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……雨がすごい。
目を開けようにもお姫様抱っこしてる本人がものすごいスピードなので雨が針のようにささって痛い。
「ーーーー!」
「?」
なんか話してるけど聞こえないよ!?むしろなんで会話できてんの?
「ーーーーー」
「んっ……」
何か話しかけてきても俺の反応が無いので判断したのか、走りながら魔皮紙を取り出し俺の胸にそれを貼り付けた……ちなみに走りながらだと力加減が難しいのか胸が押されて「ぷよん」となった。
「聞こえますか?」
「え!?あ、はい」
おぉ!すご!声もはっきり聞こえるし目も開けれる!
「失礼、魔皮紙を使ってないと思わなかった、その髪が濡れていなかったから」
そう言われて自分の髪を生えている猫耳ごと触ってみると確かに今は濡れていなかった……お風呂とかの時はちゃんと濡れるのにな?
「あー、えと体質みたいです」
「そうですか」
体質なんて適当に言ったけど追求する余裕は無いみたいだ。
というのも、今キールがやってるのってもう“走る”じゃない。
“爆走”だ。
魔法の弾がビュンビュン飛んでくるのをバシィッ!って盾で弾きながら、気づけば風が耳元で「ヒュオオオ!」って鳴ってる。
森が緑のスライムみたいに後ろにヌルッと流れてく。
地面もグレーのストライプ柄になってるし、空でさえ背景スクロールみたいに動いてるんだけど!
例えるなら!高速道路の車の中みたいな感覚なんだけど!!
「リュウト、エス、解るか?」
「あぁ、来てるな」
「……」
え?何が?
「来てるって何が?」
「私達を狙う____」
「うわっ!」
キールはいきなり飛び上がった!
「敵です」
そして、先程まで居た所を見ると地面が割れそこから大きな植物の棘が出てきていた。
あのまま走っていたら串刺しになっていただろう。
「な、何あれ!?」
リュウトもエスも飛び上がっている。
「キールが俺とアオイさんの所に来るときは?」
「いや、私もエスもこんな植物に追われていなかった」
「となると、狙いは……」
「え?僕?」
うそぉ!?なんで!?あ!あれか!食いもん無かったから薔薇食ってたのまずかった?いや、2つの意味で不味い。
「……」
エスはそこまで聞くと漆黒の剣で棘をクロスに切り裂いた。
「おい!」
それを見てリュウトがエスに怒る。
「まだ相手も解ってないのに刺激してどうするんだ!」
「甘いな、さっきの攻撃はアオイを狙った攻撃……ならば俺達のやる事は決定している」
キールが着地した瞬間、俺達の周りから大量の植物がドーム上に囲んで来た!まさに、植物の檻だ。
「フン……お出ましか」
檻の中に現れたのは、全身がトゲだらけのツルで覆われた魔物だった。
人型ではあるけれど、3メートルはあろうかという巨体に、普通の生き物らしさはまったくない。
頭部は黒い薔薇の塊で覆われていて、花びらの隙間からは赤い光のような目がじっとこちらを見ている。
「…………」
エスの双剣の1つが消滅する。
「魔力を吸われている?」
「相手も解らないのに刺激するからだ!」
「文句を言うな、これくらいで弱音を吐くとは……やはりお前はアオイに相応しくない」
「は?関係ないだろ!」
ちょっと!?2人とも喧嘩してる場合じゃないって!来てる来てる後ろ後ろ!
「2人と____」
危険を伝えようとした瞬間。
「「鬱陶しい!」」
近づいて来た薔薇人間の足をエスが刈り取り。
足を無くし体勢を崩した所をリュウトがランスでバラの頭を粉砕した。
「余計なことを」
「あの敵なら明らかに頭が弱点だろ!足なんか狙って意味あるのかよ!」
「もしも違えばそのまま攻撃を受ける可能性が出てくる、足を斬り落としておけば距離が取れるだろう」
うわぁ、ベタだなぁ……喧嘩してて強敵を一瞬で倒すとか……うん、俺何も言わなくて良いや。
そう思ってたら最後にキールが2人を止める。
「急ごうリュウト、エス。あれが最後じゃないだろう」
……俺、なんもしてねぇ……