殺人アプリ運営会社の女の社長と空雅が沈黙している間に、南碧は包丁を取り出すと
おそるおそる女の社長に向かってその刃先を向ける──
女の社長
そこの女、邪魔なんだよ

女の社長
あたしにとってアンタはウイルスなんだよ

空雅
ウイルス…

南碧
そんな…ひどいわ!!

女の社長
ウイルスは除去しなきゃね

空雅
最初のウイルス除去アプリって…そゆ意味だったのか…

空雅
全部全部仕込まれてたんだな…

女の社長
うちら運営以外の人間はみなウイルス、みな敵だ

女の社長
あたしはアンタのせいで…アンタの理不尽さのせいで人間不信になっちゃったの^^

女の社長
この六股気まぐれ野郎め!浮気者に生きる価値はねえ!!

南碧
え…何言ってんの……?

空雅
(まずいまずい…)

空雅
コイツは…この社長はしらこい言い訳作って俺を悪者に仕立てあげる気だ!!

南碧
そー…だよね……

南碧
空雅は…空雅はそんな人じゃないっ!!

空雅
(…よかった)

南碧は女社長の腹を刺したかと思うと、足で弾かれ攻撃を交わされた。
南碧
うわっ……

女の社長
お前たち2人揃って仲良く死ねば面白かったのに

空雅
っ…!!

南碧
あなたたちは…一体どういうかんけi

空雅
いーから早くコイツを殺れよ!!

空雅
ここがどーゆーとこか分かってるよな!?

女の社長
お前ら2人はこの世でいっっちばんサイテーな奴等だよ!!

南碧
よくわかんないけど…

南碧
とにかく世間をあなたたちのような極悪犯罪組織から救うこと

南碧
それこそが殺人検定者としての本来の存在意義

南碧
役割

南碧
そして在り方なんだから!!!

空雅
(何…じゃあ俺のこと分かってもらえねえかなコイツには…)

女の社長
ねえ……

女の社長
なん…で……なん…で

女の社長
だれも……助け…て……くれ…ない…の……?…なんで……あたしが…?

???
…新たなる人肉が生まれるかねえ

???
ですね

???
一生懸命死体を運んで解体して働いてるけどお給料全然くれないし、はっきり言ってパワハラ社長だったんですよね

???
耐えられませんでした

女の社長
あんたら…まで…あたしを……見捨てる…気か…よ

女の社長
うぐっ……

女の社長
くやし…く…て……くやし…くて…たまん……ねえ……

女の社長
死んでも……うらんで…やる…おぼえ…とけ

女の社長
ああっ…………

南碧
なんとも…言えない……

空雅
だからあの時言っただろ…コイツは束縛強い奴だって

空雅
でもまだ俺に悪い意味で執着してたとはコイツも大概な野郎だな…

空雅
(くそ…俺が殺りたかったのに…)

空雅
(まあでもいい…どっちにしろコイツには死んでほしかったからみあには感謝する)

空雅
マジでありがとな、みあ♡

空雅
俺を自殺から救ってくれて、そしてこの社長からも救ってくれて…

南碧
いーんだよ空雅!

空雅
マジで愛してるからな♡♡

空雅
これでもー俺もお前も罰を受けることはねえぞ!

南碧
いぇーーーい!!\(ˊᗜˋ)/

南碧
空雅もまじよかったね!!これでやっと地獄の日々から解放されたね!☺

南碧
ホント今までご苦労さん!!

空雅
俺はやっと自由になれるんだ!!😸

南碧
これからもずーっとずっと一緒にいよーね!🫶🏻💗幸せになろーねん!

空雅
うん!おかげさまで、俺はこれからも──

空雅
楽しく殺人LIFEを続けられるよ!

その瞬間、南碧の明るい表情と社員たちの暗い表情は入れ替わった──
南碧
(な…なにそれ…!?全てが裏切られたよーな感覚……)

南碧
え…く…空雅…?

南碧
冗談……だよね…!?

空雅
…ははは、俺ね

空雅
殺人検定ってしょーみめちゃくちゃ楽しかったんだよ!

空雅
殺人は俺にとっての生き甲斐となった!

南碧
な!?、なに…!?

南碧
罪のない人の命奪うなんて…絶対に…絶対に許されることじゃないのに!!

南碧
みあだって…殺人検定嫌々やらされてたんだよ!?

南碧
そんな…故意に殺人するなんて…みあ絶対許せない!!

南碧
みあがさせないわ!!

空雅
そっか…わかったよ

空雅
お前は俺の生き甲斐に必要ねえ…どころか邪魔すんだな

空雅
邪魔なものは排除しねえと俺の存在価値はなくなる

南碧
や…やめなさいよっ!!ふざけないで!!

空雅
だから…この俺を受け入れられる器がねえのなら……

空雅
いっそ俺のために死んでくれ、ベイベー!!

南碧
いやあああああああっ!!

南碧
やめてぇぇぇぇぇ!!!

南碧
ううっ…

南碧
何で……みあ…空雅が…普通に…幸せに…暮らして…ほしくて……

南碧
空雅の…ことが……大好き…で……救った…のに……ねえ…

空雅
幸せ?普通?はは

空雅
殺人検定こそが俺に大いなる幸福をもたらしてくれるんだよ

空雅
俺のために尽くすのも、度量を大きくするのも彼女としての優しさ…

空雅
そーだろ…みあ

南碧
あ…あなた……なんでそんな…狂っちゃったの……

南碧
あなたの……優しさは…どこに……みあの知ってる空雅は……どこに……

空雅
なぁみあ、俺がゲーム好きだってこと知ってるだろ?

空雅
殺人検定っつーゲームはさ、俺のモチベを上げてくれたのさ

南碧
そん…な…あり…えない……

空雅
でも安心して?

空雅
お前が死んでも俺はお前のこと、愛してるよ

空雅
お前には全部全部…感謝してるからさ

南碧
……

空雅
(見てろよっ!次は俺が「終わりのねえ殺人アプリ」運営会社の──)

空雅
(社長になってやるぜ!!)

空雅
…でもさ、みあ

空雅
これがお前にも…そして俺にもできる

空雅
人生最後の生身の人間との恋愛の瞬間かもしれねえなぁ…

空雅
もー俺には生きてる人間に恋する感情もわからなければ嫉妬する感情もわからねえんだよな…

空雅
俺は死体に恋できれば…誰が何言おうとカンケーねえんだよ♪

社員たち
おぉーまたもや人肉か!

社員たち
今夜も豪華な晩飯になりそーだねぇ♪

社員たち
でも社長いなくなったよな…

社員たち
…あの〜空雅様、ちょっとよろしいですか?

社員たち
あなたに1つ提案があります

空雅
はい何でしょう?

社員たち
あの〜貴方、殺人アプリ会社の社長になってみたかったりしませんか?

空雅
(だから俺はあの女社長──いや元カノに死んでほしかった、みあに殺させた)

社員たち
あなたの殺人と死体に対する欲

社員たち
それからあなたの、検定における殺傷能力とその功績

社員たち
これらは我々社員がまさに模範とするものであります

社員たち
あなたの術、意欲、忍耐力、創造力は非常に優秀であると我々社員一同は認めました

社員たち
これより空雅様、次は貴方を第二代殺人検定アプリ会社の社長として任命いたします
