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時間を少し遡り

鮎屋社長室

鮎原透

・・・・・

鮎原透

あの・・・

鮎原透

言っている言葉の意味が
分からないんですけど

透は拓郎から聞かされた話に 困惑した表情をしている

鮎原拓郎

私もいまだに
混乱しているんだ

鮎原透

あの妊娠が・・・

鮎原透

俺のせいじゃ無いって・・

鮎原拓郎

今思い返せば

鮎原拓郎

あの妊娠には
不可解な点も多かった

鮎原透

た、確かに、俺は
避妊していましたし

鮎原透

あの子もピルを
飲んでいるって言ってました

鮎原拓郎

当時の私は、それを
お前の嘘だと思っていた

鮎原拓郎

1人の女の子を
妊娠させてしまった
事実から──

鮎原拓郎

目を背けたい奴の
戯言だと信じて
疑わなかった

鮎原透

・・・・・

鮎原拓郎

楓咲絵里香・・・

鮎原拓郎

今は両親が離婚して
葛城絵里香という
名前らしいが・・

鮎原拓郎

お前はこの
葛城絵里香という名前に

鮎原拓郎

聞き覚えはあるか?

鮎原透

(葛城絵里香・・・)

鮎原透

(確か杏樹ちゃんの
友達の名前が
葛城絵里香だった筈)

鮎原透

(て事はあの子が?)

鮎原拓郎

聞いたところによると

鮎原拓郎

お前と同じ高校に
通っていると言う
話だったが・・・

鮎原透

あ、いえ・・・

鮎原透

あまり・・・

鮎原拓郎

聞き覚えはないか?

鮎原透

・・・・・

鮎原透

俺の知り合いには
居ませんね・・・

鮎原拓郎

本当だな?

鮎原透

は、はい・・・

鮎原拓郎

今朝来ていただいた
葛城さんの話では

鮎原拓郎

娘の絵里香さんは
お前を憎んでいる!
との事らしい

鮎原透

まぁ、”そんな理由”だったら

鮎原透

仕方ないのかもしれません

鮎原拓郎

しばらくはその
葛城絵里香という子を

鮎原拓郎

注意深く
見ていてくれ

鮎原拓郎

嫌な予感がする

鮎原透

わかりました・・・

鮎原拓郎

急に呼び出して悪かったな

鮎原拓郎

話は異常だ

鮎原透

はい・・・

鮎原透

では、失礼します

眞琴杏樹

・・・・・

眞琴杏樹

(絵里香ちゃん・・・)

眞琴杏樹

(なんで何も
言ってくれなかったんだろ)

眞琴杏樹

(言ってくれれば
なんか・・こう・・話を)

眞琴杏樹

(いや・・・違う)

眞琴杏樹

(言いたく
なかったんだろうな)

眞琴杏樹

(そりゃそうだよね・・・)

眞琴杏樹

(過去に鮎原さんに
妊娠させられたなんて)

眞琴杏樹

(言える訳ないよね)

眞琴杏樹

(私だって過去に
揚羽先輩たちに
迷惑かけた事)

眞琴杏樹

(話してないんだし)

眞琴杏樹

(明日からどんな顔して
絵里香ちゃんと
話したら良いんだろ・・)

翌日

教室では愛莉と絵里香が 楽しげに談笑していた

葛城絵里香

へー!良かったじゃん

虹山愛莉

ホントよ!

虹山愛莉

まじで夢の中に
居るような感覚だったよ

虹山愛莉

まさか美咲さんに
会えるなんてね

虹山愛莉

杏樹には感謝だわ

葛城絵里香

杏樹?

葛城絵里香

なんで杏樹に
感謝すんの?

虹山愛莉

あっ!言ってなかったね

虹山愛莉

実は──

そこに杏樹がやって来る

虹山愛莉

お!噂をすれば!

眞琴杏樹

お、お疲れ・・・

葛城絵里香

お疲れ!

葛城絵里香

昨日は楽しかったみたいね

眞琴杏樹

ま、まぁね

虹山愛莉

一生の思い出を
ありがとうね!杏樹

眞琴杏樹

いや、そんな・・

葛城絵里香

あ!そうそう!

葛城絵里香

話の途中だったね

葛城絵里香

ねぇ!愛莉?

虹山愛莉

ん?

葛城絵里香

なんであんたが
美咲さんに会えた事を

葛城絵里香

杏樹に感謝すんの?

眞琴杏樹

(あっ・・まずい)

眞琴杏樹

(このままだと
私が和久井さんと
知り合いだって)

眞琴杏樹

(言わなきゃ
いけなくなっちゃう)

虹山愛莉

あっ!その話だったね

虹山愛莉

実は杏樹って──

眞琴杏樹

私が頼み込んだんだよ

葛城絵里香

杏樹が?

虹山愛莉

(杏樹?)

眞琴杏樹

そう!そう!

眞琴杏樹

昨日のスキースクールに
たまたま美咲さんが居てね

眞琴杏樹

愛莉ちゃんの代わりに
私がお願いしたの!

眞琴杏樹

愛莉ちゃんったら

眞琴杏樹

美咲さん前にして
固まっちゃって

眞琴杏樹

言おうとしないから

眞琴杏樹

だから、私が代わりに!

葛城絵里香

あ!そういう事か!

虹山愛莉

(あっ・・・)

虹山愛莉

(あまり知られたくないんだ)

杏樹は目で愛莉に 訴えかける

眞琴杏樹

(伝わって!愛莉ちゃん!)

虹山愛莉

いやぁ〜そうなんだよね

虹山愛莉

やっぱ憧れの美咲さんが
目の前にいたら

虹山愛莉

さすがに喋れないよ!

眞琴杏樹

(よかった・・・)

眞琴杏樹

(伝わった・・・)

葛城絵里香

まぁ、だろうね

葛城絵里香

私もあんたの
立場だったら

葛城絵里香

そうなると思うわ

虹山愛莉

まったく!絵里香は
残念だったよね

虹山愛莉

バイトじゃなかったら
美咲さんに会えたのに

葛城絵里香

あ、う、うん
そうね・・・

葛城絵里香

バイト断れば
よかったかな?

葛城絵里香

あはは・・・

虹山愛莉

そうよ!勿体無い!

葛城絵里香

てか!あのイケメン
インストラクターは

葛城絵里香

結局どうなったの?

葛城絵里香

連絡先くらい聞いたの?

虹山愛莉

ああ、それね・・・

葛城絵里香

なに?その反応?

葛城絵里香

さては失敗したな?

眞琴杏樹

実はあの
インストラクターさん

眞琴杏樹

美咲さんの
彼氏さんなんだって!

葛城絵里香

え?まじで!?

虹山愛莉

そうなんだよね・・・

葛城絵里香

じゃああんたが言ってた

葛城絵里香

美咲さんが高校の時から
付き合ってる彼氏って

葛城絵里香

あの人だったわけ?

虹山愛莉

そうみたい!

葛城絵里香

あらら・・そりゃ
残念だったね

虹山愛莉

そうでもないよ!

葛城絵里香

ん?どう言う意味?

虹山愛莉

まぁ、美咲さんと
いっぱい話せたし

葛城絵里香

あっ、そういう事ね

眞琴杏樹

もう愛莉ちゃんったら

眞琴杏樹

終始はしゃぎっ放しで
子供みたいだったもんね

眞琴杏樹

絵里香ちゃんにも
見せたかったよ♫

葛城絵里香

それ見たかったなぁ

葛城絵里香

(・・・・・)

葛城絵里香

(話した感じ・・・)

葛城絵里香

(私が急に帰った事は
怪しまれてないみたいね)

葛城絵里香

(けどいずれ私が過去に
霞北中に居た事も
バレるかもしれない・・)

葛城絵里香

(鮎原は、弱い
杏樹から攻めようって
思ってたけど)

葛城絵里香

(そんな悠長な事
言ってらんないかもね)

葛城絵里香

(長引かせて
バレるくらいなら)

葛城絵里香

(直接鮎原を
狙うしかないわね・・・)

虹山愛莉

ねぇ絵里香?

葛城絵里香

(・・・・・)

虹山愛莉

おーい!エリカー!

葛城絵里香

ん?なに?

虹山愛莉

いや、なに?じゃなくて

虹山愛莉

なんか顔怖いよ?

葛城絵里香

(やば・・・)

葛城絵里香

そ、そうかな?

葛城絵里香

そんな事ないと思うよ?

虹山愛莉

そう?めちゃ
怖い顔だったよ?

虹山愛莉

なんかあった?

葛城絵里香

ううん、別に
何もないよ!

虹山愛莉

ふー・・・ん

虹山愛莉

ならいいけど

虹山愛莉

何かあったら
遠慮なく言ってね?

葛城絵里香

ま、まぁ、う、うん・・・

眞琴杏樹

・・・・・

皆が楽しげに話している教室を 透はひっそりと影を潜めて観察する

鮎原透

・・・・・

鮎原透

(あの子があの楓咲絵里香)

鮎原透

(あいつ・・・)

鮎原透

(なにか企んでんのか?)

鮎原透

(いや・・決めつけるには
まだ決定打にかける)

鮎原透

(もう少し様子を
伺う必要があるな)

透が去ろうとした時 杏樹と鉢合わせしてしまう

眞琴杏樹

あ!鮎原さん!

鮎原透

あ、杏樹ちゃん・・・

虹山愛莉

あ!鮎原さん!

虹山愛莉

昨日はお疲れ様でした!

鮎原透

お、おぅ・・・

眞琴杏樹

どうかしました?

鮎原透

いや、なんでもねーよ

鮎原透

たまたま
通りかかっただけだよ

鮎原透

邪魔したな・・・

眞琴杏樹

あっ、鮎──

透は足早にその場を立ち去る

虹山愛莉

どうかしたのかな?

眞琴杏樹

さ、さぁ・・・

葛城絵里香

(鮎原・・・)

葛城絵里香

(もしかして
私に気づいた?)

葛城絵里香

(いや、ありえない)

葛城絵里香

(ずっと同じ高校に
通っていながら)

葛城絵里香

(私が楓咲だって
気づいても無かったんだから)

葛城絵里香

(それは無い・・・)

葛城絵里香

(でも・・・)

葛城絵里香

(バレるのも時間の問題ね)

葛城絵里香

(もう鮎原を直接
的にかけるしかない!)

葛城絵里香

(あいつは・・・)

葛城絵里香

(私を捨てたんだから)

葛城絵里香

(”アイツら”と同じように)

葛城絵里香

(私を見捨てたんだから)

虹山愛莉

結局なんだったんだろうね?

虹山愛莉

鮎原さん・・・

眞琴杏樹

さぁ?

眞琴杏樹

何か考え事してる
雰囲気だったけど

虹山愛莉

まぁ、鮎原さんにも
いろいろあるっしょ!

眞琴杏樹

まぁ、だね・・・

葛城絵里香

じゃあ、私帰るわ

虹山愛莉

は?帰る?

眞琴杏樹

まだ授業あるよ?

虹山愛莉

まさかのサボり?

虹山愛莉

絵里香らしく無いね

葛城絵里香

ちょっと生理痛が
ひどくってさ

葛城絵里香

ムカムカするから
今日は帰るわ

眞琴杏樹

あ、そうなの?
大丈夫?

葛城絵里香

まぁ、今日一日
ゆっくりしてれば
大丈夫だと思う

虹山愛莉

まぁ、お大事にね?

葛城絵里香

うん!じゃあまた明日

教室を出て廊下を歩く絵里香を

杏樹が呼び止める

眞琴杏樹

待って絵里香ちゃん!

葛城絵里香

ん?どうかした?

眞琴杏樹

あの・・その・・

眞琴杏樹

明日の昼間って
暇だったりする?

葛城絵里香

明日?

葛城絵里香

まぁ、バイトは休み
だから暇だけど

葛城絵里香

どうかした?

眞琴杏樹

ちょっと、明日さ──

眞琴杏樹

早めに学校に
来れないかな?

葛城絵里香

学校に?なんで?

眞琴杏樹

ちょっと相談
したい事があるの

葛城絵里香

なに?何か悩み事?

眞琴杏樹

ちょっと・・その

眞琴杏樹

鮎原さんとの事で・・

葛城絵里香

(鮎原・・・)

若干、絵里香の表情が曇る

眞琴杏樹

(鮎原さんの名前を出せば)

眞琴杏樹

(来てくれないかな?)

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

ダメ・・かな?

眞琴杏樹

どうしても絵里香ちゃんに

眞琴杏樹

話を聞いて欲しいの

眞琴杏樹

お願い!

杏樹は頭を下げる

葛城絵里香

(まぁ、いいっか)

葛城絵里香

(鮎原に仕掛けるのは
杏樹の話を聞いてからでも)

葛城絵里香

いいよ!

眞琴杏樹

本当に!?

眞琴杏樹

ありがとう絵里香ちゃん

葛城絵里香

お礼なんていいって!

葛城絵里香

友達でしょ?ウチら!

眞琴杏樹

うん・・・

葛城絵里香

まぁ、何時に来れば良いかは
後でLIMEでもしてよ

眞琴杏樹

わかった!

眞琴杏樹

後でLIMEするね!

葛城絵里香

うん!よろしく!

眞琴杏樹

体気をつけてね

葛城絵里香

ありがと♫

眞琴杏樹

・・・・・

虹山愛莉

どうかしたの?

眞琴杏樹

え?

虹山愛莉

いや、絵里香を
追っかけてったからさ

虹山愛莉

何かあったのかな?って

眞琴杏樹

あ、その・・・

眞琴杏樹

ル○を渡したかっただけ

虹山愛莉

ル○?

眞琴杏樹

ホラ!絵里香ちゃん
生理痛辛そうだったから

眞琴杏樹

私の余ってる奴
渡したかったの

虹山愛莉

ああ!そういう事!

虹山愛莉

杏樹やるじゃん!

眞琴杏樹

ま、まぁね・・・

眞琴杏樹

友達だし・・・

虹山愛莉

てか、杏樹って
知られたくなかったんだ

眞琴杏樹

え?

虹山愛莉

いや、美咲さんの事だよ

眞琴杏樹

あ、あぁ・・・

眞琴杏樹

まぁ・・うん・・・

虹山愛莉

なんで?

眞琴杏樹

いや、やっぱり
美咲さんって、ホラ
有名人だし

眞琴杏樹

やたらと言わない
方がいいかなって

虹山愛莉

杏樹って意外と大人だね

虹山愛莉

私だったらまず
喋っちゃうな

眞琴杏樹

ひとこと余計だよ

虹山愛莉

あはは、ごめん!ごめん!

眞琴杏樹

もう・・・

葛城絵里香

・・・・・

葛城絵里香

杏樹・・・

葛城絵里香

鮎原さんとの事で
相談って・・・

葛城絵里香

どんな話なんだろ・・・

葛城絵里香

何あったのかな?

ピロン

絵里香のスマホから LIME通知音が鳴る

葛城絵里香

あ!杏樹からだ!

ANJYU

夜遅くにごめんね🙏
さっき言った話なんだけど
13時くらいに来れないかな?
たぶんその時間だったら
教室に入れると思うから

葛城絵里香

13時?

葛城絵里香

だいぶ早いね・・・

葛城絵里香

まぁ、いいっか

エリカ

OK!13時で大丈夫だよ!

ANJYU

ありがとう!
なら、明日の13時に
校門集合でいいかな?

エリカ

うん!それでいいよ!

ANJYU

ありがとう!
なら明日ね!

エリカ

うん!わかった!
遅れないようにね?

ANJYU

大丈夫だよ!

ANJYU

なら明日ね!

エリカ

分かった!ならおやすみ!

ANJYU

うん!おやすみ!

眞琴杏樹

・・・・・

眞琴杏樹

明日・・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃんに聞いてみよう

眞琴杏樹

本当に絵里香ちゃんは
楓咲絵里香なのか

眞琴杏樹

違ったらそれで
いいもんね・・・

眞琴杏樹

でも・・・

眞琴杏樹

もしそうだっら・・・

眞琴杏樹

今考えたって
どうしようもない・・・

杏樹が部屋で考えていると 杏里がゆっくり入ってくる

眞琴杏里

杏樹?いる?

眞琴杏樹

ん?どうしたの?

眞琴杏里

あっ!やっぱ居たのね!

眞琴杏里

電気ついてないから
居ないのかと
思ったわよ!

眞琴杏樹

あっ、ごめん

眞琴杏里

電気もつけずに
何やってるのよ

眞琴杏樹

あっ、別に・・・

眞琴杏樹

ボーっとしてただけ

眞琴杏里

変な子ね・・・

眞琴杏樹

それよりどうかしたの?

眞琴杏里

職場の人に
ケーキ貰ったからね

眞琴杏里

一緒に食べないかな?
と、思っただけ

眞琴杏樹

ケーキ?食べる!

眞琴杏里

じゃあ来なさい!

眞琴杏里

一緒に食べましょ♫

眞琴杏樹

うん♫

眞琴杏樹

(今はとりあえず
ケーキ食べて落ち着こ!)

眞琴杏樹

(明日になれば
全部わかるんだから)

翌日

眞琴杏樹

あ!杏樹ちゃん!

13時より少し前に 絵里香が校門前に姿を現した

葛城絵里香

あっ!遅刻しなかったね!

葛城絵里香

偉い!偉い!

眞琴杏樹

もう!子供扱いしないで!

葛城絵里香

ごめん!ごめん!
冗談だって!

眞琴杏樹

もう・・・

葛城絵里香

それより、これから
どうする?

葛城絵里香

すぐに教室行く?

眞琴杏樹

う、うん・・・
出来たらソレがいいかな

葛城絵里香

わかった!なら
すぐ行こ♫

眞琴杏樹

うん・・・

昼間の誰も居ない教室で 向かい合わせに座る杏樹と絵里香

葛城絵里香

で、どうかしたの?

葛城絵里香

鮎原さんと何かあった?

眞琴杏樹

実はね・・・

眞琴杏樹

私・・・

眞琴杏樹

鮎原さんに・・その
告白・・したんだよね

葛城絵里香

うっそ!?まじで!?

眞琴杏樹

う、うん・・・

葛城絵里香

そっか!そっか!

葛城絵里香

ついに告ったか!

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

どうしたのよ?

葛城絵里香

ついに告ったにしては
随分と浮かない顔ね?

眞琴杏樹

ま、まぁ・・・

葛城絵里香

え?もしかして
断られたとか?

眞琴杏樹

そうじゃないんだけど・・

眞琴杏樹

いや、あながち
間違いじゃないかも・・

葛城絵里香

何よ?歯切れが悪いわね!

葛城絵里香

どうかしたの?

眞琴杏樹

私が鮎原さんと
伊豆に行ったでしょ?

葛城絵里香

あー!そういえば
そんな事あったね

葛城絵里香

私と愛莉で水着
選んであげたっけ

葛城絵里香

なんか、懐かしく感じるな

眞琴杏樹

その時に告白したんだ

葛城絵里香

ああ、そういう事か!

葛城絵里香

てかよく決心できたよね?

葛城絵里香

あの奥手な杏樹が!

眞琴杏樹

実はね・・・

眞琴杏樹

その旅行先で・・・

葛城絵里香

何かあったの?

眞琴杏樹

その・・・

眞琴杏樹

変な男の人に
犯されそうになって

葛城絵里香

え?杏樹が?

眞琴杏樹

う、うん・・・

葛城絵里香

まじで・・・

葛城絵里香

そんな事があったんだ

葛城絵里香

辛かったね・・・

眞琴杏樹

怖かったんだけど

眞琴杏樹

鮎原さんが助けてくれたの

葛城絵里香

ああ、それでか!

眞琴杏樹

鮎原さんって昔
空手やってたらしくて

眞琴杏樹

その人をやっつけて
くれたんだ

葛城絵里香

まぁ、男の人たちに
やられそうに
なってるとこを

葛城絵里香

そんな助けられ方したら

葛城絵里香

意識してなくても
好きになっちゃうよね

眞琴杏樹

本当に強くて
かっこよかったんだ

眞琴杏樹

ヒーローみたいだった

葛城絵里香

のろけかよ(笑)

眞琴杏樹

いや、本当に
強かったんだよ!

眞琴杏樹

男の人を一瞬で
倒しちゃったの

葛城絵里香

極真ってそんなに
強いんだぁ

眞琴杏樹

びっくりするくらい
強かったんだ

葛城絵里香

へー・・・

眞琴杏樹

それで思い切って
告白したんだ

葛城絵里香

ふー・・・ん

葛城絵里香

でも結果は
うまくいかなかったの?

眞琴杏樹

嫌いだって言われた
わけじゃ無いんだけど

葛城絵里香

ないんだけど?

眞琴杏樹

鮎原さんって中学生の頃に

眞琴杏樹

1人の女の子を妊娠
させちゃった事が
あったらしいの

葛城絵里香

・・・・・・

葛城絵里香

へ、へぇ・・・
あの鮎原さんが?

葛城絵里香

意外ね・・・

眞琴杏樹

その子を、鮎原さん・・

眞琴杏樹

突き放しちゃったんだって

葛城絵里香

まじで?

葛城絵里香

信じらんない・・・

眞琴杏樹

その事をいまだに
後悔してるらしくて

葛城絵里香

後悔ね・・・

眞琴杏樹

しかもその子・・・

葛城絵里香

なに?何かあったの?

眞琴杏樹

自殺未遂をしちゃった
らしいんだ・・・

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

だから、俺みたいなやつは
私には相応しくないって

葛城絵里香

ふー・・・ん

眞琴杏樹

ねぇ・・絵里香ちゃん?

葛城絵里香

なに?

眞琴杏樹

この鮎原さんが
妊娠させちゃった
女の子って──

眞琴杏樹

絵里香ちゃんの事なの?

葛城絵里香

はぁ?なにそれ?

葛城絵里香

なんでそうなるわけ?

眞琴杏樹

違うの?

葛城絵里香

違うわよ!

葛城絵里香

そんなわけ無いじゃん!

葛城絵里香

急に何言い出すの?

葛城絵里香

意味わかんない!

眞琴杏樹

私が絵里香ちゃんの言葉を
怪しいと思ったのは

眞琴杏樹

あの日──

眞琴杏樹

原付の免許をとりに
行った日・・・

葛城絵里香

原付の免許を?

眞琴杏樹

あの時絵里香ちゃん──

眞琴杏樹

こう言ったんだ

数ヶ月前

眞琴杏樹

でも絵里香ちゃんも
免許持ってなかったんだ

眞琴杏樹

ちょっと意外だった

葛城絵里香

いや、恥ずかしい話
昔は原付の免許
持ってたんだけどね

葛城絵里香

更新逃して
失効しちゃったんだ

眞琴杏樹

うわぁ、勿体無い!

葛城絵里香

まぁ、色々あって
引きこもってた
時期があってね

葛城絵里香

その間に気づいたら
免許無くなってたんだ

眞琴杏樹

あ、ごめん・・・

眞琴杏樹

私、余計な事
言っちゃったかな?

葛城絵里香

別に杏樹が謝る
必要なんてないよ!

葛城絵里香

杏樹が悪い訳じゃ
ないんだし!

眞琴杏樹

う、うん・・・

眞琴杏樹

あの時は全然気にも
止めてなかった

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

けど、免許センターでの
座学講習で──

眞琴杏樹

原付免許の更新は
最初が3年で──

眞琴杏樹

次の更新までに
違反をしなかったら
5年だって聞いて

眞琴杏樹

おかしいって感じたの

葛城絵里香

な、なんで?

眞琴杏樹

原付免許は16歳から
取れるでしょ?

眞琴杏樹

それから次の免許更新は
3年後の19歳の時

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃんは今20歳だから

眞琴杏樹

19歳って言ったら去年だよ?

眞琴杏樹

去年、絵里香ちゃん──

眞琴杏樹

引きこもってなかったよね?

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

普通に私と一緒に
学校に来てたよね?

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

なんであんな嘘ついたの?

葛城絵里香

なんだぁ、そんな事か

眞琴杏樹

え?

葛城絵里香

真剣な表情で何を
言い出すかと思えば

眞琴杏樹

どういう意味?

葛城絵里香

嘘ついたのは悪かったけど

葛城絵里香

まぁ、あれよ
恥ずかしかったのよ

眞琴杏樹

恥ずかしかった?

葛城絵里香

私、20歳でしょ?

葛城絵里香

20歳にもなって
原付免許も持ってない
のが恥ずかしかったの

葛城絵里香

ただそれだけよ

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

てかそれだけで私
疑われてんの?

眞琴杏樹

それだけじゃないよ

葛城絵里香

え?

眞琴杏樹

私、さっき──

眞琴杏樹

伊豆で男の人に
犯されそうになった
って言ったでしょ?

葛城絵里香

ま、まぁ、うん・・・

眞琴杏樹

その時に鮎原さんに
助けられてたって

葛城絵里香

それがなに?

眞琴杏樹

絵里香ちゃん、その時──

眞琴杏樹

「男の人たちに
やられそうになってるとこを」

眞琴杏樹

「そんな助けられ方したら」

眞琴杏樹

「意識してなくても
好きになっちゃうよね」

眞琴杏樹

って言ったんだ

葛城絵里香

それがなに?

眞琴杏樹

おかしいと思わない?

葛城絵里香

なにが?

眞琴杏樹

私は──

眞琴杏樹

男の人に犯されそうに
なった!って言っただけなのに

眞琴杏樹

なんでれが
”男の人たち”って

眞琴杏樹

複数人居たみたいな
言い方したの?

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

確かに私を襲った
男の人は3人だったよ?

眞琴杏樹

でもそれは絵里香ちゃんや
愛莉ちゃんには話してないし

眞琴杏樹

分かるはずないじゃん

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

当事者以外で
分かるとすれば・・・

眞琴杏樹

男の人たちに、私を
襲うように依頼した
っていう女の人くらい

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃん──

眞琴杏樹

もしかして──

葛城絵里香

はぁ・・・

葛城絵里香

ただの勘違いじゃん

眞琴杏樹

え?

葛城絵里香

杏樹から犯されそうに
なったって聞いて

葛城絵里香

てっきり複数の
男の人に襲われたのかも
って勘違いしただけよ

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

女の子を襲う男の人って
大人数でやる
イメージって無い?

葛城絵里香

実際にそういう
事件あるじゃん

眞琴杏樹

そ、それは・・・

葛城絵里香

杏樹はただ、私の言葉の
粗探ししたいだけじゃん

眞琴杏樹

それだけじゃない!

葛城絵里香

まだあるわけ?

眞琴杏樹

鮎原さんが空手を
やってたらしいって
私が話したとき

眞琴杏樹

絵里香ちゃんはすぐに
”極真”って付け加えたよね?

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

普通、空手って聞いたら

眞琴杏樹

普通の空手を
思い浮かべるよね?

眞琴杏樹

なのになんで絵里香ちゃんは

眞琴杏樹

鮎原さんがやってた空手が
極真空手だって知ってたの?

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

私だって、この時に
初めて知ったんだよ?

眞琴杏樹

絵里香ちゃんって
鮎原さんとあんまり
話して無いよね?

眞琴杏樹

なのに何で──

葛城絵里香

私の何を知ってるわけ?

眞琴杏樹

え?

葛城絵里香

あんたが居ないとこで
鮎原さんと話してる
かもしれないじゃん

眞琴杏樹

それは・・・

葛城絵里香

鮎原さんから聞いたのよ

眞琴杏樹

鮎原さんから?

葛城絵里香

私も昔やってたの

葛城絵里香

それ繋がりで
聞いただけだよ

眞琴杏樹

絵里香ちゃんが
極真空手を?

眞琴杏樹

そんな話一度も・・・

葛城絵里香

話した事なかったからね

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

後は?

葛城絵里香

もうないの?

眞琴杏樹

それは・・・

葛城絵里香

無いなら帰るよ?

葛城絵里香

せっかく友達の為に
早めに来たのに

葛城絵里香

マジ気分悪いわ・・・

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

何も無いみたいだから
私、帰るね

葛城絵里香

じゃあ!後でね!

絵里香はドアに向かって歩く

眞琴杏樹

(絵里香ちゃん・・・)

眞琴杏樹

(認めてよ・・・)

眞琴杏樹

(ダメだ・・・)

眞琴杏樹

(絵里香ちゃんが行っちゃう)

眞琴杏樹

(どうしたら・・・)

眞琴杏樹

(あっ!そうだ!)

眞琴杏樹

(”あの話”をすれば・・・)

眞琴杏樹

(でも・・・)

眞琴杏樹

(絵里香ちゃんにとっても)

眞琴杏樹

(辛い過去なはず・・・)

眞琴杏樹

(私はそれを絵里香ちゃんに
思い出させようとして・・)

眞琴杏樹

(私・・サイテーな事してる)

眞琴杏樹

(でも・・友達として)

眞琴杏樹

(絵里香ちゃんを
放って置けない)

杏樹は絵里香の方へ振り向く

眞琴杏樹

待って!絵里香ちゃん!

葛城絵里香

しつこい!

葛城絵里香

何なの?

葛城絵里香

いい加減に──

眞琴杏樹

揚羽凛太郎と──

眞琴杏樹

和久井龍也って名前に──

眞琴杏樹

聞き覚えない?

お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

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コメント

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ユーザー

うわぉ、ついに、問い詰めた、!

ユーザー
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