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 進は、音の鳴るほうへ意識を集中していた。

 「がさがさ・・・がさがさ・・・。」


 「きぃぃーーー!」

  金切声のような発声をして、草陰からそれは走ってきた。


 「魔物―――!?」


 魔物は勢いよく進に飛び掛かる。


 この辺りの動物や人間を殺していたのはこういった魔物の仕業なのだろう。


 オレもコイツ等の獲物という訳か―――


 進はすぐに理解した。

 

 進は飛び掛かってきた魔物を躱し、跳ね上がった反動で裏回し蹴りを放つ。


 魔物は驚き、後ろに跳ねのけた。


 過去、こんな急な反撃をする人間に出逢ったことがないのだろう。


 「異世界だから魔物までいるのか―――」

 「だが、こうやっていきなり人間を襲うということは、人間にとって有害・・・と捉えて構わないよな。」

 

 魔物は身長は1mにも満たない、緑色の小鬼。


 いわゆる『ゴブリン』。

 性格は極めて残忍で狂暴、本能のままに生きる生物。

 

 進は両手を前に上げ、ファイティングポーズを取る。

 

 魔物だろうが、何だろうが、理不尽に自分の生命、他の人間の生命を脅かす存在は悪と考えており、駆除することを決める。

 

 ゴブリンは思わぬ進の反撃で、警戒心を強めていた。


 「・・・・・。」


 両者睨み合いが続く。


 そんな沈黙が数秒後に解かれることになる。


 「がさがさがさがさ―――!!」

 再び、後ろから草を掻き分ける音が聴こえる。それもさっきより音が大きい。


 ゴブリンがもう2体やってきた。


 「グッギギギ・・・!!」

 ゴブリンがニヤリと笑みを浮かべる。その口からはだらしなく涎が垂れ、傷だらけの歯が見える。

 

 3対1で数の優位を取り、勝ちを確信したのだろう。

 

 やはり、ゴブリンとは低級の魔物だな―――


 数で優位を取ればすぐに勝ちを確信する。

 さっきの接触で奴らに武の心得が無いことは分かった。

 そんなゴブリン達を進は分析する。

 進は相手が自分より弱くとも油断しない。


 ゴブリン達は一斉に進に襲い掛かってきた。

 

 その手には石造りのナイフを持っている。

 

 進は気を放つ―――


 ビリビリと周囲の草木が振動する。

 普通の人間にこんな芸当は出来ない。

 進が武に精通した天才だからこその芸当。

 

 しかし、ゴブリン達は臆することなく、襲い掛かる。


 「力の差をまるで理解しない畜生共―――」

 「後悔するがいいさ。」

 

 達人と遜色ない足さばき、技を極めた進。


 そんな進にとって、ゴブリン達の動きなど止まって見えた。


 進は腰を落とし、体勢を低くし、一番先頭の飛び掛かってきたゴブリンの喉元を手で突き刺す。

 

 手刀による一撃はゴブリンを行動不能にさせるには充分だった。


 そして、回り込んできた二体目のゴブリンを躱し、両手で首をへし折り、絶命させる。


 最後のゴブリンは頭に飛び掛かってきたので、胸ポケットにしまっていたボールペンをソイツの耳に突き刺した。


 ゴブリンは痛みで悶え、地面を転げ回る。


 「異世界に来たからと言って剣や魔法で闘う必要があるわけでもない―――」

 「寧ろ、身近な道具で相手を制圧してこそ、本当の武闘家と言える。」


 本来動いている者に攻撃を当てることは難しい。

 だが、進は、あらゆる格闘術の経験から相手の動きを予測することができる。魔物といえど例外ではない。

 「生物である以上、反射、本能的回避、癖は必ず存在する。それらをいち早く見抜けば戦闘に勝つことなど全く問題ではない」

 

 進がゴブリン3体を無力化するまでに掛かった時間はおそよ10秒。


 それが進のこの世界での初めての戦闘だった。


 進は、転げ回るゴブリンに鑑定を使用し、相手の力量とレベルを把握する。


名前:なし

種族:ゴブリン

性別:不明

Lv.4

クラス:下級ゴブリン

◆パラメータ◆

体力:20

筋力:24

魔力:2

物理抵抗力:10

魔力抵抗力:12

精神力:4

器用さ:2

素早さ:5

◆装備◆

武器:石造りのナイフ(+5)

防具:なし

◆アクティブスキル◆

《近接武器Lv.1》

◆パッシブスキル◆

なし

◆称号◆

なし



 「ふぅーん。」

 進はそう云うと、転げ回っているゴブリンの頭を踏み潰し、頭蓋は粉々にし、息の根を止めた。


 しっかりと二度と立ち上がらぬように丁寧に3体の命を奪った。

 

 美術で使用する彫刻刀を偶々持っていたので、ゴブリン達の心臓に突き立てた。


 中々外皮は硬かったので、少しコツが必要だったが、すぐに慣れた。

 

 とても冷静だったよ―――


 命を奪うことに対して、何ら躊躇いなどなかった。


 「やはりこの世界にはモンスターが存在するのか…これから先も戦闘を避けることはできなそうだな。」

 とつぶやいていると、頭の中で声がした。


 「レベルが上がりました。」


名前:天童進(てんどうすすむ)

種族:人間

性別:男

Lv.3

クラス:なし

◆パラメータ◆

体力:24

筋力:30

魔力:16

物理抵抗力:16

魔力抵抗力:16

精神力:27

器用さ:33

素早さ:24

◆装備◆

武器:なし

防具:学生服(+0)

◆アクティブスキル◆

《鑑定Lv.1》《収納Lv.1》《格闘術Lv.3》《高速演算Lv.3》《料理Lv.4》《魔力制御Lv.1》

◆パッシブスキル◆

《異世界語翻訳》

◆称号◆

異世界の天才児

異世界で数多の偉業を成し遂げた少年



 「やっぱりレベルという概念が存在するのだから、何かしらでそのレベルアップすることもあるのか。」

 「だが、モンスターを倒すとレベルが上がるなんて本当にゲームみたいじゃないか。」


 「この世界全体がまるでゲームのように誰かによって、管理・操作・干渉されているんじゃないか。」

 「そうあのエレベータの女のような存在に…もしくはあの女本人によって―――」

 「早く未央を見つけ出して、元の世界に戻らないと―――」


 そう心に誓って、進は森を脱出する為、歩を進めていった。





エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件

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