テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

第17話 - 同級生との再会

150

2023年04月14日

#ドラマ

#青春恋愛

#高校生

#一次創作

×××

数十分前

虹山愛莉

おばさん！

愛莉が手術灯を指差す

手術灯は杏樹の手術が終了した事を告げるようにゆっくりと消えた

眞琴杏里

杏樹！

手術室のドアがゆっくりと開き医師と共に担架に乗せられた杏樹が出てきた

眞琴杏樹

お・・お母さん

眞琴杏里

大丈夫？杏樹？

眞琴杏里

意識は？

眞琴杏里

しっかりしてる？

眞琴杏里

大丈夫？

眞琴杏樹

もう・・お母さん

眞琴杏樹

心配しすぎだよ・・

眞琴杏里

そりゃ心配するわよ

虹山愛莉

杏樹？大丈夫？

眞琴杏樹

愛莉ちゃんまで

眞琴杏樹

ありがとうね・・・

虹山愛莉

何言ってんの！
友達じゃん！

眞琴杏樹

あっ、そうだ！

眞琴杏樹

絵里香ちゃんは？

眞琴杏樹

絵里香ちゃんは
どこにいるの？

眞琴杏里

絵里香ちゃん？

虹山愛莉

絵里香なら
鮎原さんと一緒に

虹山愛莉

外の空気を吸って
くるって言って

虹山愛莉

屋上に行ったよ？

眞琴杏樹

（まずい！）

眞琴杏樹

（絵里香ちゃんと
鮎原さんを二人にしたら・・）

眞琴杏樹

お母さん！

眞琴杏里

なに？どうしたの？

眞琴杏樹

私を屋上に連れて行って！

眞琴杏里

え？屋上に？

眞琴杏樹

お願い！

医師

だめだ！眞琴さん！

医師

君はまだ手術後で
体調が万全じゃないんだ

医師

外の空気を吸いたい
気持ちは分かるけど

医師

いまは病室で──

眞琴杏樹

違うんです！

眞琴杏樹

外の空気を吸いたいとか
そんな理由じゃないんです

眞琴杏樹

絵里香ちゃんを止めなきゃ

眞琴杏樹

とんでもない事に
なっちゃうんです！

虹山愛莉

とんでもない事？

眞琴杏樹

理由は今は
詳しく話せないけど

眞琴杏樹

とにかく！

眞琴杏樹

今は絵里香ちゃんを
止めなきゃ！

眞琴杏樹

だからお願い！

眞琴杏樹

私を屋上に連れて行って！

眞琴杏里

杏樹・・・

眞琴杏里

先生！私からも
お願いします

医師

お母さんまで！何を
言っているんですか！

眞琴杏里

この子は何の
考えもなしに

眞琴杏里

こんな事を言う
子じゃありません

眞琴杏里

何かしらの
理由があるんです！

眞琴杏里

ですからお願いします

眞琴杏里

杏樹を・・屋上に・・

杏里は医師に深々と頭を下げる

眞琴杏樹

お母さん・・・

医師

しかし・・・

虹山愛莉

私からもお願いします！

虹山愛莉

たぶん友達の
ピンチなんだと思います

眞琴杏樹

愛莉ちゃん・・・

虹山愛莉

お願いします！

医師

はぁ〜・・・

医師

分かりました・・・

眞琴杏里

先生・・・

医師

ですがこれだけは
約束してください！

医師

これ以上は危険！
と判断したら

医師

すぐさま私に従い
病室へ行く事！

医師

いいかな？眞琴さん！

眞琴杏樹

はい！分かりました！

医師

では、急患用の
エレベーターで

医師

屋上に向かいましょう

眞琴杏里

ありがとうございます

医師に連れられ杏樹、杏里、愛梨の３名は

連絡用エレベーターに乗り込み屋上へ向かう

葛城絵里香

杏樹・・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃん・・・

杏樹は自分の力を振り絞り担架から下りる

医師

眞琴さん！君はまだ──

眞琴杏樹

大丈夫・・ですから・・

眞琴杏樹

一人で・・出来ます

葛城絵里香

駄目よ！杏樹！
寝てなくちゃ！

眞琴杏樹

うるさい！

葛城絵里香

杏樹・・・

眞琴杏樹

大丈夫だって・・・

眞琴杏樹

言ってるでしょ・・・

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

大丈夫・・だから・・

杏樹はおぼつかない足取りでゆっくりと絵里香に歩み寄る

眞琴杏樹

絵里香ちゃん・・・

葛城絵里香

（杏樹・・・）

葛城絵里香

こ、来ないで！

絵里香は杏樹にナイフを突きつける

眞琴杏樹

そんな・・危ないもの

眞琴杏樹

捨てなよ・・・

葛城絵里香

う、うるさい！

葛城絵里香

ア、アンタに・・
か、関係・・ないでしょ！

眞琴杏樹

絵里香ちゃんが言ったように

眞琴杏樹

わ、私は、揚羽先輩に
会えないだけで

眞琴杏樹

辛いなんて言って
甘えてるだけ・・

眞琴杏樹

かもしれない・・・

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

え、絵里香の辛さに比べたら

眞琴杏樹

ぜ、全然かもしれない・・・

眞琴杏樹

けど・・・

眞琴杏樹

私にとって絵里香ちゃんは

眞琴杏樹

かけがえのない友達だから

葛城絵里香

だから言ったでしょ？

葛城絵里香

私がアンタに近づいたのは

葛城絵里香

鮎原に──

眞琴杏樹

最初はそうだった
かもしれない

葛城絵里香

・・・・・

眞琴杏樹

でも、今は？

葛城絵里香

杏樹・・・

眞琴杏樹

今でも私は──

杏樹は足がもつれてその場で倒れてしまう

眞琴杏樹

うっ・・・

葛城絵里香

杏樹！！！

絵里香はナイフを投げ捨て杏樹に駆け寄る

眞琴杏樹

絵里香ちゃん・・

葛城絵里香

バカ杏樹！！

葛城絵里香

なんでこんな
無茶すんのよ！！

眞琴杏樹

絵里香ちゃんは・・

眞琴杏樹

はぁ・・はぁ・・

眞琴杏樹

大切な・・友達・・だから

葛城絵里香

だからってこんな無茶・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃんとは
ずっと友達で居たい・・

葛城絵里香

杏樹・・・

葛城絵里香

ぐすっ・・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃんは
1人なんかじゃない

葛城絵里香

杏樹・・・

眞琴杏樹

私が──

杏樹の言葉が途切れ同時に杏樹の意識が遠のく

葛城絵里香

杏樹！しっかりして！

葛城絵里香

杏樹！目を開けて！

異変を察知した医師が杏樹と絵里香に駆け寄る

医師

すぐさま病室に連れて行こう

葛城絵里香

先生！お願いします！

葛城絵里香

杏樹は──

葛城絵里香

大切な友達なんです！

葛城絵里香

杏樹を助けて
あげてください

医師

ああ！もちろんだ！

杏樹は再び担架に乗せられ病室に担ぎ込まれる

杏樹が目を覚ましたのは病室のベッドの上だった

眞琴杏樹

こ・・ここは・・・

葛城絵里香

杏樹？分かる？

葛城絵里香

意識はしっかりしてる？

葛城絵里香

私の事・・分かる？

眞琴杏樹

絵里香ちゃん・・・

葛城絵里香

よかった・・・

葛城絵里香

杏樹が無事で・・・

葛城絵里香

ぐすっ・・・

葛城絵里香

ごめんね杏樹・・・

葛城絵里香

私のせいで・・・

眞琴杏樹

ううん・・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃんは
悪くないよ

眞琴杏樹

私が勝手に
転んだだけだから

葛城絵里香

杏樹・・・

医師

目を覚ましたようだね

医師

眞琴さん

そこに医師が駆け寄ってきた

眞琴杏樹

お医者さん？

眞琴杏里

杏樹？大丈夫？

眞琴杏樹

お母さんも・・・

虹山愛莉

私も居るよ！杏樹！

眞琴杏樹

愛莉ちゃん・・・

虹山愛莉

もう・・バカなんだから！

虹山愛莉

ハラハラしたよ！

虹山愛莉

あんな無茶なんかして！

虹山愛莉

心配したんだからね？

虹山愛莉

ぐすっ・・・

眞琴杏樹

ごめんね・・・

眞琴杏樹

心配かけて・・・

虹山愛莉

ホントよ！まったくもう！

葛城絵里香

あの・・すいません

葛城絵里香

しばらく杏樹と
2人きりに
してくれませんか？

医師

眞琴さんと？

眞琴杏樹

絵里香ちゃん？

葛城絵里香

お願いします！

絵里香は医師に深々と頭を下げる

葛城絵里香

何かあったらすぐに
先生を呼びますから

葛城絵里香

どうか、少しの間だけ

葛城絵里香

杏樹と2人きりで
話す時間を下さい！

葛城絵里香

お願いします！

虹山愛莉

（絵里香・・・）

眞琴杏樹

私からもお願いします

医師

まぁ、本来は医師とて
許可はしかねるが

医師

特別に許可しよう

葛城絵里香

ありがとうございます

医師

しかし、なるだけ
手短にお願いするよ

医師

眞琴の体も
万全じゃないんだ

葛城絵里香

はい・・・

医師

では、何かあったら
ナースコールをするように

眞琴杏樹

はい！分かりました

医師たちは、病室に杏樹と絵里香だけを残して退出した

杏樹と絵里香が病室で話している頃

葛城黒江

鮎原さん！

葛城黒江

そして眞琴さん！

葛城黒江

本当に申し訳
ありませんでした

黒江は涙を流しながら頭を下げる

鮎原拓郎

いえ、葛城さん

鮎原拓郎

頭を上げてください

眞琴杏里

そうですよ！

葛城黒江

いいえ！いけません！

葛城黒江

我々は鮎原さんを
長年の間騙していた
というのにも関わらず

葛城黒江

この一件でさらに
迷惑をおかけして

葛城黒江

さらには杏樹さんも
危険に晒してしまい

葛城黒江

本当に申し訳ありません！

眞琴杏里

でも杏樹はこうして
無事だったわけですし

眞琴杏里

ここは穏便に！

鮎原拓郎

眞琴さんもこう
仰ってくれていますし

鮎原拓郎

我々としても
大事にはしたくありません

葛城黒江

ありがとうございます・・・

葛城黒江

ありがとうございます・・・

黒江は何度も頭を下げる

鮎原透

父さん！ちょっと
いいですか？

鮎原拓郎

なんだ？透

鮎原透

ここじゃ話しにくいので
こっちに・・・

鮎原拓郎

（ん？なんだ）

透の発言を疑問に思いながらも後をついていく拓郎

鮎原拓郎

なんだ？どうかしたか？

鮎原透

父さんにお願いがあります

鮎原拓郎

なんだ？改まって

鮎原透

葛城の母親から返却
された示談金400万

鮎原透

俺に貸してくれせんか？

透は頭を上げる

鮎原拓郎

示談金を？

鮎原拓郎

何に使う気だ？

鮎原透

それは・・言えません

鮎原拓郎

・・・・・

鮎原透

しかし・・・

鮎原透

葛城絵里香を
守るために使うとしか

鮎原透

今はそれしか──

鮎原拓郎

おおかた
予想はついている

鮎原透

え？

鮎原拓郎

ここに行け！

拓郎は四つ折りにされたメモが身を通るに手渡す

鮎原透

こ、これは・・・

鮎原拓郎

静岡刑務所
沼津拘置支所

鮎原拓郎

そこに彼らは居るそうだ

鮎原透

し、調べてたんですか？

鮎原拓郎

おおかた葛城さんに
手を出させないための
賄賂に使うつもりだろ

鮎原透

い、いや、それは・・・

鮎原拓郎

利子は高いぞ？

鮎原透

！！！！！！

鮎原透

と、父さん・・・

鮎原拓郎

まぁ、元々この金は
帰ってくるはずの
無かった金だからな

鮎原透

ありがとうございます！

鮎原拓郎

すぐに行くのか？

鮎原透

はい・・そのつもりです

鮎原透

ですから父さん

鮎原透

葛城が自首すると
言い出したら──

鮎原拓郎

ああ！わかっている

鮎原拓郎

引き留めておこう

鮎原透

ありがとうございます

鮎原透

ではしばらくの間

鮎原透

杏樹ちゃんと葛城を
よろしくお願いします

鮎原拓郎

ああ・・わかった・・

鮎原拓郎

あとついでにコレも
持っていけ

拓郎は透に A４サイズの茶封筒を手渡す

鮎原透

これは？

鮎原拓郎

取引が有利になる
魔法の書類だ

鮎原透

魔法？

鮎原拓郎

まぁ、移動中にでも
目を通すと良い

鮎原透

わ、わかりました

眞琴杏樹

絵里香ちゃん・・・

葛城絵里香

私ね・・・

葛城絵里香

中学生の頃に

葛城絵里香

自殺未遂を
した事があったの

眞琴杏樹

それは前に
鮎原さんから聞いた

眞琴杏樹

鮎原さんが絵里香ちゃんを
妊娠させ──

葛城絵里香

ううん・・違うの・・・

眞琴杏樹

え？

葛城絵里香

確かに妊娠してたのは
事実なんだけど・・

葛城絵里香

この妊娠は鮎原さんの
せいじゃないの・・

眞琴杏樹

え？どういう事？

眞琴杏樹

確か鮎原さんは
避妊してたって
言ってたけど・・

葛城絵里香

私ね・・・

葛城絵里香

昔からお父さんの事が
好きだったの・・・

眞琴杏樹

お、お父さん？

眞琴杏樹

まぁ、私も小さい頃は
お父さんと結婚する！

眞琴杏樹

って言ってた記憶あるな

葛城絵里香

いや、そういうんじゃなくて

葛城絵里香

本当に好きだったの・・

眞琴杏樹

え？本当に？

葛城絵里香

うん・・愛してたの

眞琴杏樹

そうだったんだ・・

葛城絵里香

それでね・・・

葛城絵里香

お父さんと
エ○チしちゃったんだ

眞琴杏樹

え！？お父さんと？

葛城絵里香

う・・うん・・・

眞琴杏樹

そ・・そんは事が・・

葛城絵里香

それで妊娠しちゃって

眞琴杏樹

え？じゃあ妊娠したのは
鮎原さんとしたからじゃなくて

眞琴杏樹

お父さんとしたからなの？

葛城絵里香

うん・・・・

眞琴杏樹

でもじゃあなんで
鮎原さんが？

葛城絵里香

私は産みたいって
言ったんだけどさ

葛城絵里香

お父さんとお母さんは
それを認めてくれなくて

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

それに2人が離婚する
なんて言い出したり

葛城絵里香

堕ろせって
言い出したりして

葛城絵里香

そんな家族に嫌気がさして
家を飛び出したの

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

そんな時に偶然に
鮎原さんに会ったの

眞琴杏樹

鮎原さんに？

葛城絵里香

杏樹は薊ヶ丘中
だったみたいだから

葛城絵里香

知らないかもしれないけど

葛城絵里香

当時、霞北中に通ってる
生徒の中で、鮎原さんは
ちょっとした有名人だったの

眞琴杏樹

有名人？

葛城絵里香

鮎原社長の一人息子
っていうのもそうだけど

葛城絵里香

かなり女癖が悪い
って評判だったの

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

その時に思ったの

眞琴杏樹

なにを？

葛城絵里香

鮎原さんに近づいて
体の関係に持ち込んで

葛城絵里香

わたしのお腹の中に
居る赤ちゃんの父親が

葛城絵里香

鮎原さんって
噂を広めれば

葛城絵里香

いずれ父親の耳にも
その噂が届くはず

葛城絵里香

そうすれば多額の
示談金を請求できる

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

そうなれば、それを
出産費用に当てれる

葛城絵里香

そう・・思ったの

眞琴杏樹

絵里香ちゃん・・・

葛城絵里香

グズでしょ？私・・

眞琴杏樹

ううん・・・

眞琴杏樹

びっくりしたけど

眞琴杏樹

でもそう
考えちゃうくらい

眞琴杏樹

自分を追い込んで
たんだよね

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

葛城絵里香

私なんかの為に
泣いてくれるの？

葛城絵里香

杏樹・・優しいね・・

葛城絵里香

それから私は
なんとか鮎原との
体の関係に持ち込んで

葛城絵里香

学校で噂を流したの

眞琴杏樹

絵里香ちゃんの妊娠は
鮎原さんのせいだって？

葛城絵里香

うん・・・

葛城絵里香

これでやっと
お金が手に入る

葛城絵里香

これでやっと愛したお
父さんと2人だけの人生を
スタートできる！

葛城絵里香

そう思ったの・・・

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

けど現実は違った

眞琴杏樹

え！？違った？

葛城絵里香

お父さんは私の事を
愛してなんていなかった

眞琴杏樹

そ・・そんな・・・

葛城絵里香

私とエ○チしたのだって

葛城絵里香

ただ魔が差した
だけだったんだ・・

眞琴杏樹

・・・・・

葛城絵里香

それで辛くなって・・・

葛城絵里香

愛してたのは私だけ・・

葛城絵里香

お父さんはひとときの
気の迷いだったんだ

葛城絵里香

って分かったら・・・

葛城絵里香

生きてるのが
辛くなって・・・

眞琴杏樹

絵里香ちゃん・・・

眞琴杏樹

ごめんね・・・

葛城絵里香

え？なんで杏樹が
謝るの？

葛城絵里香

杏樹は何も──

眞琴杏樹

そんな辛い過去が
あっただなんて・・

眞琴杏樹

私・・知らなかった・・

葛城絵里香

杏樹・・・

眞琴杏樹

私・・勝手に
シンパシー感じてた

葛城絵里香

シンパシー？

眞琴杏樹

私も揚羽先輩と
会えなくて辛い思いした
過去があったから

眞琴杏樹

同じように辛い思いをしてた
絵里香ちゃんに・・

眞琴杏樹

勝手に自分を重ねてた・・・

葛城絵里香

・・・・・・

眞琴杏樹

でも絵里香ちゃんの辛さは

眞琴杏樹

私の辛さなんかとは
比べものにならないよね

眞琴杏樹

自分勝手に絵里香ちゃんを
分かってる気になってた

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

眞琴杏樹

ごめんね・・絵里香ちゃん

葛城絵里香

ぐすっ・・・

葛城絵里香

バカ・・・

葛城絵里香

何謝ってんの・・

葛城絵里香

謝るのは私だよ・・・

葛城絵里香

ごめんね・・・

すると病室のドアが開き 1人の男性が慌てた様子で入って来る

揚羽凛太郎

眞琴！大丈夫か？

それは凛太郎だった

眞琴杏樹

せ、先輩？

眞琴杏樹

な、なんで先輩が？

揚羽凛太郎

龍也経由で鮎原さんから
連絡もらったんだ

揚羽凛太郎

眞琴の見舞いに
行ってやってくれって

揚羽凛太郎

ちょうど奏星と一緒に
長野に居たからさ！

揚羽凛太郎

だから飛んできたんだ

眞琴杏樹

先輩・・・

葛城絵里香

もしかして・・揚羽くん？

揚羽凛太郎

ん？

凛太郎は絵里香の方を見る

揚羽凛太郎

え？もしかして楓咲？

揚羽凛太郎

お前・・楓咲だろ！

葛城絵里香

ひ、久しぶり・・・

揚羽凛太郎

いやぁ、本当久しぶりだなぁ

揚羽凛太郎

元気してた？

葛城絵里香

ま、まぁ・・・

揚羽凛太郎

眞琴から友達だって
聞いて驚いたよ

揚羽凛太郎

楓咲の事──
心配だったからさ

葛城絵里香

私の事・・心配
してくれてたの？

揚羽凛太郎

そりゃそうだよ！
友達なんだから！

葛城絵里香

くずっ・・・

葛城絵里香

ありがとう・・・

葛城絵里香

揚羽くん・・・

揚羽凛太郎

ちょ！え？楓咲？

揚羽凛太郎

なんで泣いてんの？

凛太郎は突然泣き出す絵里香に動揺を隠せない

揚羽凛太郎

てか、今日はあれ？
楓咲は眞琴のお見舞いに？

葛城絵里香

あ、いや・・これは

眞琴杏樹

そうなんです♫

眞琴杏樹

私の為にわざわざ
来てくれたんです

葛城絵里香

（杏樹・・・）

日向奏星

ちょっと！凛太郎！

日向奏星

自分勝手に
走っていかないでよ

凛太郎に続いて奏星も病室に入って来る

揚羽凛太郎

あぁ、ごめん・・・

眞琴杏樹

奏星さんまで
来てくれたんですか？

日向奏星

あっ、杏樹ちゃん
久しぶり！

眞琴杏樹

お、お久しぶりです

眞琴杏樹

すいません・・・
寝転んだままんで

日向奏星

いいよ！そんな事
気にしなくて！

日向奏星

ゆっくりしてなきゃ！

眞琴杏樹

あ、ありがとうございます

日向奏星

それより大丈夫？

日向奏星

学校の階段から足を
滑らせたって聞いたけど

眞琴杏樹

ま、まぁ、なんとか・・・

日向奏星

もう、凛太郎ったら
和久井くんから
電話もらってから

日向奏星

すぐにお見舞い行く！
って聞かなくって

揚羽凛太郎

ちょ！眞琴の前で
それは言うなって
言っただろー！

眞琴杏樹

ふふふ

葛城絵里香

あの・・揚羽くん？

葛城絵里香

その人は？

絵里香は奏星をチラチラと見ながら凛太郎に訊ねる

揚羽凛太郎

ああ、奏星ね！

揚羽凛太郎

一応・・その俺が
付き合ってる彼女なんだ

揚羽凛太郎

高校の時の同級生でさ・・・

日向奏星

あっ、はじめまして

日向奏星

日向奏星って言います・・

奏星は丁寧にお辞儀をする

葛城絵里香

あっ、こちらこそ

葛城絵里香

はじめまして・・・

葛城絵里香

私は・・葛城絵里香
って言って・・・

葛城絵里香

揚羽くんとは・・その
中学の同級生でした

日向奏星

あっ、あなたが・・

葛城絵里香

揚羽くんには昔
いろいろ助けてもらって
恩があるんです

揚羽凛太郎

（楓咲・・・）

日向奏星

まぁ、ただの
お節介ですから

揚羽凛太郎

ただの！って何だよ！おい！

眞琴杏樹

ふふふ・・・

眞琴杏里

あの･･凛太郎くん？

皆が談笑していると杏里が入って来る

揚羽凛太郎

ああ、おばさん！

揚羽凛太郎

お久しぶりです

凛太郎は杏里に軽く会釈をする

眞琴杏里

ちょっといいかしら？

杏里は小ささ手招きで凛太郎を病室から出るように促す

揚羽凛太郎

は、はぁ・・・

眞琴杏樹

どうかしたんですか？

揚羽凛太郎

さぁ・・・

揚羽凛太郎

とりあえず行ってくる

眞琴杏樹

は、はい・・・

揚羽凛太郎

あの・・どうか
されした？

眞琴杏里

凛太郎くん・・・

眞琴杏里

今日は来てくれて
本当にありがとう

杏里は深々と頭を下げる

揚羽凛太郎

ちょ！やめてくださいよ！

揚羽凛太郎

眞琴は大切な友達ですから

揚羽凛太郎

お見舞いに来るのは
当然ですよ！

眞琴杏里

それだけじゃありません

眞琴杏里

”あの日”

眞琴杏里

凛太郎くんや
渚沙さん含めた
皆さんが

眞琴杏里

杏樹を庇ってくれたからこそ

眞琴杏里

今の私たちの生活があるの

揚羽凛太郎

おばさん・・・

眞琴杏里

皆さんの助けもあって

眞琴杏里

やっと親子の大切さに
気づけたの・・・

眞琴杏里

だから改めてお礼を
言わせて欲しい

眞琴杏里

本当にありがとう

揚羽凛太郎

元々は俺の不用意な
お節介のせいでなんです

揚羽凛太郎

俺にも責任ありますから

眞琴杏里

凛太郎くん・・・

揚羽凛太郎

でも良かったです

揚羽凛太郎

眞琴が元気そうで

眞琴杏里

もう元気すぎて
困ってるくらいよ

眞琴杏里

もう来年20歳なんだから
もっと大人しく
なってほしいんだけど

揚羽凛太郎

あはは、いいじゃないですか

揚羽凛太郎

元気だって事は！

眞琴杏里

ふふふ、そうね

それから数時間

後から合流した龍也と美咲を含めた一同は

昔話に花を咲かせていた

葛城絵里香

和久井くんの
彼女さんって

葛城絵里香

本当にあの美咲
さんだったんだ

和久井龍也

ま、まぁな

虹山愛莉

だからそうだって
言ったじゃん！

虹山愛莉

信用してなかったの？

葛城絵里香

いや、そういう訳じゃ
ないんだけど

葛城絵里香

こうやって現実を
突きつけられると

葛城絵里香

信じ難いって言うか

姫川美咲

本当は私たち
高校生の時は

姫川美咲

めっちゃ
仲悪かったんだよ

葛城絵里香

え？そうなんですか？

虹山愛莉

意外・・・

虹山愛莉

こんなに
ラブラブなのに

和久井龍也

そういや
そうだったな

和久井龍也

学校で目が合うたびに
いがみ合ってたっけ

姫川美咲

でも、ある時に
私に危険がせまった
時があってね

姫川美咲

それを龍也は
体張って護ってくれたの

虹山愛莉

きゃー❤️カッコイー❤️

和久井龍也

はは・・照れるな

姫川美咲

それきっかけで
私から好きになって

虹山愛莉

いいなぁ〜

虹山愛莉

私も彼氏ほしぃ〜

皆が病気で楽しげに談笑している頃

静岡刑務所沼津拘置支所

鮎原透

久しぶりだな・・・

鮎原透

お前ら・・・

男A

お前かよ・・・

男B

何のようだ？

男C

お前が俺らにした事
忘れてねーからな？

透は静岡の刑務所まで

かつて伊豆旅行に行った際杏樹を襲おうとした例の男たちに会いに来ていた

鮎原透

俺も忘れてねーよ

男C

で？今更何の用なんだ？

鮎原透

お前らと取引がしてーんだ

男B

取引だぁ？

鮎原透

ああ・・・

鮎原透

取引だ・・・

透はそう言うと黙って分厚い封筒を差し出した

お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

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