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「それに、俺があのSNSで探していたのは……実はセフレだった。当時、彼女と別れたばかりで、気軽に関係を持てる女を探してた。色んな女のプロフを見て、目に止まったのが奈美のプロフだった。ああいうSNSで見つけるのって大体セフレだし、クンニだけの関係を求める君に、興味を持ったんだ」
豪が、照れくさそうに頭を掻く。
「で、会ってみたら、俺の予想を遥かに上回る素敵な女性が、目の前に現れた。それが奈美だ」
彼が奈美を更に抱き寄せて、唇を重ねてきた。
「俺は、この先を考えて、奈美が嫌がる事だけはしないと決めていたし、クンニだけの関係を続けたとして、自分が満足できるか、納得できるか疑問だった。けど、行為の後に俺が自己処理すれば、大した問題ではないと考えた。その時は、既に奈美に惚れていたから、苦にもならなかったな……」
彼の大きな手が彼女の頭に触れ、そっと撫でてくれる。
「女といたら、抱くのは当然と思っていた俺を…………奈美が変えたんだ」
頭を撫でていた筋張った指先が、首筋を伝い、奈美の頬に触れていく。
「ただ、俺も男だし、好きな女に触れたいっていうのはあった。だから俺はセックスできない代わりに、奈美の手を繋いだり、髪や頬に触れたり、抱きしめたりしたんだ」
豪が、奈美に甘くしてくれた理由が、ここでやっと分かった。
「俺も奈美と同じで、会うたびに君を好きになっていって、もっと君を知りたい、君に触れたいって思うようになっていた。けど、奈美の中では、俺はクンニして気持ち良くしてくれる人だ、という認識なんだろうなって思ってた」
神妙な面差しの豪が、照れ臭くなったのか、指先がこめかみに触れている。
「告白して振られて、奈美に会えなくなるのは嫌だったから、俺も自分の気持ちを言えずにいたんだ」
彼も考えていた事が同じだと知り、奈美は胸の奥がキュッと摘まれた。
「奈美は、そんな俺の態度に、悩んで苦しんでいたんだよな。それに、俺は奈美が嫌がる事はしない、と決めていたのに、自慰行為を無理やりさせて、傷つけて悲しませて泣かせた……。本当に……ゴメンな……」
困ったような表情の後に、悲しげな笑みを映す彼に、鼓動が大きく打たれていた。
「こんな事言ったら、また嫌な思いをさせるかもしれないけど…………奈美が……自分で慰めているところ…………すげぇ可愛かった」
彼の言葉に、またも顔が熱ってしまう。
「もうっ……! 恥ずかし過ぎるからっ……!!」
両手で顔を覆いながら、豪から顔を背けると、彼は奈美の両手を剥がし、顔を向かせながら唇を食んだ。
豪の長い胸の内を聞き終わると、おずおずと彼女の顔を覗き込み、頬に触れる。
「…………ドン引きしたか?」
奈美は、豪の視線を受け止めながら、首を横に振る。
彼も様々な思いを抱え、葛藤しながら奈美と会っていたのかと思うと、またも泣きそうになってしまう。
「…………良かった」
豪は安堵のため息を吐き、ホッとしたように呟いた後、緩やかに笑う。
「けど……」
豪が、ふと真剣な面差しになり、唇をうっすらと開いた。