嫌な音がした。
プロジェクトチームと得意先との懇親会を終えた帰り道、酔いが回っているわけでもないのに、ふいにアスファルトの溝にヒールの踵が取られた。
ざり、と削ったような音に眉を顰めれば、その眉間に、ぽつり、と何かが当たった感触がする。
反射的に宙を見上げれば、ぽつ、ぽつ、と先程よりも短い間隔で頬を滴が滑る。
「……あ、」
雨か、と口の中で呟いた。
降り出すなんて予報は聞いていなかったような気がするが、そもそも、まともにニュースを見ていただろうか、と、ここ最近の自分の集中力の無さを自嘲する。
手の平を宙に向け、雨の受け皿をつくると、次第に強くなっていく雨が点々と足跡を残す。
どこかで「きゃあっ」と女性の悲鳴が上がった。
それとともに、ざあ、と雨が勢いを増して降り注ぐ。
明らかに傘が必要な状況で、もう踵だって外れているのに、どうしてかその場か*******************
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