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荒れ果てた生まれ育った村。 周囲に転がるのは無数の真っ赤な死体。

「な、なんじゃ…? 何故こんな事に?」

自身を拘束するために締められた首と 手首足首の縄。 焼印を押された背中。 腹部に刺された痕。 その他痛めつけられて傷だらけの身体。

痛い。苦しい。 血が止まりそう。 身体中血塗れだ。 いや、これは自分の血だけじゃない。

「まさか…また?」

裏切り者として処刑されかけた16の時の悟郎の身体には村人である同僚を惨殺した返り血も混ざっていた。

「我の…所為?いや…違う!我ではない!」

膝から崩れ落ち頭を握るように押さえた。涙をボロボロ流しパニックで目の前が真っ白になる。

「悟郎!」

誰かの呼ぶ声で視界が戻った。 向こうから少女が駆け寄ってくる。

「凜々愛…殿?」

「……ーっ!!」

周囲の地獄絵図と悟郎の痛々しい姿に言葉を失う17の少女凜々愛。

「ち、違う…!我ではない!我はやっとらん!!」

「……わかってる。 わかってる。」

膝を付き、上裸でボロボロで傷だらけの哀れな少年悟郎を優しく抱きしめて頭を撫でる少女凜々愛。

「……知ってる。悟郎はこんな事、絶対しない」

「……聞いて、悟郎。おじ様が言ってた。悟郎は………」

顔を合わせ、頬に垂れる大粒の涙を拭って話しかける。

「……ーーーーだって。」

〜暴力団 本拠地〜

神楽 凜々愛

……ご、悟郎!?

勢いよく開かれたドアの前に立っているのは”IBUKI”の殺し屋、狼石悟郎だった。

百峰 桃音

なんやあの武器…!?

目を丸くする桃音の視線の先には彼の両手に握られた二刀流の黒く変わった形の歯をした大きな刀。

桜木 壱茶

おぉ、この前のぉ!

暴力団 ボス

ふん、また増えたか

暴力団 残党

お、おい…あの刀…!あの包帯!

1人の残党が口を開き、 その他もざわめく。

暴力団 残党

あいつ…”狼男”じゃねぇか!?

”狼男”…… 異名となった悟郎がこの世界(裏社会)で呼ばれているあだ名だ。

狼石 悟郎

…だから何じゃ?

悟郎は下駄の音を鳴らしながらこちらへ歩く。

狼石 悟郎

お主ら、無事か?

百峰 桃音

ウチと壱茶は平気やけど凜々愛が!

狼石 悟郎

何っ!?

悟郎は凜々愛の右肩の傷の存在に気づいた。完全ではないが一応流血は止まっている。

狼石 悟郎

誰じゃ…凜々愛殿を斬りつけた輩は!?

悟郎は強ばった表情をして敵陣を睨む。

暴力団 残党

うわ怖っ

神楽 凜々愛

……もう斬り殺したよ

凜々愛は悟郎を落ち着かせるように言った。

狼石 悟郎

む…そうか

その一言だけでスンと落ち着いた。

桜木 壱茶

(切り替え早っ)

百峰 桃音

(悟郎 凜々愛の言うことは絶対なんか?)

百峰 桃音

(てか悟郎絶対凜々愛のこと好きやろ。会う度に噛みまくりやし顔真っ赤やもん)

桃音さんご名答。 幼馴染みの恋ってやつです。

暴力団 ボス

やれやれ、面倒臭い侍が来たな

狼石 悟郎

誰が侍じゃ

百峰 桃音

(どっからどう見ても侍やん)

桃音は心の中でつっこんだ。なんならガラの悪いヤンキーとかヤクザと言ってもいいかもしれない。いや1歩間違えればそうかもしれない。

狼石 悟郎

お主らは下がっておれ。
我が1人残らず斬り刻む。

悟郎は刀を構えながら言った。

暴力団 ボス

まぁいい。わざわざ来てくれたが、お前もここで死んでもらおう。

暴力団 ボス

殺れ

残党達が一斉に悟郎に襲いかかる…が、

ズバズバッ!!

まずは2人。悟郎は2人の残党を難なく真っ二つに斬り捨てた。

狼石 悟郎

ふん、なんのこれしき

暴力団 ボス

なっ…!?

暴力団 残党

えぇ!?

暴力団 残党

ひ、ひいいい!!

その他の残党が怯え始める。

狼石 悟郎

次はお主じゃ

暴力団 残党

な、なめやがって!!

1人の残党がヤケクソになって鈍器を振りかざす。

桜木 壱茶

強ぇなぁ悟郎くんって奴は。見えなくてもわかるぜぇ…

壱茶は桃音と凜々愛の盾になるように前に立っていた。巻き添えを喰らわないよう十分な距離を置いていても、目以外の四感が鋭い壱茶にはその戦いの凄まじさが伝わった。

百峰 桃音

そうや、凜々愛!
肩の傷………

百峰 桃音

ってええ!!
何してんの!??

ふと凜々愛の方を見ると、彼女はベストを脱ぎ、シャツのボタンを全て開け傷口の部分をはだけさせていた。しかも…

「……っぐ! うあああっ!!」

自分の刀を傷口に刺すように当てていた。凜々愛の手元にはライターがあった。この火で刀の先を炙り熱で止血しているつもりだ。

百峰 桃音

なんちゅう荒治療してんねん!

百峰 桃音

てかそれウチのライター!

桜木 壱茶

桃音ちゃんタバコ吸ってんだなぁ?

百峰 桃音

うん、たまにな

同じ方向を向きながら言う壱茶に目を逸らして言う。

神楽 凜々愛

ハァ……ハァ……

神楽 凜々愛

……止血、できた

凜々愛は半泣きで止血した傷口を押さえながら言った。

百峰 桃音

今ここでせんでもええやろ…

百峰 桃音

あと胸しまえ。男おる所で何ブラ丸出しにしてんねん。アカンやろそれは

桜木 壱茶

(ほぉー?//////)

桃音ははだけた凜々愛の服を直しながら言った。壱茶はニヤニヤしながら顔を赤らめていた。

神楽 凜々愛

……でも、もし…悟郎が

百峰 桃音

?悟郎が?

神楽 凜々愛

……

神楽 凜々愛

……止めれられるの、ボクしかいない

桜木 壱茶

百峰 桃音

どういうこと?

ズバァァ!

気がつくと悟郎の周囲には全ての残党が真っ二つになって床に倒れていた。先程斬られた敵に関しては縦に真っ二つだ。

百峰 桃音

うわ、えげつな!

桜木 壱茶

鉄っぽい匂いがするぜぇ…

狼石 悟郎

残るはお主だけじゃ

返り血を浴びた顔で真っ赤に染まった刀をボスに向ける。

暴力団 ボス

ば、馬鹿な…!

狼石 悟郎

そこを直れ。大人しく死んでもらえば此方が楽じゃ。

悟郎さん今しれっと本音言いましたね?

暴力団 ボス

ふふふっ

暴力団 ボス

ふははははははははっ!!!

突然高笑いする暴力団のボス。

狼石 悟郎

!血迷ったか…!

暴力団 ボス

笑わせるなぁ!小僧!

狼石 悟郎

小僧…?我は二十三じゃ

桃音・壱茶 ((23歳!?))

暴力団 ボス

……

神楽 凜々愛

(……悟郎そこじゃない)

悟郎の実年齢に驚く桃音と壱茶。 凜々愛は心の中でつっこむ。暴力団のボスに関してはノーコメントだ。

暴力団 ボス

まぁ、雑魚どもは死んでも当然だったな

ジャキッ

暴力団のボスは二刀流の斧を取り出し構えた。

暴力団 ボス

だがこの俺を倒すことはできねぇな!!

キィン!

狼石 悟郎

ぬ…!

男は鉈を振りかざし悟郎は咄嗟に刀で防御する。

キィンキィンキィン キィンキィンキィンキィンキィンキィン!!!!!

狼石 悟郎

(は、早い…!)

暴力団 ボス

オラオラどうした!?

刃がぶつかり合う金属音が鳴り響く。 二刀流同士の隙を与えない目にも留まらぬ一騎打ちが桃音達の目の前でくり広がれる。

桜木 壱茶

凄まじい戦いだなぁ…
音がそう伝えてるぜぇ

百峰 桃音

あれに着いていける悟郎が凄いわ

神楽 凜々愛

……悟郎、大丈夫かな

神楽 凜々愛

(……もし途中で、包帯が切れたら…)

神楽 凜々愛

(……いや、”それ”は別にいい。万が一……悟郎まで…)

桃音と壱茶が目を丸めている中、凜々愛は悟郎の心配をしていた。

シュッ! シュッ!

狼石 悟郎

っ!

悟郎の頬と胴体が掠り血が流れる。 そして口元の包帯が切れる。

狼石 悟郎

(はっ…!)

神楽 凜々愛

……!

悟郎は解けそうになった包帯を反射的に押さえる。

暴力団 ボス

どうした!?そんなに包帯が大事か!?

狼石 悟郎

っ!

しばらく男の攻撃を避けながら切れた端を内側に押し込む。何かその口元の包帯に事情でもあるのだろうか、焦った表情をしている。

百峰 桃音

(あれ?そういえば先週のBAR、悟郎どうやってバーボン飲んでたんや?)

悟郎の口元の包帯を初めに、桃音はふと違和感を感じた。

そういえば悟郎…なんで”狼男”っていうあだ名なんや?

この世界(裏社会)では各々の特徴を元に周囲から勝手にあだ名を付けられるのが当たり前や。

例えば凜々愛の”人斬り人形”だったら人形のように表情を変えず人を斬る。康一の”爆弾軍曹”だったら爆弾使いの元軍曹。麗の”ボツリヌスの魔女”は毒の名前からきてる。

なら悟郎の場合は?狼のような鋭い爪を思い浮かばせる武器で無ければ、そんな獣のような体格には見えない。ていうかその体格でどっからそんなデカい刀振り回す力出てるんや?

そもそも「みだいし ごろう」の漢字で1発で「みだ」で「狼」という漢字が出てくるわけがない。一般的にこのような読み方はしないはず。ついでに学校の教科書にも載ってへんかった。

なんかおかしい…。生まれも育ちも裏社会だと言うウチがこの違和感を感じないわけが無い。

凜々愛の幼なじみの悟郎…… あんた一体…何者なん?

ダァァン!

百峰 桃音

はっ!

考え事をしていた桃音は何か大きな音で現実に戻った。

桜木 壱茶

うぅっ、今の音、脳と耳に響くぅ…

壱茶は耳と頭を押さえながら掠れた声で言った。確かに先程の轟音は耳が人一倍敏感な彼にとっては毒に等しいようなものだ。

百峰 桃音

(つか何の音やったん…や)

桃音はふと悟郎の方を見ると悟郎の二刀の大きく鋭い刃がコンクリートの床に食いこんでいた。

悟郎が上から刀を振り落とすような攻撃をして、それを男に避けられ地面に食いこんだのだ。

暴力団 ボス

ほう、そんな細い身体でよくそんな力が出るな。(危ねぇ…)

狼石 悟郎

全く…ちょこまかと動きやがるのう

狼石 悟郎

次で決めるぞ

悟郎は片方の刀を地面から抜き男の方へ向けながら言った。

暴力団 ボス

言ったな。お前にできるのかぁ?

ジャラァ!

狼石 悟郎

!?

男は背中に隠し持っていた壱茶の何本かの分銅鎖の束を一気に振りだした。

桜木 壱茶

(!あれ多分自分のヤツじゃねぇかぁ!?)

ガンッ!

鎖の先に付いている重りが悟郎の体の側面を殴ろうとするが当たる直前に二刀の刀で衝撃を押さえた。

狼石 悟郎

ぐっ!

ダァン!

しかしその衝撃には耐えられず、悟郎はぶっ飛ばされてしまう。

暴力団 ボス

これでトドメだ!

悟郎に向かって棒状の手榴弾を投げた。

狼石 悟郎

なっ…?

その手榴弾は悟郎の目の前で…

ドカーン!

爆発した。

「ぎゃああああ!!!」

爆発の火と煙の奥から悟郎の悲鳴が聞こえた。そしてプツンと切れるように悟郎の声がしなくなった。

神楽 凜々愛

悟郎ーー!!!

凜々愛が叫んだ。無口でおっとりした口調の彼女が珍しく声を張らせた。

百峰 桃音

えっ…

桃音は何かに気づき言葉を失った。

百峰 桃音

り、凜々愛…あ、あれ……

桃音は青ざめた表情で凜々愛の袖を掴んで指をさした。

神楽 凜々愛

……嘘っ!

濃い煙の下の床に付いた血だった。量も多い。

百峰 桃音

ま、まさか…!

神楽 凜々愛

……い、嫌だ!悟郎!!

凜々愛は叫ぶが彼の返事が全くしない。あんな至近距離の手榴弾を避けられるわけが無い。まさか…そんなの絶対に信じたくないが………死…?

コッ…コッ…

壱茶は衝動を押さえながら耳を澄まして靴音を鳴らした。

桜木 壱茶

…………

桜木 壱茶

(倒れてやがる…?五体は……よかった、無事だなぁ)

壱茶は凜々愛の肩にポンっと手を当てた。

桜木 壱茶

大丈夫だぁ2人ともぉ。悟郎くんはバラバラ死体になっちゃいねぇよ

神楽 凜々愛

……!

百峰 桃音

なんでわかんの?

桜木 壱茶

おいおい、自分エコロケーション使えんだぜぇ?

百峰 桃音

あ、せやった

桜木 壱茶

……ただなぁ、生きてるかどうかは分からねぇなぁ。まぁとりあえず五体満足だぜぇ

壱茶はエコロケーションで物の距離や体積、密度を把握することができる。しかし彼は全盲の故、色や文字はもちろん相手の表情は流石に分からないのだ。だからこの曖昧な答えだ。

神楽 凜々愛

(……あぁ!あの男に頬を掠られた時、”包帯が解けたら”…こんな事には!)

暴力団 ボス

チッ…直撃じゃなかったのか

暴力団 ボス

まぁいい。少なくとも戦闘不能だろう

男は鎖の束を引きずりながらこちらへ歩いてくる。

桜木 壱茶

おい、それ自分の鎖じゃねぇかぁ。返せ

暴力団 ボス

おー、そうだな。返してやんねぇと

壱茶の分銅鎖の束を持ち上げて言った。

暴力団 ボス

屍になってからなぁ…

バン!

銃声が鳴り響いた。

百峰 桃音

屍になんのはアンタやぁ!

桃音が少し離れた所に落ちていた自分の銃を拾い、そこから威嚇射撃をしたのだ。

暴力団 ボス

いつの間に…

神楽 凜々愛

…………

神楽 凜々愛

……ボクは10歳の時、屍の山を積んで殺し屋になった。

凜々愛は立ち上がり口を開いた。 手には自分の日本刀を握っていた。

百峰 桃音

(え、先輩!?)

※桃音は12歳から殺し屋※

暴力団 ボス

は?

神楽 凜々愛

……殺し屋になってから14年経った今でも、君たちのような種類の人間の屍の積んで、ボクは生きてる

百峰 桃音

(てことは24?年下やん!?)

※桃音は25歳※

神楽 凜々愛

……だから今日も、この世界で生き残るために、お前を殺す!!

凜々愛は男を睨みつけ刀を向けて言った。いつもの人を殺す時の変わらぬ無表情とはうって違って、目の前の獲物を狙う肉食動物のような目つきだ。おっとりした凜々愛では想像しにくいだろうが、その殺意はまさにそのものだった。

暴力団 ボス

ははっ…

暴力団 ボス

面白い!貴様から始末してやる!

男は鎖を構えながら叫んだ。

桜木 壱茶

(…なんか、やっべぇ予感がぁ?)

男と凜々愛は駆け出す。

(((ザワァ…!)))

桜木 壱茶

!!

桜木 壱茶

誰だぁ!!?

ブォンッ!

百峰 桃音

なんや!?

神楽 凜々愛

……つ!?

暴力団 ボス

なっ!?

何かの気配に気付いた壱茶の叫びに答えるように、霧のように覆い尽くした煙の中から悟郎の黒い刀が回転しながら凜々愛と男の間を横切って飛んできた。

ザシュッ

ボトッ

暴力団 ボス

ぐあああ!!

黒い刀は男の指を斬り落とし、回転しながらブーメランのように煙の中に戻った。

百峰 桃音

今の…悟郎の?

神楽 凜々愛

(……ま、まさか!)

悟郎は棒状の手榴弾を喰らうが、なんとか後退りで直撃を免れたのだ。しかし飛び散った破片の当たり所が悪く、目の前が真っ暗になり気絶した。

……

気絶したのか?

おい!天然野郎!!

…………………………

チッ…こいつぁ駄目だな

仕方ねぇ、俺が行くか

全く世話のかかる野郎だぜ

「ったく…誰だこんな派手にやりやがった奴は?」

百峰 桃音

!?

煙の中から下駄の音と共に悟郎の声が聞こえる。

・・・いや、悟郎にしては低い声で口調も違う?

桜木 壱茶

………………

煙の中から人影が見えた。悟郎なのか? やっぱり生きていたのか!

百峰 桃音

ごろ…!

百峰 桃音

う?

桃音は途中で言葉を失った。 煙の中から悟郎が刀を引きずりながら出てきた…が、

「はっははは!やっと俺の出番か!待ちくたびれぜ!」

百峰 桃音

え?

百峰 桃音

な、なんか…雰囲気がちゃう?

大きく見開いにグレーの結膜をした目の下に限。爆弾を食らったボサボサの髪の隙間から血を流している。口元の包帯が解けた素顔は血管がビキビキと浮かんでいた。そして何より……

「テメェか?天然野郎の対戦相手は?」

この荒い口調。普段は老人口調で一人称は「我」二人称は「お主」だというのに、「俺」や「テメェ」と言っている。

まるで別人だ。

暴力団 ボス

な…!なんだ…!コイツ!?

斬られた指を押さえながら言う。

「あの天然野郎が死ぬと俺も消えちまうんだよ」

百峰 桃音

え…ご、悟郎…やんな?

変貌した悟郎を受け入れられない桃音。壱茶に関してはずっと黙っている。しかし凜々愛だけは…どちらかと言うと安心している?

暴力団 ボス

い、生きていやがったか!こ、今度こそ息の根を止めてやる!!

「ほーう!威勢がいいなぁ!テメェの斬り心地を試させてもらおうか!!」

雰囲気が変わった悟郎は刀を振り上げ男に飛びかかった。

暴力団 ボス

なっ…!

キン…ッ

男は咄嗟に壱茶の鎖で防御する…が

ドガァンッ!!

受け止められず鎖ごと床に食い込んでしまった。

暴力団 ボス

くっ…!

「オラオラ!!どうした!?こんな程度かぁ!?もっと俺を楽しませろやゴラァ!!」

暴力団 ボス

(何なんだコイツ…?雰囲気が変わったどころか早くなっている気が……?!)

男は片腕で自分の斧で激しい攻撃を辛うじて防ぎ続けた。

暴力団 ボス

(こ、こうなりゃあ…!)

ジャキッ

男は部下の死体のそばに落ちていた機関銃を拾い、悟郎に向けた。

暴力団 ボス

蜂の巣にしてやらぁ!!

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

乱射した…が、

キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンッ!!

悟郎は大きな黒い刃で盾のように持ち替え、全ての弾丸を弾いた。

百峰 桃音

(あれバトル漫画の剣士がよくやる弾丸斬ったり弾き飛ばすヤツや!現実でアレ出来る人おるんや…)

暴力団 ボス

なっ…!

男は弾き飛ばされた弾丸に数箇所掠り、呆然とした。

ザシュッ!

ブシャー!

暴力団 ボス

ぎゃあああああ!!!

気が付くと男の機関銃を持っていた腕が斬り落とされ血を吹き出していた。

「はっはははは!!このまま微塵切りにしてらるぜ!!」

悟郎は男に飛びかかり…

暴力団 ボス

お…おのれェ……!!

ズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバッ!!

カンッ…

終いに下駄の音を鳴らして着地した。

ボトボトボトッ

悟郎を恨みに満ちた表情で睨みつけた男は全身バラバラに刻まれ崩れ落ちた。

百峰 桃音

……っ!

桃音は言葉を失っていた

神楽 凜々愛

………

「あ”ーっ、アイツ何やったらこんなボロボロになんだよ」

悟郎は頭を掻きながら言った。

ていうかさっきからずっと思ってたけど本当に悟郎なのか???

「んでよぉ…」

百峰 桃音

(((ビクッ)))

悟郎はこちらを振り向いて言った。下駄の音を鳴らしながら無言でこちらへ向かってくる。

桜木 壱茶

おい

壱茶は白杖で悟郎の左胸辺りを突いて言った。警戒心MAXだ。

「あ”ぁ?なんだテメェ?」

百峰 桃音

ちょっ…壱茶?

桜木 壱茶

お前さん、悟郎くんじゃねぇなぁ?

「ん?テメェ…目ぇ見えねぇのか?ふん、まぁ否定は出来ねぇな。」

悟郎は自分を突きつける白杖を見ながら言った。

百峰 桃音

否定できひん?

神楽 凜々愛

……い、壱茶、落ち着いて!

「俺は”アイツ”であってアイツ”じゃねぇよ”」

桜木 壱茶

どういうことだぁ?

影城 不死夜

なるほど、”解離性同一症”ですか

ここは(廃)”漆門地下闇病院”。今は不死夜が住み込みで使っているらしい。

つい最近、主に暗黒街の事件や犯罪者を取り締まる”国家保安局 暗黒街課”にバレてそこで働いていた闇医者は全員逮捕されて、今に廃院となった闇病院だ。

百峰 桃音

二重人格ってそう言うんや

桃音達は任務後に凜々愛と悟郎の怪我の処置のために、現場から”IBUKI”本部より近いこの闇病院に来たのだ。

神楽 凜々愛

……それはボクも、初耳

そう、悟郎は二重人格者だったのだ。

影城 不死夜

ところでアンタ、名はあるのですか?

不死夜は悟郎… いや、悟郎の裏人格に尋ねた。

百峰 桃音

いや悟郎ちゃうん?

影城 不死夜

肉体は同じでも人格が違わければ呼び名も違います。

「俺かぁ?俺ゃ”狼石悟郎”って男の裏人格だから名前なんてねぇよ」

裏ゴロー

ま、気軽に「裏ゴロー」とでも呼べ

百峰 桃音

「裏…ゴロー」……そのまんまやんけ

裏ゴロー

面倒臭ぇんだよ。その方がわかりやすいだろ。

百峰 桃音

まぁ確かにわかりやすいけど

桜木 壱茶

しっかしよぉ先生ぇ、コイツ全然受け入れてくんねぇから大変だったぜぇ

壱茶は頭を掻きながら言った。

百峰 桃音

アンタが言うか!
それはこっちのセリフや!

数十分前…

キィンキィンキィンキィンキィン!!

ドガッドガッドガッドガッドガッ!!

神楽 凜々愛

……や、やめて!2人とも…!

凜々愛が止めるように言うが彼らは全く聞く耳を持たない。

なんでこうなってしまったのか…壱茶と裏ゴローが一騎討ちをしているのだ。

百峰 桃音

壱茶、落ち着け!多分そいつ悟郎やから!知らんけど!!

そうだ。壱茶がまるで人が変わったような悟郎を敵と勘違いをしてこの熱戦だ。そして対戦相手は戦闘狂の故、話もロクにせず戦いを大いに楽しんでいる。

桜木 壱茶

どっから湧いて出てきたんだぁ!?あと悟郎くんの死体はどこへやったァ!?

裏ゴロー

ハッハハハハ!!やるなぁテメェ!!

壱茶は問うが、裏ゴローは聞く耳を持たず興奮するばかりだ。

百峰 桃音

(え?なんで壱茶、悟郎が死んでると思ってんの?雰囲気は全然ちゃうけど悟郎なら目の前おるのに?目が見えへんくてもそれ以外の感覚でわかるはずじゃあ?)

神楽 凜々愛

……壱茶!落ち着いて!ねぇ、聞いて!

神楽 凜々愛

……悟郎は、二重人格なの!

百峰 桃音

え?

凜々愛は声を張らせて言った。 え、二重人格??今、二重人格って言った凜々愛さん???

百峰 桃音

じゃ、じゃあ…あの悟郎は……

神楽 凜々愛

……うん

神楽 凜々愛

……確かに、今の悟郎は悟郎じゃない!彼は悟郎の裏人格なの!だから、悟郎は死んでない!!

百峰 桃音

そんで”狼男”かぁ…

桃音は悟郎の異名に納得し、凜々愛は必死になって壱茶に伝えようとした。普段無口で喋ることも少なく、おっとりとした口調で話す彼女にしては珍しい。

百峰 桃音

(そっか…あれは悟郎であっても別人。目の見えない壱茶は気配だけで判断してるから分からんのか…)

百峰 桃音

そりゃ敵やと間違えるわな

神楽 凜々愛

……ねぇ、2人ともやめて!

凜々愛が再び止めようとする。

桜木 壱茶

白状しろぉ!!

裏ゴロー

ハッハハハハ!!

しかし一騎打ちは止まらない。裏ゴローに関しては戦闘狂さが増している。

百峰 桃音

全然聞いてへんなアイツら

神楽 凜々愛

……裏人格、戦闘狂なんだ

百峰 桃音

壱茶耳ええのになんで聞こえてへんねん

とうとう桃音と凜々愛は呆れ返ってしまった。

百峰 桃音

全く…しゃーないな

ため息をつきながら桃音は太もものガンホルスターから二丁の銃を取り出し裏ゴローと壱茶に向けた。

神楽 凜々愛

……桃音?何をするの?

百峰 桃音

黙らせるわ

神楽 凜々愛

……え、ま、待って!

バンッバンッ! バンッバンッ!

凜々愛が止めようとしたが遅かった。

桜木 壱茶

っあ!!

裏ゴロー

ぐあっ!!

カランカランッ!

ジャラッ!

両者の武器が手元から離れ床に落ちた。桃音が二刀流の刀と分銅鎖の持ち手を撃ったのだ。

桜木 壱茶

いってぇ…!!

裏ゴロー

何しやがる!!

2人とも痺れる手を押さえる。特に壱茶は目以外の感覚は非常に鋭いため、彼にとっての衝撃は大きかった。裏ゴローはこちらを睨みつけた。

百峰 桃音

何しやがるちゃうわ!さっきから何遍も止まれってゆーてんのに!人の話もロクに聞かんとさぁ!てかアンタら話し合うという概念は無いんか!!

神楽 凜々愛

……ボク、何度も言った!

お怒りのお2人さん。桃音の勢いと凜々愛の物静かな圧力に裏ゴローと壱茶は言い返すことも出来ない。

桜木 壱茶

はい…すんませんでしたぁ

裏ゴロー

チッ…悪かったよ

百峰 桃音

ところで悟郎が二重人格ってこと聞いた?凜々愛がさっきゆーてたんやけど

切り替えるように桃音は問う。

桜木 壱茶

え?二重人格?1個の体に2人入ってるアレかぁ?え、こいつがぁ?

初耳の様子だった。やっぱり聞いてなかったのかよ。

裏ゴロー

あぁ、それ言うの忘れてたぜ

百峰 桃音

アンタも はよゆえや!!

桃音が叫ぶようにつっこむ。

神楽 凜々愛

(……え、待って?)

神楽 凜々愛

(……ていうか桃音、あんな早いスピードの熱戦で、彼らの手元の武器を撃って取り上げた!?)

百峰 桃音

……という事やねん

影城 不死夜

なるほど

そして現在に戻る。

裏ゴロー

コイツも全然話聞かねぇ奴でなぁ

裏ゴローは親指で壱茶を指しながら言った。

百峰 桃音

どっちもどっちや!

百峰 桃音

ほんまに衝撃的やったわ…

神楽 凜々愛

(……ボクは、桃音が1番、衝撃的だったんだけどなぁ)

影城 不死夜

それにしても、相変わらずヒトの気配には敏感なんですね

桜木 壱茶

へっへ、そいつァお陰様だぜぇ

ヘラヘラした表情で不死夜に言った。この2人は既に知り合いだ。

壱茶は以前、死にかけていたところを不死夜に救けられたらしい。そしてそれっきり命の恩人である不死夜のことを「先生」と呼んでいる。 当時不死夜は手術中、壱茶の目が再起不能になったことを確信し、エコロケーションを使えるように彼の耳を勝手に改造手術したと聞いた。

影城 不死夜

まさか、あの時ノリでやった耳の改造手術の結果がこれほどまでに役立つとは。僕も思ってもいませんでしたよ

百峰 桃音

んな重大なことを「ノリ」っていうんかいな…どんだけ腕ええねん。”IBUKI”の医療部に欲しい人材やわ

影城 不死夜

おやおや、スカウトですか?

百峰 桃音

不死夜も来ーへん?
結構楽しい職場環境やで

影城 不死夜

……………………

影城 不死夜

いや、遠慮します。僕は群れるのがあまり得意ではありませんので

不死夜は優しく微笑んで返答した。

桜木 壱茶

でもよぉ先生、この前康一くんらとマ○オカート大会やったよなぁ?

百峰 桃音

え?何それ??

〜この前〜

かつて会議室として使われていた部屋。 ゲームはテレビに繋げてます。

核山 康一

おーいマ○オ(大輝)〜、お前今どこにいるんだ?一緒に走ろうぜ〜笑

テッテッテッテレッテレッテッテ♪ テッテッテッテレッテレッテッテ♪

琉芭 大輝

ふざけんな!スター音丸聞こえなんだよ!!

▶︎ル○ージ(康一)、スーパースター獲得たのでマ○オ(大輝)の方へ向かう。

テッテッテッテレッテレッテッテ♪ テッテッテッテレッテレッテッテ♪

琉芭 大輝

おい、バカ!こっち来んな!!

琉芭 大輝

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!

▶︎マ○オ(大輝)はダメージを受けた。

核山 康一

っしゃあ!!

琉芭 大輝

ル○ージ(康一)てめぇ…!

狼石 悟郎

なんか…コースがやたら長い気が?

影城 不死夜

ピ○キオ(悟郎)逆走してますよ

狼石 悟郎

え?

狼石 悟郎

あ、しまった!

▶︎ピ○キオ(悟郎)、崖から転落。

桜木 壱茶

お前さんゲームでも方向音痴なんかよ

▶︎壱茶、悟郎が差し入れで持ってきた柿ピーを頬張る。

琉芭 大輝

くっそー!またク○パ(不死夜)1位かよ!

核山 康一

強ぇなぁ不死夜!

影城 不死夜

康一は2位ですね。

桜木 壱茶

マ○オカート最強王は先生だなぁ

核山 康一

俺あとちょっとで1位だったのによぉ!

影城 不死夜

でも僕も流石に焦りましたよ

狼石 悟郎

我…最下位……(´・_・`)

桜木 壱茶

…んな事があってなぁ

百峰 桃音

楽しそうやなオイ

影城 不死夜

僕ゲームは好きなのでね

不死夜は裏ゴローの傷に包帯を巻きながら言った。そうだ、もう1つ気になることがあった。

裏ゴロー

あの野郎…派手に怪我したな

百峰 桃音

なぁ裏ゴロー…

裏ゴロー

あ?

裏ゴローは桃音の方を見た。当の本人は別に怒ってるわけでも無ければ睨んでるわけでも無い。ただ表人格の悟郎の優しそうな目とは違って”彼”は目付きが悪い。ヤンキーがオラついてる時のような目付きをしてきた。

百峰 桃音

(うわ怖っ)

百峰 桃音

その…刺青は一体?

裏ゴロー

あぁ、これかぁ?

そう。裏ゴローが篭手を取り外し羽織を脱ぎ、上裸になった瞬間からずっと気になっていた。

彼の両方の肩と二の腕が繋がるように蔓が巻きついたような刺青が彫られていた。

裏ゴロー

知らねぇ。アイツか神楽に聞いたらどうだ?

アイツ=悟郎(主人格) 神楽=凜々愛

百峰 桃音

そうや、凜々愛

神楽 凜々愛

…………

桃音は凜々愛の方を向いた。 ていうか、なんかここへ来てからずっと顔が死んでいるこの子…

神楽 凜々愛

……それ、村長の象徴

百峰 桃音

村長?

神楽 凜々愛

……”山吹村”って、知ってる?

百峰 桃音

山吹村って…あの山吹村?

ここで説明しよう。 山吹村とは…… 東京都某町、通称「暗黒街」から少し離れた山を1つ越えた田舎にある村。村人全員が殺し屋で村自体が暗殺組織だ。この村は都市伝説として扱われ、存在自体は表社会には知られていない。 噂では既に滅び、政府がこの事を隠蔽しているとかなんとか……

神楽 凜々愛

……ボクと悟郎は、そこで生まれ育った

桜木 壱茶

おいおい、それって都市伝説じゃあ?

神楽 凜々愛

……ううん、実在してた。かつては

百峰 桃音

え?かつて?

神楽 凜々愛

……悟郎は、そこの村長の孫だった。跡継ぎが確定したら、村長の象徴である刺青を彫るのが掟だった。

神楽 凜々愛

……本来なら悟郎のお父さんが後継者になるはずだったんだ。でも聞いたところ、悟郎が生まれてから行方不明になったらしいんだ

神楽 凜々愛

……だから孫である悟郎は、10歳の頃に……大人たちに押さえつけられて、無理矢理その刺青を彫られたんだ。

凜々愛は揃えていた手をぎゅっと握りしめて言った。

百峰 桃音

…そうなんや。その歳でそれは過酷すぎるやろ

凜々愛の言うその過去の話は血の気が引いた。まだ10歳でこんな大きな刺青を無理やり押さえつけられて彫られたなんて恐怖の塊だ。

神楽 凜々愛

……あの時の、障子の奥から聞こえた悟郎の悲鳴は、今でも忘れられない。終わった時の泣きじゃくった、痛々しい悟郎…

神楽 凜々愛

……ヴッ、考えただけで…

凜々愛の顔は青ざめた。息が詰まりそうな空間になった。裏ゴローはなるほどと納得した表情をしているが、桃音と壱茶は何か凜々愛にかける言葉を考える。不死夜はただ静かに聞いている。

すると凜々愛は立ち上がった。

神楽 凜々愛

……痛かったよね。辛かったよね、悟郎

そう言いながら、座っている悟郎をそっと優しく抱きしめて頭を撫でた。

裏ゴロー

…………

いや間違えた、前言撤回。 それ裏ゴローだった。悟郎じゃない。そしてなんとも言えん表情をしている。

裏ゴロー

仕方ねぇ…

裏ゴローはそう呟き、目を閉じ口元の包帯を付けた。

狼石 悟郎

ん?

主人格である悟郎に戻った。

狼石 悟郎

え、えぇ!?//////り、りり凜々愛殿ぉ!?//////

知らぬ間に好きな人に抱きしめられていることに驚き思わず飛び跳ねた。

ズキッ!

狼石 悟郎

ぐっ…!痛ぁ!!

影城 不死夜

ちょっと、傷口が開きますよ!

飛び跳ねる悟郎を押さえて言う。

桜木 壱茶

(そこ代われや悟郎くんよぉ…!)

百峰 桃音

優しい…(裏ゴローが)

百峰 桃音

(じゃあその背中の焼印と手首の痣は?)

桃音にはまだ疑問があった。悟郎の体には刺青以外にもまだある。背中にバツ印の焼印、両手首には縄で絞められた痕があった。見た感じ多分過去になんかあったのだろうか……

百峰 桃音

(…いや、つっこまんとくか)

狼石 悟郎

こ、ここは?何故不死夜がおるのじゃ?

人格が変わると共に記憶喪失にでもなったような振る舞いをする。

百峰 桃音

なんでって…任務が終わって近くの不死夜の病院に寄って手当てしてもらってるやん

狼石 悟郎

む、そうか…

桜木 壱茶

そうかぁ、人格が違ぇから覚えてねぇのかぁ?

影城 不死夜

えぇ、主人格と裏人格は知識を共有する事はできるが記憶は共有できないのですよ。

百峰 桃音

へ〜

百峰 桃音

口元の包帯付けたら主人格になって、取ったら裏人格になるん?

桃音が悟郎に問う。

狼石 悟郎

そうじゃ、理屈は未だにわからんが

桜木 壱茶

あれじゃねぇ?犬に付けるマスクみたいなやつ

影城 不死夜

ドッグマズルですね

桜木 壱茶

そうそう、それだぁ

百峰 桃音

裏ゴロー完全に狂犬扱いされてるやん

神楽 凜々愛

……でも実質、その通り

百峰 桃音

ゆーたりな!

影城 不死夜

しかし可能性はありますね。聞くところの戦闘狂の凶暴さから察すると

不死夜は最後の悟郎の傷口に包帯を巻きながら言った。

そして悟郎は凜々愛と患者椅子の席を入れ替わった。

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