髪を翻すドライヤーの風が止んだ。
「――よし、これで髪は乾いたかな」
そう言った椎名が、まだほんのりと温かい私の髪に櫛を通す。
さらり、とした質感が頬を撫でるのが、不思議だった。
いつもの施術通りならこの後はタオルを除けるのだが、今はドライヤーをかけた後もそのままにしておいてくれる。
フェイスタオルでもなく、胸元までしっかり覆ってくれるバスタオルを提供してくれたことが、有難かった。
掻き寄せるようにタオルの両端を掴むと、その様子を見た椎名が声をかける。
「寒いですか? もう少し、温度上げましょうか」
言うなり身体の向きを変えた椎名を、慌てて呼び止める。
「いえ! あの、大丈夫……です、本当に」
ぱっと顔を上げて振り向き、しかし目が合った瞬間に、居た堪れなくて声が萎む。
「……そうですか? 寒くなったら言ってくださいね。服の替え、そんな薄いシ**********
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