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3 - 第2話 初めての苦しさ

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2025年05月12日

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第2話 初めての苦しさ
梨柚が異変に気づいたのは、中学校生活がスタートしてから2ヶ月ほど経った頃だった。

小学校が一緒だったこともあって、ずっと仲良くしていた澪那が、突然、梨柚を避けるようになった。梨柚が澪那に、

「ねぇ、澪那」

と話しかけると、澪那は振り向く。無視はしない。でも、

「何?」

と言うその顔には、話しかけないで欲しい、迷惑だ、そんな色が滲んでいた。

澪那だけじゃなかった。この中学で初めて会って、仲良くなった子達も、まだあまり関わりがない子達も、クラスのみんなが、梨柚を避けるようになった。話しかけると、みんな決まって、澪那と同じような反応をする。

1人だけ孤立した教室で、たまに、本当にたまに、栲と目が合う。でも、いくら孤立しても、また栲と関わることが嫌に思えて、梨柚は目を逸らしてしまう。

いつしか梨柚への嫌がらせは、「いじめ」となった。無視だけにとどまらず、持ち物を荒らされたり、暴力を振るわれることもたまにあった。


そうやってどんどんと馴染めなくなる教室に居ると、視線を感じる。声が聞こえる。

「見て、あいつ、また独りだよw」

「え、ほんとじゃん!ぼっちってかわいそ〜w」

「ね、栲くんもそう思うよね?」

栲、たく、タク、その言葉が聞こえた瞬間、何故か梨柚は耐えられなくなった。教室を飛び出す。 栲があのフリに、なんて答えるのか聞きたくなかった。聞くのが怖かった。廊下を走っているうちに涙が頬を伝った。いくら栲でも、あの中心のような子達に言われたら、梨柚をバカにするに決まってる。

「うん、俺も、そう思う」

栲が言うところを想像したとたん、足が動かなくなった。その場にうずくまるように崩れ落ち

る。もう、動けない。

栲が嫌いだった。関わらないで欲しかった。なのに、栲が自分をバカにするところを想像した途端、裏切られた、そう思った。

自分は栲に何を期待したんだろう。

自分は今からどうすればいいんだろう。

誰もいない薄暗い廊下で、世界の全てを呪うように、梨柚は、独り泣いた。

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