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私はリエル・ソンブラ。

しがない王族の端くれです。

さて、今日から団長による特訓が始まりました。

ロック

この丸太を切り倒せばいいんだな!

ファーブラ

そうだねロック、まず君は細めのものからやっていこう

ロック

って木の枝!?

ファーブラ

大切なのは、君がどう切り倒したか、だよ

ロック

うーーん…どうしよっかなあ

この人はロック・ハーレー。

16歳という若さで、騎士団に入団。そしてウォルフに所属しています。

彼の幼なじみのイヴィ・ウォッチも同い年だそうです。

…私は19歳。

正直、羨ましいと感じることもある。

ドーンッ

騎士

うわ!?なんだ?

騎士

あぁ、またディアベルだよ

騎士

心臓にわりー

ファーブラ

流石だね

ファーブラ

素早く移動し、混乱させて

ファーブラ

上空から一気に畳み掛ける

ファーブラ

いい戦略だよ、しかもフェイントの種類も増えていたし

ディアベル

へっ、まぁこんなもんよ

ファーブラ

……ただ

申し訳なさそうに、ファーブラは続ける。

ファーブラ

整備係から、「地面を破壊しすぎだ」って苦情が来ているよ

ディアベル

俺のアイデンティティ消そうとしてんのかァ?

ロック

大丈夫!ディアベルは飛ばなくても強いぞ!

ディアベル

常に飛んでるみたいな言い方すんなよォ、鳥でもねぇんだし

リエル

実際そうでしょう

リエル

(鳥だって地面踏むし…)

今、飛んでいた人は、

ディアベル、25歳。

…悪魔みたいな人です。

私が入団した際にも、絡まれました。

本当にやめてほしい。

悔しいですが、実力はファーブラを除いた団員の中で1番でしょう。

本当に、不思議ですがね。

ディアベル

何見てんだァ、リエル

リエル

……年齢に見合う態度をですね

ディアベル

やなこった

ドロシー

オラァッ!!!

バキィッ

ロック

ええーー!!

ロック

素手で丸太ぶち抜いた!!!

ロック

すげーな!!

ファーブラ

…ドロシー

ファーブラ

カウンター来たらどうするんだい?

ドロシー

え、それも含めての攻撃だけど

ファーブラ

……そっか

リエル

(大変そう)

ファーブラ

じゃ、次はリエルだね

リエル

見ると、大体の人は終わっていた。

リエル

そうですね…

リエル

(この丸太が人だとしましょう)

リエル

(私の速さには着いてこられない)

リエル

(つまり……)

目にも止まらぬ早さで背後に移動し、

バキッ

勢いよく切りつけた。

リエル

こうするのが正解、ですか?

ファーブラ

そうだね、確かに死角に移動することは大切だよ

ファーブラ

じゃ、次は私にやってごらん

ドロシー

え?それ大丈夫なの?

ファーブラ

うん、おいで

リエル

で、では……

先程と同じように、背後に移動しようとするリエルだったが────

バシッ

リエル

えっ……

ファーブラ

確かに、これは避けるのが困難だね

ファーブラは依然としてリエルの前に立っていた。

しかも、持っていた訓練用のナイフを叩き落としている。

ロック

すげーーー!!!!

ロック

今、当たったと思ったのに!!

リエル

(一度目の、素早い背後への攻撃を回避……)

リエル

(私が何とか二度目の攻撃に移ろうとした時にはもう、ナイフがなかった…)

リエル

…侮れませんね

ファーブラ

あはは、でも驚いたよ

ファーブラ

臨機応変に斬り方を変えてきたから…

優しげに笑っているが、

目元は包帯に巻かれて見ることができない。

団員によると、入団してきた時からあったようだ。

中には気まずそうな顔をして、尋ねる者もいたらしいが、

「怪我していてね」

「それで、見えなくなっちゃったんだ」

としか答えてもらえなかったらしい。

リエル

(目が見えていない状態でこれか……)

かく言うリエルも、深海暮らしの過程で視力がほとんどなくなってしまっているが、

彼女は視覚の代わりに聴覚、触覚が優れているため、

日常生活に支障はあまりないようだ。

リエル

…何で、ここまで差が……

ロック

確かに!

ファーブラ

身体的な条件は同じだから

ファーブラ

後は、予測能力だね

リエル

と、いうと……?

ファーブラ

次の一手を常に考えておくんだ

ファーブラ

一撃目は入らないと思った方がいいかもね

リエル

次の、一手…

ファーブラ

よし、待たせたね

ファーブラ

次は─────

ディル

あっ……

ディル

えっと…

ファーブラ

具合でも悪いかな

ファーブラ

先程から、緊張していたようだけど

ドロシー

ディル、しっかりしな!

ドロシー

いけるよ、ディル強いもん

ディル

う…そ、そんな…ハードル……

普段から内気な性格ではあるが、

今回は呼吸すらままならないように見える。

リエル

…団長、一度落ち着ける場所へ行った方がいいんじゃないでしょうか

ファーブラ

そうだね

ファーブラ

皆は自主練に戻って

ファーブラ

私はディルを救護室まで連れていくね

ファーブラ

ディアベル、何やるか覚えてる?

ディアベル

あァ、指示くらいはできるぞォ

ファーブラ

よろしくね

ファーブラ

さ、ディル、行こうか

ディル

あ、す、すみません……

ファーブラ

大丈夫だよ

救護室

ファーブラ

落ち着いたかな?

ディル

は、はい…

ディル

すみません、迷惑を……

ファーブラ

イヴィは救護室の外で機能回復訓練中だから、ここにいるのは私とディルだけだね

ディル

え……?

ディル

(何で分かるんだろう…)

ファーブラ

君が強いのは、私も知っているよ

ディル

ディル

えっ、と……

ディル

全然、そんなんじゃないんです

ディル

ほんとに、その、あがってしまって…

ディル

実践でも、ドロシーに任せてて…

ファーブラ

実はね、私もそうだったんだ

ディル

!!!

ディル

見えない、です……

ファーブラ

自信がついたんだと思うよ

ファーブラ

必死に言い聞かせたんだ、「大丈夫、動ける」って

ファーブラ

ほんの少しだけ、動いてみるんだ

ファーブラ

間違ってもいい、それは明日の糧になるからね

ディル

あ……

ファーブラ

完璧である必要はないんだよ

そう言うと、ファーブラは席を立つ。

ファーブラ

さ、少しだけやってみようか

ファーブラ

きっと皆、驚くと思うよ

ディル

…はい!

イヴィ

────はぁ…

イヴィ

(流石に体力も落ちてるな…)

西日に照らされ、疲れた様子のイヴィが武器庫に入ってきた。

イヴィ

(早く取り戻さねぇと)

訓練で使った道具を戻しに来ているイヴィだったが、

ふと、窓の外に人影が見えたことに気がついた。

イヴィ

イヴィ

(もう夕方なんだが)

イヴィ

もう皆寮戻ってるぞ…?

イヴィはこっそりと、誰か確認してみることにした。

イヴィ

イヴィ

あれは……

人影は二つだった。

一つは真っ直ぐに走る影。

もう一つはそれを受け止める影。

どちらも長身だった。

イヴィ

(アイツは……ディルか)

イヴィ

(ファーブラと特訓中なのか?)

何を話しているかは分からなかったが、

先程まで縮こまっていたディルとは違い、

まだ思い切れてはいないものの、その顔は笑っているようにみえた。

イヴィ

……

イヴィ

(……俺も、頑張んねぇとな)

どうして騎士団に入ったの?

ディル

どうして!?

ディル

ど、どうしてかぁ……

ディル

僕の幼馴染、「ドロシー」って言うんですけど

ディル

恥ずかしながら、この性格なので…

ディル

小さい頃から、自分の意見をあまり言えない人間でした

ディル

そんな時に、幼馴染のドロシーが助けてくれていたんです

ディル

だから、今度は僕がドロシーと同じくらいに強くなって

ディル

彼女を助けられたらいいなって思ったので、騎士団になる道を選びました…!

ディル

彼女には笑顔でいて欲しいから……

ディル

色々迷惑かけると思いますが、頑張ります!!

おとぎ小話

「迷い子のはなし。」

年齢設定

「16歳」

イヴィ・ウォッチ ロック・ハーレー

「18歳」

カリゴ

「19歳」

リエル・ソンブラ

「25歳」

ディアベル

「19歳」

ディル・スパイヤー ドロシー・ガーネット

「33歳」

エクレール

「34歳」

ファーブラ・トロイマー

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