五回目の日曜日
この日はちゃんと二人で来てくれた
美結
郁美
車を降りたいっちゃんは
走ってきて私のことをぎゅっと抱き締めてくれた
美結
郁美
久しぶりに感じるいっちゃんのぬくもり
ふんわりと香る爽やかな香水
嬉しくて嬉しくて
涙が溢れそうになったけど
郁美
拓郎
二人は職員さんに話があったみたいで
直ぐに建物の中に入っていってしまった
やっと会えたのに
美結
ちょっぴり寂しくて
でもしばらくして二人が出てきて
またお庭の片隅のベンチに座った
郁美
郁美
いっちゃんは嬉しそうだけど今にも泣きそうで
たっくんがいっちゃんの背中を何度も擦っていた
美結
いっちゃんはそのまま泣き出してしまい
郁美
溢れる涙を何度もぬぐいながら
ぎゅっと抱き締めてくれた
何があったんだろう?
どうして泣いちゃったんだろう?
拓郎
郁美
拓郎
二人が私の手を握って言った
拓郎
郁美
二人はずっと
私のことを守ろうとしてくれていた
郁美
母達の前でいっちゃんが言った言葉
思わず出た言葉だったけれど
二人はその言葉通りに
私を自分達の子供として育てたいと思ってくれていた
そのために必要な準備を
今までずっとしてくれていたのだ
美結
美結
郁美
拓郎
拓郎
美結
郁美
拓郎
嬉しかった
いっちゃんがママになって
たっくんがパパになる
もうあの母はいない世界で
毎日いっちゃんの美味しいご飯を食べて
怖くて眠れない夜も
二人がそばにいてくれる
また三人でお出かけして
車の中で眠ってしまっても
いっちゃんが優しく頭を撫でてくれる
郁美
拓郎
大粒の涙がいっぱい溢れて
私は大きな声で泣いていた
私がずっと思い描いていた未来
大好きないっちゃんと
大好きなたっくんと
これからはずっと一緒にいられる
毎日毎日ずーっと一緒に……
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