啓介
墓荒らしって意外とバレないんだってよ
里沙
墓荒らし?
啓介
この集落って
啓介
今どき古風な土葬じゃん
啓介
死体を着飾って
啓介
ネックレスなんかもかけたりするだろ
啓介
実は墓覗いたら
啓介
なくなってたりしてな
里沙
うえー
里沙
気持ちわる
里沙
どっかの墓、荒らされたの?
啓介
いや、ここでもそんなことがあるかもなーって話
里沙
民俗学の課題?
啓介
まあ、そんなとこ
里沙
もう課題は出したの?
啓介
うん
里沙
えへへ
里沙
じゃあ、もう二人で東京行くだけだね♡
里沙
はやく啓介の東京の家、見たいなあ
啓介
あはは
啓介
俺のアパート、ぼろいよ?
里沙
こんな田舎より、全然マシ!!
啓介
啓介
里沙、金は持ってきた?
里沙
持ってきたよ
里沙
はい、これ
啓介
うわ、すげ
里沙
えへへ
里沙
500万!
啓介
よくこんなに持ち出せたな
里沙
里沙の名義で親が積立してたから
里沙
定期解約してきただけだよ♡
里沙
このお金があれば
里沙
当分暮らせる?
啓介
うん
啓介
ありがとう、里沙
俺は位登啓介。22歳だ
この人里離れた集落に
民俗学の研究として、三カ月前にきた
里沙とはこの村で知り合った
世間知らずのお嬢様
対して俺は貧乏学生
東京で作った借金で
首が回らない状態だった
民俗学の研究なんて、本当は口実だ
俺はただ、逃げていただけなんだ
啓介
啓介
この金があればやり直せるよ
啓介
この金さえ、あれば
里沙
うん?
里沙
え?
俺は里沙に抱きついた
里沙
やだ、もう~
啓介
里沙、俺のためになんでもするって言ったよな?
里沙
えー、ふふ
里沙
言ったよ
啓介
じゃあ
啓介
死んで?
里沙
…え?
啓介
里沙、お願い
里沙
え
里沙
ちょ
啓介
お願い
啓介
なあ、お願いだよ
里沙
やめ…!
俺は里沙の首を思い切り絞めた
里沙
あぐ
里沙
ぐえ
里沙
やめて
里沙
啓介、苦し…!!
啓介
俺のこと好きなんだろ?
啓介
俺、大変なんだ
啓介
大切にするから
啓介
ほんと、大切にするよ
啓介
この金
里沙
あぐぐ…
啓介
愛してるよ
里沙がものすごい力で俺の顔をひっかいた
するどい痛みが走る
俺は夢中で里沙の首を絞める手に力をこめた
啓介
里沙!!
啓介
里沙!!
啓介
大好きだよ!!
~♪
携帯の着信音が鳴り響いている
里沙のものなのか、俺のものなのか
もうそんなことを気にしている余裕はなかった
啓介
啓介
はあ…はあ…はあ…
啓介
…里沙?
啓介
里沙?息してる?
里沙
…………
啓介
はは…はは…
啓介
殺しちゃった…
啓介
マジで…殺しちゃったよ…
啓介
はは…
啓介
ピンポーン
啓介
…え?
百合
こ~んばんは~
百合
啓ちゃん、里沙~?いるんでしょ~?