TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

第二十五話「予知不能の血のソース」


🔪予知のエラー


夜の地下通路。

壁に表示されたはずの予知映像――

ノイズ。フレーム落ち。色飛び。


シオンの目の下に、うっすらとクマが浮いていた。

焦りではない。

ただ、“予定が違う”という不快感がその美貌を濁らせていた。


「……予定通りじゃない。

次に死ぬはずの男が、まだ“逃げて”る。」


彼女は冷灰色のショートジャケットに、漆黒のスリムパンツ。

予知レンズを片手に、もう一方の手には血のついた注射器を握っていた。




🔪スケアリーの実況「未来エラーのカニバリエントリー」


「うへぇ~~い!!! ついにきたよォォ!!!」


スケアリーが地下通路の天井を逆さ吊りで這いずる。


「予知に頼った料理人、

**“材料が逃げる”地獄の厨房へようこそおおお!!!!」」


「彼女のコース料理、今までは“予約席の食材”だったんだよォ!!

でも今、ついに!!“厨房に入ってない肉”を狩らなきゃいけなくなった!!!!」


「つまりこれはッ!!

**“予知不能のレアミート・ハンティング”!!!!」」




🔪逃げる男、偶然の生還者


その男――

中肉中背。スウェット姿。

予知にはなかった“落とした傘”を拾ったせいで、死のタイミングがズレた。


それだけの偶然で、

シオンの刃が**“届くべき未来”を滑っていった。**


「どうして……そこにいなかったの……?」


彼女は予知レンズを何度も更新する。

でも、画面は“黒いまま”。




🔪ユリウスの気づき


「……ようやく、“今”が彼女を殺し始めた。」


ユリウスは離れた壁陰から見ていた。

その目は鋭く、どこか優しい。


「予知に支配された犯人は、“今”を軽視する。

でも今この瞬間だけが、スケアリーイズムに抗える唯一の温度だ。」




🔪スケアリーの食レポ「血が決まらない!予知不能のソース地獄」


「ッぐへへっへへへっっっ!!!!」

スケアリーが壁に激突しながら笑い転げる。


「この回! 決まらないソース!!!!」


「予知=スパイスブックを失った今、

この女は!!“感情で血を煮詰めるしかない!!!!”」


「でも感情が薄いから味が出ない!!!

濃厚さゼロの“無味の予知殺意”!!!!」


「うまああああいッ!!不味くてうまああああい!!!!」




🔪シオンの錯乱


「……嘘。

この人、死ぬって……言ってた。

あたしのレンズは、間違えないの。」


彼女の手が震える。

注射器が落ちる。


だが――予知レンズが勝手に起動する。

“次の死亡予測:シオン・ツヅラ(17)”


「……え……?」




🔪スケアリーのささやき


「そうだよ。

未来ってのは、ね……**“逃げた食材”より、追う料理人の方が腐るのが早いんだ。”」


「料理を操るつもりでいた者こそが、

**最初に皿に盛られるのさ。」





次回 → 第二十六話「確定された肉の断面図」

スケアリーイズム - 完全犯罪のレシピ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

46

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚