テラーノベル
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(遅い……。いくら何でも…………遅過ぎやしないか?)
立川駅の壁画前で、圭は美花を待ち続けているものの、気持ちが浮き足立ち、何度も時間を確認してしまう。
美花から連絡が来たのは、十七時二十分頃。
メッセージには、待ち合わせが少し遅れる、しか書かれていない。
(急遽、残業になったか? だとしたら最初の連絡で、『残業になったから遅くなる』と知らせてくるよな……?)
圭は、腕時計で時間を見ると、十八時二十分を過ぎていた。
美花が遅れるのは、十分から十五分程度と思っていた圭だが、もうすぐで待ち合わせの時刻から一時間が経とうとしている。
週末で駅前のコンコースは、様々な方向から人波がうねり、圭は波間から美花を探し続けた。
人波が途絶えた僅かな隙間に、見覚えのある明るい髪色の女が、重い足取りで歩いているのが見えた。
「美花…………」
圭は足早に彼女に近寄ると、いつもだったら笑顔を映し出す美花が彼に気付いていない。
俯きながら思い詰めた表情を浮かべ、彼の目の前を通り過ぎようとしている。
「美花っ……!」
「っ……あ…………けっ……圭ちゃん……」
彼は小さな肩を掴み、向かい合わせると、美花はビクッと震えながら、困惑したような表情を見せる。
彼女の目元が、どことなく腫れ、薄茶の瞳が潤んでいるようだった。
「…………美花?」
「ごっ…………ごめん。すごく……遅くなっちゃった……ね……」
圭に呼ばれた美花が、眉尻を下げながら手にしている物を慌てて後ろに隠す。
(美花の様子が……おかしい。それに…………何を隠した……?)
「なぁ美花。随分遅かったが……何か…………あったのか?」
圭は、焦燥しつつ美花に問い掛けると、美花が面立ちを歪めながら顔を逸らす。
「…………何も……ないよ」
「…………本当か?」
「何もないって言ってるじゃんっ!!」
声を荒げながら圭と向き合い、表情を崩した美花に、彼は瞠目した。
いつも、のほほんとした話し方をする彼女の唇から発せられた、怒気を滲ませた声。
美花が彼の手を振り解くと、逃げるように南口方面へ駆け出す。
「美花っ!!」
#大人ロマンス
コメント
1件
千夏さんって最悪よね美花の絆を壊すの…2人の仲どうなるの?