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アタックしている時に見たぎょしゃ座のカペラの女の子が、岳大さんと一緒に舞い降りてきたんですね゚・*:.。★*:゚・☆
夕方になると岳大はレストランへ行こうと優羽を誘った。
明日は午前中に流星を迎えに行く事になっている。二人だけでゆっくりできるのもあと少しだ。
だから岳大はたまにはデートらしい事をしようと気を遣ってくれたのだろう。
二人は車で15分ほどの所にあるレストランへ行った。
高瀬川沿いにあるその店はログハウス風のとても素敵なレストランだった。
店内には薪ストーブがありオレンジ色の柔らかな炎が店全体を温めてくれている。
「ここにこんな素敵なお店があるのをよく知っていたわね」
「前に調べてたんだ。いつか優羽を連れて来ようと思ってね」
岳大は穏やかな笑みを浮かべる。
ビーフシチューが絶品らしいので二人はビーフシチューのディナーコースを頼んだ。
窓の外には広い庭が広がっている。今は暗くて全景は見えないが庭の向こうには高瀬川が流れているようだ。
暖かい季節には庭にもテーブルを出して外で食事が楽しめるようだ。
岳大は春になったら流星を連れて三人で来ようと言った。
しばらくすると料理が運ばれてくる。
長時間煮込まれたシチューはお肉がほろほろと柔らかく赤ワインが効いたデミグラスシチューは絶品だった。
添えられていたパンもこのレストランの自家製でもっちりしてとても美味しい。
食後のデザートは優羽の好きなアップルパイだった。
アップルパイは甘さ控えめでアイスクリームが添えられていた。
温かいパイにアイスを載せて口に入れるとリンゴがアイスと混ざり合ってとろけるような美味しさだ。
優羽は嬉しそうにパイを頬張っている。
「東京での夜に二人で入ったあの喫茶店を覚えてる?」
優羽が思い出したように聞いた。
「もちろん。そう言えば優羽はあの時もアップルパイを食べてたなぁ。小説のシーンを体験出来たって喜んでたね」
「そう。あの夜は楽しかったわ。去年の事なのに随分昔のように感じられるから不思議ね」
優羽は微笑むとまたアップルパイを口に入れた。
そんな優羽を愛おしそうに見つめながら岳大が言った。
「優羽、結婚しよう」
「!」
アップルパイをもぐもぐしていた優羽はびっくりして慌ててパイを飲み込む。
「私で……本当にいいの?」
「優羽がいいんだ」
「流星がいるからいきなりお父さんになるのよ」
「家族が増えるのは大歓迎だね」
「流星が思春期になったら反抗期だってあるのよ」
「その時は男同士山にでも登るさ」
「あなたが東京へ出張の時はあなたが浮気をしているかもって疑うかもしれないわよ」
「なら一緒に来ればいい」
「きっと私はあなたに甘えてばかりで迷惑をかけるわ」
「望むところだよ」
「私…….」
そこで優羽の瞳からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちてくる。
「ゆっくり愛してくれればいい…….」
岳大は優しい瞳で優羽を見つめると優羽の頬に伝う涙を指で拭う。
「…….うん」
優羽はバッグからハンカチを取り出して涙を拭う。
その時岳大が言った。
「婚約指輪を買いに行かなくちゃだな」
「え? 指輪はこれで充分よ」
「いや、婚約指輪はきちんと贈りたいんだ。だから今度一緒に買いに行こう」
「でも…….」
「僕はどうしてもプレゼントしたいんだ。それにどうしても指輪はいらないって言うのならネックレスにすればいい」
「うん……」
岳大は優羽の左手を握ると指で優しく撫でた。
食事を終え家に帰ると二人は再び激しく愛し合った。
そして満ち足りた愛の行為が終わると二人はベッドの上で寄り添いながらしばらくお喋りを楽しむ。
天窓から見える星空を眺めながらこれからの未来についてを語り合った。
流星の教育の事を考えるなら東京で暮らすのもいいのかもしれないと岳大は言った。
その時は東京のマンションに住めばいいとも言う。
しかしこのまま長野にいるつもりなら岳大は家族の為に家を建てると言った。
どちらに住むかの選択権は全て優羽と流星に委ねるとも言った。
流星の事を第一に考えてくれる岳大に対し優羽は感謝の気持ちでいっぱいだった。
彼はきっといい父親になる……そう確信した。
しばらく話をしていると睡魔が襲い始める。
二人は身体を寄せ合いながら徐々に深い眠りへと落ちていった。
眠りに落ちる際優羽はいつもの夢を見ていた。
優羽が水面落ちた星屑を拾っていると、隣では笑顔の岳大が星屑を拾っている。
そこへ小学生くらいになった流星が小さな女の子の手を引いてやって来た。
流星と少女も一緒に星屑を拾い始める。
そこには楽しそうな皆の笑い声が響いていた。
夢を見ながら眠りに落ちる優羽の寝顔はとても穏やかで幸せそうな表情に満ちていた。