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お姫様抱っこにも、背後からの添い寝にもルスは動じなかった。まるで小さな子供が父親に構ってもらった時程度の反応だ。仮にも『夫婦』という枠にある僕達でコレはマズイと思う。ただでさえ僕らは見た目年齢に相当の開きがあるのに(中身を語り始めたらもっと酷い事になるので、その辺は割愛しておく)、このままの空気感ではただの親子だ。
歴代の憑依者達とは『夫婦』という関係を築いた相手は一人もいなかった。形だけの『弟子と師匠』や『参謀と上司』、近くてもせいぜい『義姉と義弟』くらいなものだったし、契約の印となる魔法陣を他人には見えない位置に刻んでやるみたいな気遣いが必要な者達でもなかった。だから過度な触れ合いも不要だったから、『設定通りの関係っぽく見せなければ』という配慮も不要だったのだ。
だが今回は違う。
印を刻んだ箇所が箇所なだけに、僕らが『夫婦』であるという『設定』は非常に重要なのだ。
とびきりの善人を探し、厳選して約六年ぶりに得たこの肉体を維持する為には、僕らの契約印がルスの体に馴染むまでの間は毎日魔力を彼女の体に流して馴染ませ続けなければならない。完全に契約が済んでしまえばこっちのものなのだが、今のままでは、相手に逃げられると、僕は再び体を持たない影でしかなくなるのだ。だが契約が完了してしまえば契約者側から僕を切り捨てる事は不可能となり、全ての“知識”と“記憶”を自在に覗ける様にもなる。あとはそこから弱みや欲望を探り当て、周囲に災いを撒き散らしながら好き勝手に生きていく様に堕落させていくという流れが毎度のパターンだ。
(その為の行為であって、それ以上でも以下でもないんだが…… )
僕の腕を、脆弱な力で目一杯ルスが押してくる。眠そうだった瞼はすっかり開いていて、一旦は納得しかけたはずなのに、恥ずかしさが上回っているのかささやかな抵抗を試みているつもりの様だ。だけど体格差のせいもあってか赤ん坊が暴れる以上にルスは非力である。仮にも一応は獣人の形態を得はしていても、所詮は見た目だけに近いせいか人間よりもちょっとだけ運動能力が優れている程度で、僕の拘束から逃げられる程には有していないみたいだ。ヒーラー職の者達は総じて筋力は優れていない者が大多数であるから仕方がない事でもあるのだろう。
「アンタがこれ以上の力を得るには、僕が契約印に触れて魔力を流し入れないといけないんだ。それはわかるよな?」
「もう何処も痛くないし、これ以上は大丈夫だよ?」
「…… っ(欲は無いのか、欲は!)」
そうは思うも、涙声で言われると背中が少しざわっとした。悔しいかな、気色悪いとかじゃなくって、『その声をもっと聴きたい』という方向で心までソワソワとしてしまう。
「僕は、大丈夫じゃない」
「…… そうなの?」
ルスが心配そうにこちらへ顔を向ける。『安定させていけば、アンタはもっと強くなれる』という誘惑よりも、ルスの場合はもしかすると——
「あぁ。僕らの契約が安定してくれないと、僕のこの体はまた、ただの影へと崩れていくかもしれないんだ」
契約者相手に弱みをみせるだなんて、今までの僕なら絶対にこんな選択はしなかった。だが、異世界で医療関係者では無かったっぽいのに、それでも職業適性がヒーラー職であった程の善人であるルスならば、泣き落としの方が効果的であるとみた。
案の定、ルスは心配そうに瞳を揺らし、『それなら』とでも言うみたいに手から力を抜く。
「大丈夫。痛い事はしないし、ちゃんと濡らしてから触れるから」
「——へ?」
ルスの膣内に潤滑ジェルを取り寄せる。ナカは暗くって僕の領域でもあるから、いつも通り何処かから取り寄せた物を膣内に直接注ぎ入れてやった。
「っ!う、嘘っ。…… も、も…… 」
眦に涙を溜め、ルスが震えながら自分の下半身に視線を落とす。向かい合わせになるみたいに体の向きを変えてやると、とうとう泣きながら僕の胸の中に飛び込んできた。
「どうした?」
うっかり高揚しそうになる気持ちを必死に隠し、出来るだけ落ち着いた声で問い掛けた。
ルスの持ち合わせている“知識”程度ではせいぜい『性交とはお互いの性器を擦り合わせて行う行為である。男性側が射精し、女性側が排卵日付近であった場合は高確率で妊娠に至る』くらいしか持ち合わせていないから、今自分に何が起きたのか全くわからないのだろう。でもまぁ、知識の有無に関係なく、急に体のナカに潤滑ジェルがたっぷり湧き出てくるみたいな感覚は誰であっても驚くだろうけども。
「漏らした…… かも…… 」
恥ずかしさで顔を真っ赤にし、声も体も震わせているルスの姿を間近で見て、不覚にも己の下半身にぐぐっと血と熱が集まっていくのがわかる。最初はちょっとナカに触れて魔力を流し込むだけのつもりだったのに、気が付けばゴクッと大量の唾を飲み込んでいた。
「あー…… 。大丈夫大丈夫、ソレはさっき僕が触れたせいだ」
「…… そ、そう、なの?」
『だけど、だからって何でこんなに濡れているの?』と、こちらを見上げるルスの顔に描いてある。なんてわかりやすい奴なんだ。
「夫とか恋人とか、まぁそんな感じの相手に大事な所を触れられると、もっと気持ち良くなりたくなって濡れるもんなんだよ」
「…… 気持ち、良く?」
今回の場合は全然違うが、そういう場合もあるから嘘では無いだろう。
彼女が穿いているゆったりめのショートパンツの隙間から指を入れ、改めてショーツに指先で触れると、グチュッと粘着性のある音が静かな部屋の中に響いた。自然な愛液ではないからか予想よりも音が結構大きい。十中八九ルスはまだ処女だろうから、いきなり触ってナカを傷付けまいと思っての量だったのだが、流石に多過ぎたか。
「すっごく濡れてる…… 。なぁ、ココに誰かが触るのは、初めてか?」
羞恥のせいか、ルスは無言のままだ。だけど少しの間を開けて、彼女はそっと頷いた。無言のままでいたせいで、『違うのか』と思われるのだけは嫌だったのかもしれない。
「初めてなのに、こんなに濡れちゃったんだ。へぇ…… 僕の嫁は、愛される素養が高いんだな」
自分でやらかした事実を誤魔化すみたいに、ルスの体のせいであると強調する。別にそんな事をする必要なんか無いのだが、意地悪な発言をすると彼女の耳が真っ赤になったり肩や腰を震わせているから、多分ルスは『言葉責め』ってやつが好きな気がするのでやってみた。するとショーツ越しで触れてもわかる程に彼女の肉芽がぷくっと自己主張をし始めた。剥かなくても指先で感じ取れるなんて小柄な割になかなか立派なモノをお持ちの様だ。
ショーツを避け、ルスの秘部に直接触れる。潤滑ジェルのせいでよく濡れるソコはそっと指先を添えただけでも卑猥な水音が立ち、易々と僕の指を呑み込んでいった。
「な、な、何で、そんな…… トコ、に?」
自慰の経験も無いのか、酷く戸惑っている。だけど真っ赤に染まる顔と伏せった獣耳の様子を見ていると、『ごめん!』と言ってすぐに引き抜くみたいな真似をする気には微塵もなれない。むしろもっと、この指ならば子宮口までも容易く撫でられるだろうから是非ともやってみたいと考えてしまう。
「ルスは召喚士ではなくヒーラーだろう?だから僕みたいな存在と契約を交わしているとは、絶対に他人に知られちゃいけないんだ。だけど契約を交わせばその身には例外無く契約印が刻まれる。でも膣のナカなら誰にも見られる心配は無いだろう?」
そう言って、くいっを指を軽く折ってルスの下っ腹を内側から撫でてみる。するとルスは「ひゃあっ!」とあられもない声を上げて背中を仰け反らせた。
「ふへ?」
何が起きたのかわからないといった表情になり、ルスが僕の服をぎゅっと掴んできた。
丁度ルスが面白い反応をしてみせた位置に契約印があるので、指先に魔力を流しながら印を撫で続ける。こちらの動きに合わせるみたいにしてガクガクと体を震わせる姿は…… どうせ滑稽だろうと予想していたのに、想像に反して魅入ってしまう。僕の着ている服を掴む力ない手も、汗ばんで赤らむ肌も、情けない声を出しながら唾液を溢す口元も。全てが全て真正面からじっと観察してみたくなる程だ。
随分昔にハーレムを造りたがっていた男に憑依した事があったが、あの時には絡み合う肉達を遠目に見ても気色悪いとしか思えなかったのに、このルスの姿なら何時間でも見ていられそうだ。
「やっ、あぁっ!止めっ——ひっ、んぐっ」
ボロボロと大粒の涙をこぼす姿が本当に綺麗だ。悔しいかな、いくら他者をぞんざいに扱ってきても満足してこなかった僕の加虐心が満たされる感じさえする。
「そうは言っても、僕は契約印に魔力を流し入れているだけだからなぁ」
「コレ、いつ、おわっ…… んっ、んんんっ!」
「さぁねぇ?お互いの魔力の相性とかの問題があるから、どのくらい掛かる事やら…… ふふっ」
実はとっくに今日一日分は充分注ぎ込めたのだが、ムカつく事にルスの反応が可愛くって止める気になれない。このままルスのココを指で弄り続けていたら、一体どんな痴態が見られるのだろうか?と期待で胸が膨らむ。
潤滑ジェルでグチュグチュになっているルスの膣内は僕の魔力との相性が相当良いみたいで、とても敏感になっている。もし今ジェルを全て指で掻き出したとしても、彼女の奥から次々に溢れ出てくる愛液で充分過ぎる程に濡れていそうだ。
「——んんぁっ!」
ジェルで濡れる親指で肉芽をくりっと擦ると、ルスが背中を仰け反らせた。ぎゅぎゅっとルスの膣内が過剰に狭くなる。こういった経験が皆無な膣内だ、元々狭かったのが更にキツくなって僕の指を喰い締める。…… 多分コレは、快楽が絶頂まで達したのだろうな。
オーバーニーを履いている脚をガクガクと震わせ、足先をぴんっと伸ばしている。はぁはぁと雑に吐き出す息はすごく熱くて僕の着ている服越しですら肌で感じ取れる程だ。
「…… 大丈夫か?」
声を掛けながらルスのナカから指をゆっくり引き抜くと、ぬぽんっといやらしい音が鳴った。同時にまた彼女の体がしなり、短くて甘い声をこぼす。もしかすると抜いた動きのせいでまた軽くイッたのかもしれない。
ぐったりとベッドに体を預けるルスが「…… 大丈夫じゃ、ない」と不満気に呟く。息も絶え絶えで、焦点の合わぬ瞳は瀕死の重体にすら見えた。
「こういうのは…… もう、せめてワタシが寝ている間に、とか」
「そうなると、今度は“睡眠姦”って言う特殊プレイの一種に当てはまるんだが、本当にそうするのか?」
頑張ったなと言うみたいルスの背中を優しく撫でつつそう訊くと、『え』に濁点でも付けたに近い音を彼女があげた。
「やっぱり…… 今のままで」
「了解」と答え、ふふっと笑う。いくらこの行いが恥ずかしくても、『特殊プレイ』に該当する行為をする方がルスには難易度が高かったみたいだ。
「…… 少し寝ておけ、疲れただろ?」
「そ、だね。そうする」
素直に瞼を閉じると、ほんの数分でルスの寝息が聞こえてきた。前戯のみではあったが夫婦の営みに近い行為を始めて経験して相当疲れたのだろう。
(…… さて、僕の方はどうしたものか)
すっかり元気になっている下半身への対処が今の状況だと何も浮かばない。眠るルスに腕枕をしてやっている事を少し後悔しつつ、僕も妻に倣って瞼を閉じ、自然と体の熱が冷めるまでただ横になったまま耐える事にした。