くにいた海産物がごっそりとれた」
ジャガーは氷の入ったボックスを開ける。中にはエビやタイなどの、高級食材がぎっしりつまっていた。
「やるなぁ」
「すまん、あたしらもとれなかった」
後ろから申し訳無さそうな声を出すのはヨハンナ。
「ドスカジキザメはとれなかったけど、ドスマグロガツオがとれたわ」
ビアンとポニーが、二人がかりでバカでかい魚を荷台に乗せて引っ張ってきた。100キロくらいはありそうな、まるまると太った魚だ。
「絶対ドスカジキザメだと思ってアンカー打ち込んだのに、コイツだったんだよな」
「こいつはマグロなのかカツオなのか……」
「お前はとれたのか?」
ジャガーに聞かれて、俺は首を振る。
「グレートムカムフルーツはとれなかったけど、殺し屋リスの肉が取れた」
「お前が一番関係ないものとれてるな……」
「ロゼがとってくれたんだ」
そう言うと彼女は体をくねらせ、高い声を上げる。
「え~全部ラウル王子のおかげですぅ~♡ あたしはなんにもしてません♪」
こいつやっぱ人がいると猫かぶるんだな。
コメント
1件
第60話読み終えたよ!ロゼの弓技「ハンターアロー」、めっちゃかっこよかったな。逃げる♡♡♡屋リスを追尾して仕留めるシーンは鳥肌ものだわ。それにしても、ラウルとロゼの拾い食いツアーがほのぼのしてて、特にハチミツ♡♡♡ロゼのギャップが可愛かった。他のメンバーの成果報告もそれぞれ個性出てて笑った。完璧なソニア編、次が気になる!
239
ありんす
1,095
ねこなさま🐈⬛💘
7
す㍄
9