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喉が渇き、休憩も兼ねて、二人はカフェに立ち寄った。
アイスコーヒーを注文し、テラス席でのんびりと過ごす。
時折撫でてくる風が気持ちいい。
それに、テラス席でコーヒーを飲んでいるせいなのか、より美味しく感じる。
「あの……私の物を買うのに、豪さんにお金を出してもらうのは…………さすがにちょっと……」
奈美が遠慮がちに豪の顔を伺うと、彼はシレっとした表情を浮かべた。
「何を遠慮しているんだ? 俺が買いたくて買っているんだから、気にする必要はないぞ?」
「でも……何だか申し訳なくて……」
彼女は、氷が溶け始めたアイスコーヒーを、ストローで啜る。
「じゃあ、ここのコーヒー代は奈美に奢ってもらう。それでいいだろ?」
「何か色々すみません。ありがとうございます」
奈美はペコリと軽く一礼した。
「なぁ奈美」
彼が彼女の名を呼びながら、肩よりも下に伸びた髪を指先で掬った。
「はい。何でしょう?」
「あのさ、俺と奈美は恋人同士だよな? 何ていうか……」
豪が脚を組みながら、こめかみに手を当て、言いあぐねている。
「恋人同士なのに、よそよそしいっていうか。俺と一緒にいる時くらい、敬語をやめて普通に話してくれたらいいなって思ってさ」
すると、彼は奈美の肩を抱き寄せ、顔を近付けてきた。
「ベッドの上だと、奈美は無意識に敬語じゃなくなるけどな?」
意地悪な笑みを零しながら、唇を歪める。
今日の豪は少し意地悪だ。
奈美が恥ずかしくなる事ばかり言ってくる。