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これは運命の出逢い⁉️ カイルさん、さくらちゃんに一目惚れ....🌸🌸💕 続きが気になります✨
運命の出逢い🫰🫰🫰
きゃー、忘れられない思い出の方はさくらさんかしら?🌸🌸🌸❤️
***
14年前____それはある日突然舞い込んできた。
長期出張も終わりに近付きカイルがもうすぐアメリカへ帰るという頃、突然5日間の休暇をプレゼントされる。
それは帰国前に日本での思い出を作りなさいという会社からの粋な計らいだった。
しかしカイルは既に日本の名所には行く尽くしていた。そこで悩んだ末思いつく。
ちょうど桜の美しい季節だったのでカイルは花見が出来る温泉宿でのんびり過ごす事にした。
いい場所はないかと同僚に相談すると、たまたま同僚の遠い親戚が静岡で温泉旅館をやっているという。
その宿の近くにはガイドブックには載っていない桜の名所があると言った。
もちろん美味しい食事とりっぱな温泉もある。
その宿に強く惹かれたカイルは同僚に4泊で予約を入れてもらった。
そして休暇初日、カイルは電車で静岡を目指した。
途中有名な景勝地にも立ち寄る。
昼食時は鰻で有名な街にいたので、カイルは鰻の名店へ入り美味しい鰻を堪能した。
昼食を終えると再びカイルは電車に乗り宿のある駅を目指した。
目的の駅へ着くとそこは無人駅だった。
宿へ電話をすれば駅まで迎えに来てくれるというのでカイルはすぐ電話をする。
「今日そちらへ泊まる向井と申しますが」
「向井様ですね、お待ちしておりました。今からお迎えにあがりますので駅前で少々お待ち下さい」
電話に出た男性はとても感じの良い応対だった。
カイルは駅前のベンチに座ると辺りを見回す。近くに店や家は一軒もない。
駅前は小さなロータリーになっていたが車は一台もいなかった。
ある物と言えば駅舎の軒下に自動販売機が一台あるだけだ。
「まさに秘境駅だな」
そう呟くとカイルはガイドブックをパラパラとめくり始めた。
15分ほどすると遠くから車の音が聞こえてきた。
そしてしばらくすると目の前にシルバーのバンが停まった。
車には『花霞の里・松坂屋』と書いてある。
その時運転席から一人の女性が降りてきた。ジーンズにTシャツを着た若い女性だ。
「向井様でいらっしゃいますか? 大変お待たせいたしました」
女性はニッコリと笑ってカイルに言った。
そのチャーミングな笑顔にカイルは一瞬にして惹きつけられる。
女性は目鼻立ちがくっきりとしたエキゾチックな美人だった。
「お世話になります」
「どうぞ、お車へ」
女性は後ろのスライドドアを開ける。
「えっと…助手席ではダメですか?」
カイルは助手席からの方が景色が見えやすいだろうと思い聞いた。
すると女性は一瞬驚いた様子だったが、
「大丈夫ですよ、では前のお席へ」
と言い助手席のドアを開けてくれた。
それから宿までの短いドライブが始まる。
女性の名は松坂さくら(まつざかさくら)・23歳。
さくらは旅館の跡継ぎ娘で東京の大学を卒業した後旅館業を手伝っていると言った。
色々話をしていると、さくらが通っていた大学はカイルの会社のすぐ近くにある事がわかる。
そこから二人は一気に打ち解ける。
「日本語お上手ですよね」
「父が日本人なので家では普通に日本語を使っていました。だから会話は特に問題ないですよ」
「良かった。実はお名前を見てうちの父が英語しか通じなかったらどうしようって凄く心配していたんですよ」
さくらはそう言ってクスッと笑う。
間もなく車は宿に到着した。
その温泉旅館は和風建築のとても趣のある建物だった。しかし一歩中へ入ると和モダンの雰囲気でまだ新しい。
カイルは一目でその宿が気に入った。
チェックイン後部屋に行くと部屋は和室だった。しかし畳の一部が板の間になっていてそこにキングサイズのベッドが置いてある。カイルは背が高いので同僚が気を利かせてダブルルームを予約してくれたようだ。
(ベッドなのは有難いな…)
カイルは夕食前に温泉に入る事にした。
温泉は大浴場以外に露天風呂もあり、山を眺め眼下に流れる川のせせらぎを聞きながら入る事が出来る。
カイルはゆっくりと温泉を堪能した後、お腹が空いたのですぐにレストランへ向かった。
レストランへ入るとスタッフが笑顔で出迎えてくれる。
川が一望できる窓際の席へ案内されるとすぐに料理が運ばれてきた。
料理は懐石料理だ。
彩り豊かな見た目も美しい料理はどれも絶品だった。山奥なのに新鮮な魚介類も豊富だ。
カイルは満足気にうんうんと頷きながら絶品の夕食をゆっくりと味わった。
食後のデザートを食べているとレストランの奥にさくらの姿が見えた。
さくらは先ほどのジーンズ姿とは違い、髪をアップにして淡い桜色の着物を着ている。
(なんて美しいんだ…)
カイルは着物姿のさくらに目が釘付けになる。
その時さくらがカイルに気付いてこちらへ歩いて来た。
「お食事はいかがでしたか?」
「とても美味しかったよ」
「それは良かった。父から言われたのですがもし良かったら明日の観光、車でご案内いたしましょうか?」
同僚がさくらの父親と遠い親戚関係にあるので気を利かせてくれたのだろう。
カイルは折角だからとその申し出を有難く受ける事にした。